弁護士コラム

弁護士によるビジネス交渉術

ビジネス・スキル
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

ビジネスマン弁護士は交渉そのものが仕事といっても過言ではないほど、日常的に交渉を行っています。

これは、私たち弁護士は、法律事務についての代理が認められた唯一の専門職だからです(他士業の方にも例外的に代理権が認められることがありますが、制限されており、一部についてしか代理できません。)。

したがって、弁護士はまさに「交渉のプロ」といえます。

交渉は、多くの弁護士が当然のように行っている業務ですが、交渉のスタンスは弁護士個々によって異なります。

また、通常、ロースクールや司法研修所(※)でも、交渉についての体系的・専門的な教育は行われていません。

※ 司法研修所とは、司法試験合格後、弁護士登録する前に実施する約1年間の研修プログラムであり、最高裁判所の機関です。

 

MBAでは、一部のスクールにおいて、ファシリテーションやネゴシエーションを学習します。そこではビジネススキルとしての交渉についての専門知識も学習します。

このブログ記事では、交渉のプロである弁護士がMBAで学んだ専門知識を踏まえて、交渉についてのノウハウをご紹介したいと思います。

 

交渉とは

交渉と聞くと、相手方を打ち負かす、自分にとっての最大価値を獲得する、というイメージを持たれる方が多いと思います。

確かに、弁護士でも、新人弁護士など一部にはそのようなイメージを持っている方がいます。

しかし、私は交渉とは、基本的には、当方、相手方の双方にとってプラスとなる価値を創造できることを目指すプロセスと考えています。

これを価値創造型交渉といいます。

ビジネスの場面を一例として、価値交渉型交渉を見てみましょう。

デイ社は、画期的なマネジメント育成プログラムを開発し、当該プログラムの認知度を高めるために専用WEBページの構築を進めていました。
WEB開発会社の中で、多くの実績を持ち、評判もいいライト社に提案依頼を行いました。

しかし、何度も交渉を重ねましたが、ライト社から提案された見積はデイ社の予算を超えており、交渉は決裂しようとしていました。
でも、ライト社の開発能力はとても高く、デイ社はなんとかライト社に開発してほしいと思っていました。

他方、ライト社は、急成長の影で、マネジメントに大きな課題を抱えていました。
しかし、自社内のシステム増強への投資を優先する必要性からマネジメントの資金を捻出する余力がない状況でした。

そこで、デイ社はライト社に対して、ライト社のWEB開発と引き換えに、プログラムを1年間無償で提供することを申し出ました。そして、交渉が成立しました。

この例は、「WEB開発」と「マネジメントプログラム」という双方の利害関心の違いが大きな価値を生み出した、価値創造型の交渉といえます。

 

もちろん、実際の交渉においては、このようにうまくいかないことの方が多いでしょう。

また、そもそも、価値創造になじまないような例もあります。

例えば、AさんがBさんに対して、慰謝料や賠償金を請求するような事案です。
このようなケースでは、被害者感情から交渉ではなく、訴訟を提起するような場合もあります。

しかし、そのような一部の事案を除いては、価値創造型交渉は、価値を奪い合う交渉(価値分配型交渉)と異なり、双方にとってメリットがあります。

したがって、基本的には価値創造型交渉を目指すべきです。

以下、価値創造型交渉の難所と難所を乗り越える方法について、解説します。

 

価値創造型交渉の難所はこちらをごらんください

交渉の流儀、交渉の難所を乗り越える方法はこちらをごらんください

 

 


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