代表取締役を解任するときの注意点【弁護士が解説】

  
監修者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

目次

代表取締役の解任(解職)とは

代表取締役の解任とは、会社が、代表取締役の地位にある人を代表取締役から辞めさせ、ただの取締役にすることをいいます。

(法律上の正しい用語では、「解任」という言葉ではなく「解職」という言葉を使い、「代表取締役の解職」といいますが、この記事では、一般によく使われている「代表取締役の解任」という言葉を使って説明していきます。)

 

代表取締役とは

代表取締役とは?ただの取締役とどう違う?

代表取締役の解任を説明する前に、代表取締役とは何かを解説します。

代表取締役とは、取締役の中から選ばれた特別な取締役です。代表取締役は、会社を代表する権限を持っています。

「会社を代表する」とは、会社という実体のない存在(これを「法人」といいます)の代わりに、リアルに実在する存在として会社の行為を行うことです。

例えば、会社が他人と契約を結ぼうとする場合、会社は身体を持たないので、会社自身が契約書に署名したり印鑑を押したりすることはできません。

そこで、代表取締役という実在する人間が、会社の代わりに契約書に署名したり印鑑を押したりします。この役目は、代表取締役だけが持つ強い権限です。

このように、代表取締役は、ただの取締役と異なる特別な権限をもっています(※1)。

なお、代表取締役でないただの取締役を「平取締役(ひらとりしまりやく)」ともいいます。

※1 取締役会のある会社の場合です。取締役会のない会社の場合は、代表取締役が存在せず、取締役が代表取締役と同じような権限を持っていることもあります。

 

代表取締役は取締役の中から選ばれる

代表取締役は、取締役の中から選ばれます。したがって、代表取締役は、必ず取締役でもあります。

取締役でない人が代表取締役になることはありません。

 

代表取締役の解任って何?取締役の解任とどう違う?

代表取締役の解任とは

代表取締役の解任(※2)とは、会社が、代表取締役の地位にある人を代表取締役から辞めさせ、ただの取締役(平取締役)にすることをいいます。

上記の例1では、Aは、X株式会社の代表取締役であり、代表取締役であることの前提として取締役でもあります。

代表取締役の解任とは、Aを代表取締役から辞めさせ、ただの取締役に戻すことをいいます。

代表取締役を解任しても、AはX株式会社を完全に去るわけではなく、X株式会社の取締役として引き続き残ります。

※2 法律上の正確な用語では、「代表取締役の解職」といいます。

 

取締役の解任とは

「代表取締役の解任」とは別に、「取締役の解任」というものもあります。

「取締役の解任」とは、会社が、取締役を辞めさせることをいいます。

上記の例1の図では、取締役BはX株式会社の取締役です。「取締役の解任」とは、例えばこのBを取締役から辞めさせることをいいます。

取締役の解任について詳しいことは、こちらの記事をご覧ください。

 

代表取締役に問題あり!「代表取締役の解任」か「取締役の解任」か?

会社の代表取締役は、上記で説明したように、取締役の中でも特別な権限を持っています。

もし会社の代表取締役が病気で職務を果たせなかったり、代表取締役に見過ごしておけないほどの問題があったりする場合は、会社を守るため、代表取締役を辞めさせなければならないケースも起こるでしょう。

もしこのような事態になった場合、会社としては、「代表取締役の解任」の手続をとるか、「取締役の解任」の手続をとるか、2つの選択肢があります。

どちらの選択肢がよいのでしょうか。

以下では「取締役の解任」の手続と「代表取締役の解任」の手続のメリット・デメリットを説明します。

「取締役の解任」と「代表取締役の解任」は言葉がとても似ていますので、注意してお読みください。

 

「取締役の解任」をすれば、代表取締役と取締役の両方の地位を辞めさせることができる!しかしデメリットも?

代表取締役に対して「取締役の解任」を行うメリット

会社の代表取締役を務めている人に対して「取締役の解任」の手続をとると、会社はその人を代表取締役からも取締役からも同時に辞めさせることができます。

再び例1をご覧ください。上記で解説したように、Aの代表取締役は、Aの取締役というベースのうえに成り立っています。


例1では、AはX株式会社の代表取締役でもあり、取締役でもあります。

会社がAに対して「取締役の解任」の手続をすれば、Aはまず取締役でなくなります。

Aが取締役でなくなると、Aが代表取締役であるためのベースがなくなりますから、Aは自動的に代表取締役でもなくなることになります。

このように、代表取締役を務めている人について「取締役の解任」の手続を行うと、ひとつの手続によって、その人を代表取締役から辞めさせ、同時に取締役からも辞めさせることができます。

つまり、問題のある代表取締役を会社から完全に去らせることができるわけです。

このように、ある人を代表取締役からも取締役からも同時に辞めさせることができるのが「取締役の解任」の特徴です。

「取締役の解任」についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

 

代表取締役に対して「取締役の解任」を行うデメリット

一方で、代表取締役に対して「取締役の解任」を行うことにはデメリットもあります。

「取締役の解任」の手続をとるためには、会社は、必ず株主総会を開催しなければなりません。

株主総会を開催する手続は複雑で手間がかかりますし、時間も多くかかります。

無事に株主総会を成立させるために株主への根回しも必要になるでしょう。

このように、「取締役の解任」の手続には、時間と手間をかけて株主総会を開かなければならないというデメリットがあります。

 

「代表取締役の解任」の手続は簡素で素早い対応が可能!しかし解任した代表取締役を取締役に戻せるだけ

「代表取締役の解任」のメリット

「代表取締役の解任」のメリットは、株主総会を開催する必要がないことです。

会社は、株主総会を開催することなく、取締役会を開催するだけで「代表取締役の解任」の手続を行うことができます。

取締役会は、株主総会に比べて、招集手続が簡略ですし、株主に根回しをする必要もありません。

このように、株主総会を開催する必要のない「代表取締役の解任」は、手続をスピーディに完了できることがメリットです。

すでに解説しましたように、代表取締役は、ただの取締役(平取締役)とは違って、会社を代表する特別な権限を持っています。

もし、代表取締役がひじょうに不適切な行為を始めて会社に損害が出始めた場合などは、一刻も早く、その代表取締役から会社を代表する権限を取り上げなければなりません。

このような場合には、株主総会を開催することなく、取締役会を開催するだけでスピーディに行える「代表取締役の解任」が威力を発揮することになります。

 

「代表取締役の解任」のデメリット

「代表取締役の解任」のデメリットは、「代表取締役の解任」の手続を行っても、その人はただの取締役(平取締役)になるだけで、会社から去るわけではないということです。

問題のある代表取締役に対して「代表取締役の解任」を行うと、その人を代表取締役から平取締役にもどし、会社を代表する強大な権限を取り上げることができますが、その人は取締役として会社に残りますから、会社内にその人の影響力が残る可能性があります。

 

結局どっち?「代表取締役の解任」か「取締役の解任」か

このように、代表取締役に問題があることが明らかになったとき、会社としては、その人に対して「代表取締役の解任」をするか「取締役の解任」をするか、どちらかの対応をとることができます。

しかし、どちらがベストな方法かは、ケースバイケースで異なります。

その時の会社の状況や、そのような事態にいたった経緯、さらには会社の種類や組織構成、解任の対象となる代表取締役がとりそうなアクションなど、さまざまな要因を考慮に入れ、法律の専門的な知識に基づく判断が必要です。

したがって、代表取締役の解任については、会社法に詳しい弁護士にアドバイスを求めるようにしましょう。

 

 

代表取締役の解任の手続・流れ

ここでは、「代表取締役の解任」の手続・流れを説明します。

※もう一方の選択肢である「取締役の解任」の手続・流れについては、こちらで詳しく解説しています。

 

代表取締役を解任したい!どうすればいい?

代表取締役を解任して、ただの取締役(平取締役)に戻すには、取締役会を開いて、解任したい代表取締役について「解任の決議」をします(会社法362条2項3号)。

参考:会社法|電子政府の窓口

 

法律のルールにしたがって手続を進める!

取締役会で「代表取締役の解任の決議」をすれば、会社は代表取締役を解任し、ただの取締役に戻すことができます。

ただし、法律のルールをきちんと守って手続を進めることが大切です。

もし、解任の決議までの手続に不備(不備のことを法律用語で「瑕疵(かし)」といいます)があると、解任が無効になるリスクがあります。

以下で、解任の決議までの流れを解説します。

 

代表取締役の解任の決議までの流れ

※株式会社には、取締役会がある会社と、取締役会のない会社があります(取締役会のある会社を「取締役会設置会社」といい、取締役会のない会社を「取締役会非設置会社」といいます。)。

上記の流れは、取締役会設置会社を想定しています。

取締役会非設置会社については、手続に違いがあります。


 

 

代表取締役の解任の決議までの流れ―STEP 1 取締役会を招集する

代表取締役の解任をするためには、取締役会を開き、そこで「代表取締役の解任の決議」(より正確な法律用語では「代表取締役の解職の決議」です。)を成立させることがゴールになります。

そのための第一歩として、まず、取締役会を招集することから始めます。

取締役会の招集手続

取締役会の招集手続は、会社法に定めるルールに沿って行いましょう。

以下は、取締役会の招集の標準的なルール(会社法で定められたルール)です。

会社法のルールによる取締役会の招集手順
誰が招集するか

取締役であれば誰でも招集手続を行うことができます(会社法366条)。

参考:会社法|電子政府の窓口

ただし、一般には、会社の定款の中で取締役会の招集手続を行う取締役が定められていることも多いです。

このように定款で取締役会の招集手続を行う取締役が定められているときは、その取締役が取締役会を招集します。

定款ルールで、代表取締役が取締役会を招集することになっている!どうすれば?
代表取締役の解任を進めるために取締役会を招集したいのに、会社の定款を確認してみると、その代表取締役が取締役会の招集を行うことになっているケースがあります。
このような場合には、解任の対象となる取締役が解任の気配を察知して取締役会の招集を渋るようなこともあるでしょう。
会社の定款の定めが不十分だと、このような事態に陥ってしまうことがあります。
いざというときに困らないよう、日ごろから専門家のアドバイスを受けながら定款の定めをメンテナンスしておくことが大切です。
もしこのような事態になっても、取締役会を招集する道はありますので、あきらめることなく会社法に強い弁護士にアドバイスを求めましょう。

 

招集の方法

取締役会を招集する取締役から取締役全員に(監査役がいる場合は監査役にも)招集通知を送ります。

「全員」ですから、解任の対象となる代表取締役にも送る必要があります。

きちんと招集通知を送ったことが後々まで証拠に残るように、メールや手紙で送るのがベターです。

 

招集通知に記載する内容

取締役会の開催日時と場所を記載します。

会社法のルールでは、取締役会の議題を招集通知に記載する必要はありません。

ですので、代表取締役の解任を招集通知に書く必要はありません。

例えば、「〇〇年〇〇月〇〇日〇〇時〇〇分から、当社本店会議室で取締役会を開催しますのでご出席ください」のようなもので構いません。

 

招集通知はいつ送ればよいか

取締役会の招集通知は、取締役会の開催日の1週間前までに発送する必要があります(会社法368条1項)。

参考:会社法|電子政府の窓口

ポイント:解任の対象となる代表取締役にも招集通知を送る

取締役会の招集通知は、解任の対象となる代表取締役に対しても、きちんと送付しなければなりません。

なぜなら、解任の対象となる代表取締役も、会社の取締役だからです。

もし、代表取締役を招集手続から除外すると、手続きの不備を理由として、代表取締役の解任の効力が否定される場合もあります。

 

 

代表取締役の解任の決議までの流れ―STEP 2 取締役会を開き、代表取締役の解任を決議する

STEP1で取締役会の招集手続が終わったら、次は取締役会を開催しましょう。

この取締役会で、いよいよ代表取締役の解任を決議します。

取締役会で代表取締役の解任の決議を行うためのポイントは次のとおりです。

解任決議の5つのポイント

取締役が取締役会に出席する方法

取締役は、取締役会が行われる場所に実際に来ることによって取締役会に出席します。

なお、最近ではZOOMなどのビデオ会議を利用する企業もありますが、このような場合でも出席となります。

 

定足数の取締役の出席

「定足数」(ていそくすう)とは、取締役会が成立するために最低限必要な取締役の出席人数です。

取締役会を開こうとしても、そこに出席した取締役の人数が定足数より少なければ、そもそも取締役会を開催できません。

会社法のルールでは、取締役会の定足数は「議決に加わることのできる取締役の過半数」とされています(会社法369条)。

参考:会社法|電子政府の窓口

 

解職の対象となる代表取締役は議決に加わることができるか?

取締役会で代表取締役の解任を決議する場合、解任の対象となる代表取締役は、議決に加わることができません(最高裁昭和44年3月28日判決)。

参考:最高裁判所判例集|裁判所

会社法のルールには、取締役の利益と会社の利益とが対立するような状況では、その取締役は取締役会の議決に参加できないというものがあります(368条2項。これを「特別利害関係取締役」といいます。)。

取締役会で代表取締役を解任するケースでは、解任される代表取締役は、まさに自分自身の解任がかかっているわけですから、取締役として公正な判断を期待することができません。

そのため、解任の対象となる代表取締役は、取締役会の定足数のカウントから除外されますし、取締役会の議決で賛成・反対の1票を投じることもできないのです。

 

取締役会の議長

取締役会では、議長が会議を進行します。

一般に、取締役会の議長は代表取締役が務めることが多いでしょう。

しかし、代表取締役の解任を決議する取締役会では、その代表取締役は取締役会の議長を務めることはできません。

取締役会の議長は、審議の議事進行をコントロールする力をもっています。

ですので、もし解任される本人が議長を務めると、取締役会の審議に影響を及ぼし、公正な審議にならない可能性があるからです。

このようなケースでは、会社の定款の定めにしたがって代表取締役以外の取締役が議長を務めるか、または取締役会の場で取締役の中から互選によって議長を選びます。

 

取締役会の決議

定足数以上の取締役が出席し、取締役会を開催することができたら、その取締役会で「代表取締役の解任の決議」(より正確な用語では「代表取締役の解職の決議」です)を決議します。

取締役会の決議は、取締役会に出席した取締役の「過半数」が賛成すれば成立します(会社法369条1項)。

参考:会社法|電子政府の窓口

ただし、代表取締役の解任を決議する場合は、解職の対象になる代表取締役本人は、議決に加わることができません。

ですから、まずは解職の対象となる代表取締役を議決のカウントから除外します。

さらに、取締役会に欠席した取締役も議決の計算には入れません。

具体例で考えてみましょう。

具体例 取締役が5人(A、B、C、D、E)いて、そのうち1人(A)が代表取締役である会社の場合

このような会社で、代表取締役Aについて代表取締役の解任を行う場合を考えます。取締役会にEが欠席し、A、B、C、Dの4人が出席したとしましょう。

まず、Eは取締役会そのものを欠席していますから、Eは代表取締役会の解任の議決のカウントには入れません。

さらに、Aは、解任されようとしている本人ですから、こちらも議決のカウントには入れません。

結局、この取締役会における代表取締役Aの解任の決議は、B、C、Dの3人で行うことになります。

さて、代表取締役会の解任の決議は、このB、C、Dの3人のうち「過半数」が賛成すれば成立します。

3人の「過半数」は2人です。

ですから、このB、C、Dのうち2人以上が賛成すれば、代表取締役Aの解任を決議することができます。

 

代表取締役を解任したら代表取締役がゼロになる!これって大丈夫?

代表取締役の人数は、会社によって異なります。

代表取締役が3人いる会社もあれば、代表取締役が1人しかいない会社もあります。

代表取締役が2人いる会社なら、代表取締役を1人解任しても、まだ1人代表取締役がいます。

しかし、代表取締役が1人しかいない会社でその代表取締役を解任した場合、代表取締役がゼロになってしまいそうです。このようなケースは問題ないのでしょうか。

会社法のルールでは、取締役会のある株式会社の場合、代表取締役がゼロになることは許されません(※3)。

ですから、もし、代表取締役のある会社で、代表取締役が1人しかいない場合に、その代表取締役を解任しようとするときは、代表取締役がゼロになるのを避けるため、代表取締役の解任を決議する取締役会の中で、他の取締役を新たな代表取締役に選定する決議も行う必要があります。

※3 株式会社には、取締役会がない会社もあります。取締役会がない株式会社(取締役会非設置会社)の場合、代表取締役がゼロになってもよい場合があります。


 

取締役会議事録の作成

取締役会で「代表取締役の解任」の決議が成立したら、取締役会議事録を作成します。

当事務所は、取締役会議事録のサンプル・雛形をホームページ上に公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。ぜひ、参考にしてください。

合わせて読みたい
取締役会議事録

 

代表取締役の解任が完了!

以上が標準的な代表取締役の解任の手続です。

会社の規模や状況、定款の作り方の違いによって、ここで説明した標準的な手続と比べて、細かい点が異なることがあります。

また、上述のとおり、手続に不備があると、代表取締役の解任が無効になる可能性もあります。

少しでも不安があるときは、代表取締役の解任について豊富な経験を持つ弁護士にアドバイスを求めることをお勧めいたします。

 

 

代表取締役の解任を登記する

さて、ここまでの手続で代表取締役の解任をすることができました。しかし、まだここで安心はできません。

無用なトラブルの発生を避けるため、代表取締役の解任を決議したら、迅速に取締役会の登記をしましょう。

登記については、取締役の解任の解説のページにおいて、詳細を解説しています。

 

 

解任した代表取締役には解任通知を送っておく!

解任通知とは、取締役会で代表取締役の解任を決議した後、会社から解任した代表取締役に対して「会社はあなたを解任しましたよ」と通知する文書をいいます。

解任通知は、法律上、必ずしも必要ではありませんが、トラブル防止のために、解任通知を送ることをお勧めいたします。

解任通知の書式・サンプル

代表取締役の解任に関する解任通知書のサンプルをこちらに用意しました。ご参考にされてください。

合わせて読みたい
解任通知のサンプル

 

 

代表取締役を解任できない場合はある?解任した取締役に損害賠償を請求される可能性は?

代表取締役を解任できない場合はあるの?

すでに説明したように、会社は、取締役会の決議によって、いつでも代表取締役の解任をすることができます。これには例外はありません。

上記で説明した手続をきちんと踏めば、会社はいつでも無条件で代表取締役を解任することができます。

 

解任した代表取締役から損害賠償を請求されることはある?

会社は代表取締役の解任をいつでも自由に行うことができます。

ただ、代表取締役を解任した後で、解任した代表取締役から損害賠償を請求されると、裁判に発展する可能性もありますし、そうでなくても会社にとって大きなダメージになります。

では、解任した代表取締役から会社が損害賠償を請求されることがあるのでしょうか。

実は、解任した代表取締役が会社に対して損害賠償を請求できるかどうかは、法律的に明確な最終結論が出ていません。

会社法にはこの点についてはっきり定めた条文はありませんし、この疑問について明確な答えを示した最高裁判所の判例もまだないのです。

はっきりした結論が出ていないということは、もしかしたら、解任した代表取締役が会社に対して損害賠償を請求できる可能性があるということですので、安心するのは早計です。

このような法律上も明確な答えのない論点については、会社法に関する経験が豊富な弁護士がひとつひとつのケースを分析して専門的な判断をすることで、それぞれのケースにおける結果をある程度予想をすることができる場合があります。

代表取締役の解任に踏み切る前に、解任した代表取締役から損害賠償を請求される可能性について相談してみるのもよいでしょう。

※「取締役の解任」の場合は、会社法にはっきりとした規定があるので、会社が解任した取締役から損害賠償請求を受けることがあります。

「取締役の解任」のケースで損害賠償の請求を受けないようにするためのポイントはこちらをご覧ください。

 

代表取締役の解任のまとめ

代表取締役の解任について、これまでの内容をまとめます。

  • 代表取締役の解任(より正しい法律用語は「代表取締役の解職」)は、会社が代表取締役を辞めさせ、普通の取締役に戻すもの
  • 代表取締役を、代表取締役と取締役の両方から辞めさせたいときは、「代表取締役の解任」ではなく「取締役の解任」を行う
  • 「代表取締役の解任」か「取締役の解任」か?どちらを選ぶかは高度な判断、迷ったら弁護士のアドバイスを
  • 代表取締役の解任は、取締役会の決議によって行う
  • 取締役会の決議は、手続の瑕疵(手続の不備のこと)がないように法律のルールにしっかりとしたがって進める
  • 会社ごとにアレンジされた手続ルールに要注意。手続の前に定款をしっかり確認、不安ならば弁護士のアドバイスを
  • 代表取締役の解任をしたら、すぐに登記申請をする
  • 解任した代表取締役には、解任通知を送るのを忘れずに
  • 損害賠償請求が心配なときは、会社法の経験豊富な弁護士に相談

以上、この記事が代表取締役の解任問題に直面されている企業のお役に立てれば幸いです。

 

 

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