弁護士コラム

弁護士が考える小売業の今後—小売業界で起こりうる法律問題

経営戦略

先日とあるビジネス雑誌に、アメリカの小売業界の最大手であるウォルマート・ストアーズのCEOのインタビューが掲載されていました。

現在、小売業界を取り巻く状況は急速に変化しています。すなわち、「アマゾン」をはじめとするインターネットショッピング(eコマース市場)が急速に普及し、アマゾン本社のあるアメリカでは、すでに小売業者の多くが廃業や縮小に追いやられています。先日もアメリカの玩具販売大手で日本にも店舗のあるトイザらスが4億ドルもの債務を整理する必要があり、場合によっては破産するのではないかとまで報道されています。

それほどまでにアマゾンのサービスは、消費者に認められ、利用が拡大しているのです。

 

アマゾンの業務形態

IT企業実際、アマゾンは当初書籍をインターネットで販売するという業態でした。しかし、今では食料品や飲料、洗剤、衣類など生活必需品についても取り扱っており、「定期便」や「バーチャルダッシュ」というスマホのスクロール操作一つで注文ができ、足りなくなった商品を補充できる仕組みまで用意されています。これは、日常的に使用するものであれば、非常に便利な機能です。

日用品というのは、車や家と違って、購入頻度が多いため、購入を決定するまでの時間はそれほど長くないはずです。洗剤を購入するのに、「この洗剤にしようか、あの洗剤にしようか」と1か月も悩んでいる人は通常はいないと思います。したがって、こうした日用品の購入はいかにストレスなく買えるか、習慣化できるかというのが大切になります。

そうした観点からすれば、このアマゾンの「バーチャルダッシュ」というサービスは合理的なシステムといえるでしょう。

 

小売業とデジタル戦略

このようにアマゾンの急成長が続く中、小売業界の未来はどのようになるのでしょうか?

小売業界に属する企業の皆様をサポートしている弁護士としては、「リアル店舗とネット店舗(eコマース市場)の融合」がとても大切になってくると思います。

実際、先ほどのウォルマートのCEOも、アマゾンのサービスの素晴らしさを称えつつ、自社の実店舗の効率性の向上とネット店舗の拡充を戦略に据えて活動しており、2016年のウォルマートの売上は前年比12%増の137億ドルに上っているとコメントしています。

また、デジタル化といっても単にネット市場の整備だけを指すのではなく、実店舗の在庫管理や陳列方法の変更などについても含まれていると主張しています。

 

店舗とネットの結びつきを活かしたサービス展開

さらに、ウォルマートは、ウーバーと協力して生鮮食品について新たなサービスを始めています。具体的には、ネットで注文した生鮮食品を自宅近くのウォルマートの実店舗の駐車場に好きな時に消費者が受け取れるというサービスです。

生鮮食品は、商品カテゴリーの中では、eコマースの浸透率が他の商品に比べ遅いといわれています。おそらく、「洗剤やペットボトル飲料はネットで頼んでも抵抗はないけど、肉や野菜、魚をネットで頼むのはちょっと・・・」という消費者は多いと思います。ウォルマートはそうした消費者の視点に着目してサービスを導入しており、こうした取組みは日本の小売業界にとっても参考になります。

小売業実は、アマゾンもアメリカでリアル店舗(実店舗)の拡充を進めているのです。日本でも昨年サイバーマンデーセールに合わせて、渋谷に期間限定のリアル店舗をオープンさせています。

このように、小売市場はリアル店舗だけ、ネット店舗だけという時代から、リアル店舗とネット店舗をいかに結びつけるか、その結びつきを生かしたサービスを提供できるかがポイントになってきています。

 

法的サポートは弁護士にお任せください

弁護士西村裕一こうした取り組みを実施していくに当たって、人事をはじめとする労務問題、サービスに関する景品表示の問題などが生じます。

また、他者との協力に当たっての契約交渉や会社の組織構造をどのような形にするかといった点もしっかりと検討する必要があります。

デイライト法律事務所では、こうした小売業界で生じうる問題について、顧問弁護士という形で、業種別に注力した弁護士がご相談に対応しております。まずはお気軽に弁護士までご相談ください。

 


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