中国における商標登録とは?手続きの流れ・期間・費用を解説

  
執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

中国において貴社の製品・サービスを護ります!

中国で自社の名称・ロゴが盗用されないためのポイントは以下のとおりです。

 

ポイント1マーク日本だけではなく、中国で商標登録をする

自社の商品が知らない間に盗用されたら、どうしますか?

中国では、様々な商品やサービスの模造がなされていることは、テレビの報道などでご存知なのではないでしょうか。

たとえば、ドラえもんのような着ぐるみを着た人が遊園地のキャラクターとなっていたり、見た目はほぼiPhoneですが、中身は全くの別物が発売前に発売されていたり・・・。

私たちはそれを呆れ顔で他人事のように見ています。

しかし、自社が作っている商品で、これからどんどん売り出そうとしていたものやサービスの名称やロゴが使われ、中国の人たちが、それに長蛇の列を作り、飛ぶように売れているとします。

このような場合にどのような対応をとることができるでしょうか。現に、模造されているのは大企業の商品やサービスだけではありません。

この場合には、「商品やサービスを商標として登録しているかどうか」でスタート地点が全く異なります。

なぜなら、この商標登録をしておくことで、商品やサービスの商標を無断で使用された場合には、損害賠償請求や、使用差し止めの請求をすることができるからです。

ただし、日本の商標登録をしていてもほとんど意味がありません。

商標登録の効果は、登録している国にしか及びませんので、中国で商標権の侵害を主張していくには、中国での商標登録が必要です。

しかし、中国における商標登録をするにも、中国語もできなければ手続もまったく分からないという方がほとんどだと思います。

そもそも、中国に経常的居所または営業所のない外国人または外国企業は、商標登録を出願する場合には、弁護士などの、中国の認可した商標代理資格を有する組織に委託し、代理させないといけないと定められており、外国人が自分一人で中国の当局に出願することはできません。

私たちデイライト法律事務所では、中国上海に連絡事務所を設置し、中国の弁護士と提携して皆様の中国における商標登録のサービスを提供いたします。

もちろん日本語での対応が可能となっておりますので、中国での商標登録をお考えの方は、お気軽に問い合わせください。

中国の弁護士及び中国法務に注力した弁護士が企業の皆様の発展をサポートさせていただきます。


順位ポイント2マーク売れてからではなく、売り出そうと決めたら早めに登録する

中国の商標登録制度は、日本と同様、「先願主義」という建前がとられています。わかりやすく言えば、「早い者勝ち」です。

たとえば、Bさんより前にAさんが「X」という商品名のお菓子を売っていたとします。

しかし、Bさんがその後「X」という商品名を使ってお菓子を売ることを思いつきました。そこでBさんはすぐに商標登録を出願し、登録されたとします。

その後、AさんはBさんが「X」というお菓子を売っていることを知りました。

そこでAさんは、「これは自分がずっと前から使っていた商品名だ!」と怒ってBさんを責めたとしても、Aさんは基本的にはその商標を使うことができません。

なぜなら、Bさんが「X」という商標登録を先にしていたからです。

Aさんがその商品名を使いたいと思った場合には、Bさんとライセンス契約を締結し、お金を払って「X」という商品名を使うか、Bさんが不当な理由で「X」という商品名を商標登録したとすると、そのことを理由として異議申し立てや登録の無効を裁判所に求めていかなければならず、とんでもない資金・労力がかかってしまうことになります。

しかも、裁判所が異議申し立てや無効が認めてくれることは多くはありません。

中国に限ったことではありませんが、商標を高値で売りつけるブローカーや、ライバル企業からの嫌がらせなどの目的で、不当に商標登録されてしまうことが多くなっています。

近年、日本には多くの外国人観光客が訪れています。そこで、外国人は日本でどのようなものが流行しているのか、しっかりと見ているのです。

そうすると、気付かれないうちに、中国でその商標が登録されているということがあるのです。

最近では、日本の「大江戸温泉物語」という温泉施設が、同じような外観で上海にオープンし、日本の本家と揉めたことがありました。

この件で日本の本家は中国で商標登録をしていなかったようで、中国では法的には弱い立場に立たされたものと考えられます。

また、「iPad」という商標をめぐりアップル社と中国企業が激しく争い、結果としてアップル社が多額の解決金を支払ったことがあったことは記憶に新しいと思います。

以上のことからすると、企業の皆さまの商品やサービスで既に人気を獲得している商品だけでなく、これから売り出していこうと思っている商品・サービスについては、とにかく早く商標の登録をしておくべきです。

私たちデイライト法律事務所は、企業の皆様からの中国商標登録のご依頼ののち、上海に設置している連絡オフィスの弁護士・スタッフと連携し、スピーディーに商標登録の手続きを進めます。

中国商標登録についてお考えの方は、ぜひ当事務所の弁護士に一度ご相談にいらっしゃってください。


ポイント3マーク盗用されたら、弁護士に相談する

あなたの企業が主力商品に用いている商標を、中国の他の企業が使って同じような商品を販売していた場合、どのようなことができるでしょうか。

まず、中国で商標を登録していた場合には、
・中国の裁判所である人民法院に損害賠償請求訴訟を提起
・工商行政管理部門に取り締まりを要請
の大きく分けて二つの手段をとることができます。

もちろん、日本でこの手続きを取ることはできません。中国の裁判所や行政機関における手続きが必要となってきます。

日本の弁護士は、中国で弁護士として登録することができません。

したがって、中国の弁護士(中国では弁護士のことを「律師」といいます。)にその手続きを取ってもらわなければなりません。

私たちデイライト法律事務所では、上海に連絡オフィスを設置し、上海の法律事務所と提携して業務を行っています。

商標権侵害の疑いがある場合には、まずは当事務所にご相談ください。当事務所の弁護士が中国の弁護士と協力して、商標権侵害に対応いたします。

中国商標登録の手続きにかかる費用や時間については以下をごらんください。

 

中国商標登録の費用

業務着手金(税抜き)

1区分目・・・20万円
2区分目以降・・・1区分ごとに+5万円
商標の登録を出願する際には、その商標を使用する商品や役務(サービス)を指定します。そして、その指定された商品や役務が属する業種も合わせて指定します。この業種のことを区分といいます。

1区分 2区分 3区分
商標1つ 20万円 25万円 30万円
商標2つ 40万円 50万円 60万円

※別途申請の際に必要な実費を預かり金として業務着手時にお支払いいただきます。

登録されたことについての成功報酬(税抜き)

1区分目・・・10万円
2区分目以降・・・1区分ごとに+5万円

1区分 2区分 3区分
商標1つ 10万円 15万円 20万円
商標2つ 20万円 30万円 40万円

※当局から登録を拒絶された場合に意見書を作成する場合には別途追加で着手金をいただきます。

上記着手金及び成功報酬の費用は一応の目安です。事案の内容・難易度等によっては増額させていただく場合がございます。

 

期間

中国の商標法では、商標局は、出願書類の受領日から9ヶ月以内に審査を完了しなければならないと規定されています。

この「審査を完了」とは、予備的査定・公告を行ってもよいかの判断を完了していなければならないことを意味すると解されています。ここで予備的査定とは、第三者からの異議申し立てさえなければ登録してもよいという段階にあることの判断をいい、広告はその旨を公にすることです。

そして、予備的査定がなされて3ヶ月以内にそれに対する異議申立てがなされなかった場合には、公告がなされ商標権が発生します。

時間のイメージ画像そうすると、出願をしてから最長で1年間がかかってしまうため、ある程度の期間はお時間をいただくことはご了承ください。

もっとも、通常何らの問題がなければ予備的査定までは6ヶ月程度の期間であることが多いようです。

そして、一度登録が拒絶されるなどして、弁護士から意見書を提出して当局に不服申し立てをする場合には、さらに期間を要することになります。

 

手続きの流れ

フローチャート

 

中国商標の登録要件

商標の登録が認められるための要件は、以下のとおりです。

①法上の商標であること(商標法8条)

(商標法8条)
自然人、法人又はその他の組織の商品を他人の商品と区別することができるいかなる標章(文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む)は、全て商標として登録出願する事ができる。

これは、基本的に日本と同様です。
なお、日本企業が中国に出願する際に、カタカナや平仮名を含んだ商標を出願した場合には、中国審査官は、中国では一般人が読み取れないものとして、図形として取り扱います。

②使用が禁止されている商標でないこと(同10条)

たとえば、各国の国名や国旗と同一のものや類似するもの、各国政府によりなる国際組織の名称、旗などと同一又は類似のもの、民族差別扱いの性格を帯びたもの、欺瞞性を帯び、商品の品質などの特徴又は産地について公衆に誤認を生じさせるもの、社会主義の道徳、風習を害するもの、などについては使用が禁止されており、商標として登録できません。

③識別力を有する商標であること(同11条)

商標は、自己の商品やサービスを他のものと区別する機能を有するものですので、他のものと区別できないものは商標として登録できません。

具体的には、
〇その商品の単なる普通名称、図形、型番にすぎないもの
たとえば、指定商品がお菓子である場合に、「ビスケット」の文字や単なるビスケットの図形である場合
〇商品の品質、主要原材料、効能、用途、重量及びその他の特徴を直接表示するにすぎないもの
たとえば、指定商品がペットボトルの水であり、標章が「2kg」の場合に は、商品の重量や数量を直接表示するにすぎないとして拒絶されます。
そのほか、同様に他の商品との識別力を欠く場合にも、商標登録は拒絶されます。
ただし、以上のものであっても、これまでに一般的に使用され、容易に識別可能となった場合には、商標として登録することができます。
実務上、良い商品・サービス名でありながら、識別力がないとして登録を拒絶されるケースが多くなっています。このような場合には、一般的な使用による識別力を立証して登録を認めてもらうことが必要となってきます。
識別力の立証には、法的な観点から、効果的な立証が必要となり、この立証のためには弁護士の手助けが必要不可欠といえます。

④商品自体の性質により生じた形状等でないこと(同12条)

立体商標については、単にその商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を得るための不可欠の商品形状、又はその商品に本質的な価値を備えさせるための形状でないことが必要とされます。
もう少し分かりやすく言えば、その商品が本来備えるべき機能を有するための形状そのものではダメだということです。たとえば、腕時計を指定商品として、単にバンドに丸いケースに時・分・秒針がついたデザインの形状では腕時計という商品自体の性質により生じた形状ですので、拒絶されてしまいます。
これらの立体商標について商標権を付与すれば、技術的な効果を得るために不可欠な商品形状等について、半永久的に独占権を付与することになってしまうからです。

⑤馳名商標に係る権利を侵害しないこと(同13条)

馳名商標とは、中国において公衆に熟知され、かつ高い名声と信用を有する商標をいいます。日本でいう著名商標に相当します。
馳名商標については、当局が勝手に馳名商標を侵害しているとして登録を拒絶するわけではなく、馳名商標の所有者が、自ら保護を求め、馳名商標であることの認定を受けなければなりません。

⑥授権されていない代理人又は代表者による出願でないこと(同15条1項)

代理人などによる悪意の先登録を防止するための規定です。

⑦業務提携がある場合の先取りではないこと(同15条2項)

業務提携がある者が、他人の先使用未登録商標と同一又は類似であり、契約、業務取引関係又はその他の関係があることにより、他人の商標の存在を明らかに知っている場合には、その他人が意義を申し立てることにより、登録が拒絶されます。

⑧誤認を生じさせる地理的表示でないこと(同16条1項)

出願された標章が、地理的な表示を含む場合で、その商品が同表示に示された地域では生産されたものではなく、公衆を誤認させる場合には、その登録は拒絶され、またその使用は禁止されます。

⑨他人の登録商標と同一または類似しないこと(同30条)

出願に係る商標が、他人の同一又は類似の商品について既に登録されまたは予備的査定を受けた商標と同一または類似する場合には、出願は拒否されます。
この類似性の判断は、法的な観点から行われ、法律の専門家でなければ判断は困難であることが多いです。

⑩他人が現有する先行権利を侵害しないこと(同32条)

他人が現有する先行権利とは、商標登録出願前に他人が既に取得した意匠権や著作権等のことをいいます。

⑪他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で登録しないこと(同32条)

たとえば、外国の有名ブランドが中国国内で商標登録されていないことにつけ込んで、第三者が先に登録して、商標を高く売りつけるなどのことがないように設けられたものです。

 

以上のような登録要件を満たすものと思って出願したけれども、当局から拒絶を受けてしまった場合には、法的観点から当局に対して意見書を提出する必要があります。

また、自分の使っていた商標が何者かに不正に登録された、他人の商標が自分の商標権を侵害しているにもかかわらずその他人の商標が登録されてしまったという場合には、その登録に対して異議申し立て、広告後であれば無効審決を求めていかなければなりません。

私たちデイライト法律事務所は、中国上海に連絡オフィスを設置し、知的財産権の取扱いについて経験と実績豊富な中国弁護士と協力して皆様の中国商標登録をバックアップいたします。
中国商標登録に興味のある方はぜひ当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。

 

効力

中国の商標権の持つ効力は大きく以下の4つがあげられます。

①専用権

商標権者は、登録商標上の指定商品・サービスにおいて商標を独占的に使用する権利を有し、他者による使用を差し止めることができます。

②使用許諾権

商標権者は、他人に対し登録商標の使用を許諾することができます(商標法40条1項)。商標使用許諾の契約については商標局への届け出が必要で(同条)、届出は許諾の事実を第三者に対して主張するための要件です(商標司法解釈19条)。

③譲渡権

商標権者は、登録商標を他人に譲渡することができます。
登録商標を譲渡する場合には、譲渡合意を締結し、譲渡申請を共同して商標局に提出する必要があります(商標法実施条例25条1項)。この場合には、同一・類似商品について登録した同一・類似商標も一括して譲渡する必要があります(商標法実施条例25条2項)。
登録商標の譲渡は、原則として譲渡前に効力の生じた商標使用許諾契約の効力に影響しないものとされています(商標司法解釈20条)。

④表示権

商標を登録した者が登録商標を使用する場合には、商品、商品包装または説明書などに、「登録商標」という文字または登録標記(たとえば、○Rという記載)を明記する権利を有します。登録標記を用いる場合には、商標の右上または右下に表示する必要があります。

 

中国商標の効力有効期間

登録商標の有効期間は10年とし、これは登録日から起算されます(商標法37条)。

登録はさらに10年ずつ更新が可能で、期間満了の6ヶ月以内に更新の手続きが必要です。

 

商標権が侵害された場合の救済ルート

・中国の裁判所である人民法院に損害賠償請求訴訟を提起
・工商行政管理部門(行政)に取り締まりを要請
・悪質な侵害者に対する刑事告発

以上3つのルートがあります。

ただし、人民法院への訴訟提起の時効は、商標権者または利害関係人が侵害行為を知り、または知りえた日から2年です。もっとも、2年経過後にも侵害行為が継続している場合には、侵害行為の停止が命じられます(商標司法解釈18条)。

 

 

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