宣伝に使いたい写真に有名キャラクターが写り込み。問題あり?

  
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・ITパスポート

弊社のインターネット上のホームページで、広告宣伝用の写真をアップロードしようと考えています。

子どもただ、その写真には、ある有名なアニメキャラクターがプリントされたシャツを着た男の子が写り込んでいます。

写真を使うことに問題はあるでしょうか?

 

弁護士本村安宏この質問について、IT事業に詳しい弁護士がお答えします。

著作権法上の問題点

シャツにプリントされた有名アニメキャラクターは、作者の思想又は感情を創作的に表現したものであり、著作物であるといえます。

カメラそして、これを写真に写す行為は、著作物の複製に当たります(著作権法21条)。

なお、「著作物」及び「複製」についてはこちらをご参照ください。

では、この写真をアップロードすることは、著作権侵害に当たるのでしょうか?

 

付随対象物著作物の複製であれば、著作権侵害ではない

写真普段の何気ない風景を写真に収めようとした場合、その中に何かしらの著作物が写り込むことは避けられません。それをいちいち「著作権侵害だ」といってもキリがありません。

著作権法30条の2第1項は、「付随対象著作物の利用」として、写り込んだ著作物の利用(複製又は翻案)を例外的に適法とする規定を設けています。

適法性については、以下の要件を満たすかどうかを検討します。

①写真の撮影、録音又は録画の方法によって著作物を創作する場合であること
※ここで創作された著作物を「写真等著作物」といいます。
②付随対象著作物が写り込む、又は録り込まれること
※「付随対象著作物」とは、端的にいえば、「写真等著作物」に写り込んでしまった別の著作物のことを指すと考えて差支えありません。
③付随対象著作物が、写真等著作物と分離することが困難であること
④付随対象著作物が、写真等著作物の軽微な構成部分となること
⑤著作権者の利益を不当に害することがないこと

前記のご相談内容は、①、②の要件は満たされていることがわかります。問題は③~⑤です。

 

分離困難性とは?

分離が困難であると評価される場合とは、写真等著作物を創作する際の状況からすると、付随対象著作物を除いて創作することが客観的にみても困難であるときです。

弁護士すなわち、「この写真を撮影するためには、他の著作物が写り込んでしまうことを避けることはどう頑張っても無理だ。」というイメージです。

ご相談内容を考えると、撮影したいのは、外で元気に遊んでいる男の子である、という状況であれば、来ているシャツがキャラものであることは避けられないところです。

撮影そのようなケースでは、分離困難性が認められる可能性が高いです。

一方で、こちらから意図してキャラもののシャツを選び、それを着せた男の子を撮影したい、というのであれば、他の著作物が写り込んでしまうことを避けることは容易なはずです。

そのようなケースでは、分離困難性が認められず、著作権侵害となる可能性が高いです。

 

構成部分の軽微性とは?

この要件については、決まった数字的割合などが定められているわけではありませんが、撮影されたものに占める他の著作物の割合が小さければ、軽微と評価されることになります。

弁護士ただし、いくら外で遊ぶ男の子を撮影するとはいえ、写真いっぱいに有名キャラクターが写り込んでしまう場合は、撮影しようとした写真に対するキャラクターの割合が大きくなってしまうため、軽微とはいえなくなってきます。

そのような場合は、やはり著作権侵害と評価される可能性が高いので注意する必要があります。

 

著作権者の利益を不当に害することがないこと

弁護士ここまでの要件をすべて満たせば、形式的には「複製」に当たる(=著作権侵害行為に当たる)ところであっても、基本的には適法と判断されるものと思います。

ただ、例えばその被写体の様子をみて、付随的著作物のイメージを損なうような、あまりに品位を欠く写り方をしてしまっては、著作権者としては我慢ならないでしょう。

競合その結果、著作権者の著作物の売り上げが下がったなど、経済的な打撃を与えたような場合は、著作権者の利益を不当に害した、と判断される可能性があります(とはいえ、常識的な写真の撮り方等をすれば、このような可能性はあまりないかと思います。)。

作品から受ける印象はそれこそ人それぞれであるため、その評価は難しいところですが、よくよく冷静かつ客観的に写真等を確認しなければなりません。

 

その他に法的問題はないか?

ポイント以上みてきたところをすべてクリアしておけば、著作権法上の問題はありません。

もっとも、被写体の同意なく写真等著作物を使用することは、その被写体の方のプライバシー権、肖像権等を侵害する可能性もあります。

どんなに素敵な写真が撮影できたとしても、撮影された内容、撮影された人の意思をしっかりと確認しておくことを忘れないようにしなければなりません。

 

お悩みの方は当事務所まで

デイライト法律事務所企業法務チーム当事務所では、IT事業に特化した弁護士が対応しております。

まずはお気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。

 

 

   
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属/福岡県弁護士会

保有資格/弁護士・ITパスポート

専門領域/法人分野:IT関連分野・労務問題 個人分野:離婚問題

実績紹介/福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所の弁護士。IT関連分野に注力し、システム開発の受発注における契約内容の整備などをサポートしている。著書「働き方改革実現の労務管理」。その他、メディアからの取材実績もあり。

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