株主総会議事録のひな形・書き方を解説【テンプレート付き】

  
監修者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

株主総会議事録とは

株主総会議事録とは、株式会社において株主総会を開催した場合に、会議の概要、議事の経過、決定事項などを記録する書面または電磁的な記録です

法律上、株主総会を開催した場合には、株主総会議事録の作成が義務付けられています(会社法第318条第1項)。

会社法 第318条第1項
(議事録)
第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

引用:会社法|e-Gov法令検索

さらに、株主総会議事録は法令に従って作成する必要があり、会社法施行規則第72条第3項には、株主総会議事録に必ず記載すべき事項が列挙されています。

会社法施行規則 第72条
(議事録)
第七十二条 法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。第四号において同じ。)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
三 次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
~~~
四 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
五 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
六 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
〜〜〜

引用:会社法施行規則|e-Gov法令検索

このページでは、株主総会議事録の書き方や注意点について詳しく説明しています。

会社で株主総会議事録を作る場合に、ぜひ参考にしてください。

 

株主総会議事録のテンプレートをダウンロードする

まず、株主総会議事録を作成するための第一歩として、テンプレートをダウンロードすることをお勧めいたします

業務の効率化、法令順守のためには、テンプレートを使用することが欠かせません。

このページでは、以下の通り汎用性が高く、法律面を意識したテンプレートを作成して公開していますので、ぜひこちらをご活用ください。

なお、株主総会には、定期的に開催される定時株主総会と、臨時株主総会の大きく二種類があります

このページでは、それぞれについてテンプレートを作成して公開していますので、開催予定の株主総会の種類に従ってテンプレートを選択してください。

定時株主総会のテンプレートはこちらから

〇〇〇株式会社
定時株主総会議事録

日時:〇年〇月〇日(〇) 午〇〇時〇分
開催場所:当会社本店会議室

当会社の株主総数: 〇
当会社の発行済株式総数: 〇
自己株式総数: 〇
当会社の議決権を行使することができる株主総数: 〇
議決権を行使することができる株主の議決権数: 〇
議決権を行使することができる本日出席の株主数: 〇
議決権を行使することができる本日出席の株主の議決権数: 〇

出席取締役および出席監査役は以下の通りである。

  • 出席取締役:
    • 〇〇〇(議長兼議事録作成者)
    • 〇〇〇
    • 〇〇〇
    • 〇〇〇
  • 出席監査役:
    • 〇〇〇

上記の通り法定数に達したので、取締役○○○○は議長席に着き開会を宣し、審議を開始した。

決議事項:

第1号議案: 第〇期決算報告書の承認に関する件
議長は、当期(〇年〇月〇日から〇年〇月〇日)における営業報告書を詳細に説明し、次の書類を提出して、その承認を求めた。
1.貸借対照表
2.損益計算書
3.利益処分案
続いて監査役〇〇〇は、上記の書類は綿密に調査したところ、いずれも正確妥当であることを認めた旨を報告した。
総会は、別段の異議なく、満場一致をもって承認可決した。

第2号議案: 〇〇〇の件
〇〇〇〇
総会は、別段の異議なく、満場一致をもって承認可決した。

本総会は終始異状なく議事のすべてを終了したため、議長は午〇〇時〇分閉会を宣した。

本総会で決議があった事項を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席役員が次に押印する。

〇年〇月〇日

〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
監査役   〇〇〇 ㊞

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臨時株主総会のテンプレートはこちらから

〇〇〇株式会社
臨時株主総会議事録

日 時:〇年〇月〇日(〇) 午〇〇時〇分
開催場所:当会社本店会議室

当会社の株主総数: 〇
当会社の発行済株式総数: 〇
自己株式総数: 〇
当会社の議決権を行使することができる株主総数: 〇
議決権を行使することができる株主の議決権数: 〇
議決権を行使することができる本日出席の株主数: 〇
議決権を行使することができる本日出席の株主の議決権数: 〇

出席取締役および出席監査役は以下の通りである。

  • 出席取締役:
    • 〇〇〇(議長兼議事録作成者)
    • 〇〇〇
    • 〇〇〇
    • 〇〇〇
  • 出席監査役:
    • 〇〇〇

上記の通り法定数に達したので、取締役○○○○は議長席に着き開会を宣し、直ちに下記議案を付議したところ、満場一致の決議をもって原案どおり可決確定した。
※特段の経過がなくスムーズに可決された場合の記載方法です。質疑応答などの議事経過がある場合には定時株主総会議事録のテンプレートのような時系列に沿った記載をしてください。

決議事項:

第1号議案: 定款変更の件
定款第〇条を次のとおり変更すること。

(目的)
第〇条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1 ○○
2 ○○
3 前各号に附帯する一切の事業

第2号議案: 取締役1名選任の件
下記の者を当会社の取締役として新たに選任する。


〇〇〇〇

本総会は終始異状なく議事のすべてを終了したため、議長は午〇〇時〇分閉会を宣した。

本総会で決議があった事項を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席役員が次に押印
する。

〇年〇月〇日

〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
取締役   〇〇〇 ㊞
監査役   〇〇〇 ㊞

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株主総会議事録の書き方

テンプレートの記載をもとに、株主総会議事録の書き方について具体的に見ていきましょう。

①冒頭部分

まず、冒頭は以下の通りです。

まず、別会社の記録に混じってしまわないよう、冒頭には「○○○株式会社」と会社名を書くのがいいでしょう。

次に、タイトルは「定時株主総会議事録」または、「臨時株主総会議事録」と記載しましょう。

株主総会の種類がわかるように記載することまでは法律上必須ではありませんが、後日、総会の種類から内容を遡ることが容易になるため、このような記載にするのがお勧めです。

続いて、株主総会が開催された年月日及び時間、開催場所を記載します。

これらは法律上必須の記載事項になっており、もし記載漏れがあれば法令違反になってしまいますので忘れずに記載するようにしましょう。

WEB会議・電話会議を通じてリモートで参加する場合

昨今は伝染病の流行や、WEB会議システムの発達により、リモートで参加される方も増えています。

もし、WEB会議システム(またはTV会議、電話会議)を通じてリモートで総会に出席している役員や株主がいる場合には、その旨も議事録に明記することが必要です(会社法施行規則第72条第3項第1号カッコ書き)。

例えば、「取締役○○○及び株主○○○はWEB会議システムを通じて参加」などと補記するのが良いでしょう。

加えて、この場合には、その会議システムが最低限の機能(具体的には、双方向かつリアルタイムで声のやり取りができること等)を備えていることについても議事録に記載するべきとされています。

会社法施行規則 第72条第3項
(議事録)
第七十二条
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。第四号において同じ。)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
〜〜〜

引用:会社法施行規則|e-Gov法令検索

 

②出席株主数等の記載

次に、「当会社の株主総数」「当会社の発行済株式総数」「自己株式総数」「当会社の議決権を行使することができる株主総数」「議決権を行使することができる株主の議決権数」「議決権を行使することができる本日出席の株主数」「議決権を行使することができる本日出席の株主の議決権数」の各項目を確認し、右の「○」の部分にそれぞれ数字を記載しましょう

株主総会は、一定数の株主が出席していることが必要です。

そこで、株主総会が有効に開催され、有効な決議がなされたことを記録に残すために、これらの情報を明記しておく必要があります。

なお、「自己株式総数」とは、会社自身が自らの株式を保有している場合に、その株式数を記載するものです。

自己株式が存在しない場合には、「自己株式総数」の記載を省略することは問題ありません。

 

出席役員の記載

次に、出席取締役および出席監査役、その他の出席役員をフルネームで記載します

テンプレートでは取締役と監査役のみを記載していますが、法令上、「株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人」はすべて氏名を記載する必要がありますので注意しましょう。

また、株主総会の議長を務める取締役、議事録作成者になる取締役をそれぞれカッコ書きで記載します。

議長および議事録作成者が誰か、を明記することも法令上の義務になります。

会社法施行規則 第72条第3項
(議事録)
第七十二条
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
〜〜〜
四 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
五 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
六 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
〜〜〜

引用:会社法施行規則|e-Gov法令検索

 

④議事および決議事項の記載

次に、議事の経過を記載します。

法的に重要ではない細かい経過を記載する必要はありませんので、審議開始の場面については、「上記の通り法定数に達したので、取締役○○○○は議長席に着き開会を宣し、審議を開始した。」といった記載を書けば足ります。

その上で、決議事項の内容ごとに、経過のポイントおよび決議結果を記載します

定時株主総会議事録のテンプレートでは、上のように、決議事項ごとに時系列に沿って、議長が説明を行い、承認を求め、監査役が報告を行い、総会によって承認可決された経過を記載しています。

他の決議事項についても、同様に時系列に沿って必要な事実経過を端的に記載しましょう

もっとも、特筆すべき議事の経緯や質疑が存在せず、決議事項について単に承認決議がなされただけの総会においては、臨時株主総会議事録のテンプレートのように、簡易に記載することもできます。

具体的には、冒頭で、「〜〜直ちに下記議案を付議したところ、満場一致の決議をもって原案どおり可決確定した。」旨を記載してしまい、後ろには可決された決議事項を端的に記載することができます。

どちらの方式で記載するのが望ましいかは、実際の株主総会の議事経過によって異なりますので、もし悩みがありましたら弁護士などの専門家にご相談いただくのが良いでしょう。

会社法施行規則 第72条第3項
(議事録)
第七十二条
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果

引用:会社法施行規則|e-Gov法令検索

 

⑤閉会の記載

一通りの議事進行・決議事項を記載した後、締めくくりとして閉会について記載します。

記録のために、閉会時間まで記載しておくのがお勧めです。

 

⑥出席役員の押印

最後に、議事録の作成年月日を記載し、出席役員の記名押印をしています。

株主総会の出席役員の署名又は記名押印については必ずしも法的に必須の記載事項ではありませんが、議事録の信憑性を高めるためこのような対応をするのが望ましいです。

なお、取締役会の場合、株主総会とは異なり、議事録が書面で作成されている場合の署名又は押印義務があるので注意してください(会社法369条)。

参考:会社法|e-Gov法令検索

 

株主総会議事録の作成における注意点

以上の解説に従って、本ページで掲載されたテンプレートを元に作成すれば、株主総会議事録が完成します。

株主総会議事録の作成期限については法律上規定はありませんが、株主総会が終了した後、遅滞なく、合理的な期間内(目安としては1〜2週間程度)に作成されるべきとされていますので、早めに作成するように注意しましょう。

もっとも、株主総会議事録は法令によって、細かく記載事項が義務付けられていますので、焦って作成するあまりに、それらの記載が漏れてしまうことがないように注意が必要です。

具体的には、以下のように、決議事項に従って細かく記載事項が指定されており、法律を読み慣れている弁護士等でない限り、この条文を正確に把握して適法な議事録を作成するためにはかなりの慎重さを要します。

会社法施行規則 第72条第3項、同第4項
(議事録)
第七十二条
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
〜〜〜
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
三 次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 法第三百四十二条の二第一項
ロ 法第三百四十二条の二第二項
ハ 法第三百四十二条の二第四項
ニ 法第三百四十五条第一項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)
ホ 法第三百四十五条第二項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)
ヘ 法第三百六十一条第五項
ト 法第三百六十一条第六項
チ 法第三百七十七条第一項
リ 法第三百七十九条第三項
ヌ 法第三百八十四条
ル 法第三百八十七条第三項
ヲ 法第三百八十九条第三項
ワ 法第三百九十八条第一項
カ 法第三百九十八条第二項
ヨ 法第三百九十九条の五
4 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百十九条第一項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二 法第三百二十条の規定により株主総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
ロ 株主総会への報告があったものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

引用:会社法施行規則|e-Gov法令検索

特に、決議事項が特殊な内容を含む場合や、議事の経過が複雑化したような場合には、株主総会議事録が違法なものにならないよう、弁護士による助言を受けることが重要になりますのでご留意ください。

 

 

まとめ

ここまで、株主総会議事録について、テンプレートをもとに詳しく解説しました。

株主総会議事録の作成は、株主総会が実施された事後の作業ですが、法律上の義務対応であることを忘れず、慎重に作成することが重要です。

株主総会は株式会社における重要な判断を下す場ですので、数年後になって株主総会決議についてその有効性が訴訟で争われることも少なくありません。

その際には、株主総会議事録が有効に、正確に記載されていることが大変意味を持ちます。

法律上の義務を守ることは当然ですが、将来の紛争に備えるためにも、しっかりとした株主総会議事録を作るようにしましょう。

そして、そのために、できる限り弁護士に確認を依頼することをおすすめします。

デイライト法律事務所は、議事録の作成や確認など、株主総会に関する各種対応について、多くの実績を有しています。

株主総会議事録に関するお悩みをお持ちの会社の方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。

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