ウェブ上での画像の利用と著作権法

  
執筆者
弁護士 本村安宏

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

保有資格 / 弁護士・ITパスポート

弊社では、インターネットを通じて商品を販売しているのですが、その商品を紹介するにあたり、仕入先企業のサイトにある商品画像を弊社のサイトに掲載しています。

お互いインターネットを通じて商売をやっていることはわかっているので、問題はないですよね?

 

弁護士本村安宏結論としては、著作権侵害にあたる可能性が高いです。この質問について、IT事業に詳しい弁護士がお答えします。

ウェブ上の写真画像は著作物にあたる

そもそも「著作物」とは?

パソコンの写真著作権による保護の対象となるのは、それが「著作物」である必要があります。

ここで、「著作物」とは、①思想又は感情を②創作的に③表現したものであって、④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます(著作権法2条1項1号)。

①思想又は感情

保護の対象となるのは、思想又は感情なので、単なる事実やデータは著作物とはいえません。
たとえば、「福岡の今日の最高気温は10度である」などは思想又は感情とはいえません。

②創作的

高度の独創性、独自性を必要とする趣旨ではありませんが、多少なりとも著作者の個性が表れている必要はあります。
前述のご質問では、この創作性が問題となります(後述)。

③表現であること

どれほど思想又は感情として優れ、独創的であったとしても、それが外部的に表現されたものでなければ保護の対象にはなりません。
逆にいえば、アイディアにとどまる限りは、著作権法による保護を受けることはできません。

④文学、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること

東京高裁は、「知的、文化的精神活動の所産全般を指す」と述べていますが、この要件を満たさないとして「著作物」に当たらないとされるものはほとんどないものと考えても基本的に差支えはありません。

 

商品画像に創作性は認められるのか?

商品の画像は、単にその状態を画像に収めただけであって、創作性は認められないとする考え方もあります。

写真しかし、裁判所は、
「写真は、被写体の選択・組合せ・配置、構図・カメラアングルの設定、シャッターチャンスの捕捉、被写体と光線との関係(順光、逆光、斜光等)、陰影の付け方、色彩の配合、部分の強調・省略、背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である」とし、
「何らかの独自性が表れることが多く、結果として得られた写真の表現自体に独自性が表れ、創作性の存在を肯定し得る」としています(知財高裁平成18年3月29日判決、スメルゲット写真事件)。

以上から、商品の画像には創作性が認められ、結果として「著作物」にあたります。

 

複製権、公衆送信権の侵害

複製権とは

使用した写真が、著作物の複製にあたる場合、それは複製権侵害ですので、著作権侵害となります。

ここで、複製とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」とされ(著作権法2条1項15号)、裁判例上は、その表現上の本質的特徴を直接感得することのできるものを作成することとされています。

ダウンロード前述のように、使用した写真が、ことさらに商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなかった(=商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるとの見方もあり得る)としても、被写体の組合せ・配置、構図・カメラアングル、光線・陰影、背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから、その創作性の程度が極めて低いものであったとしても、創作性は認められます。

そして、これをそのままコピーして自社サイトに掲載する行為は、それが著作物である以上、複製権の侵害となります。

 

公衆送信権とは

公衆送信とは、「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと」をいいます(著作権法2条1項7号の2、カッコ書きは省略)。

パソコンいささか分かりにくい定義ではありますが、要は、著作物を、著作者の許諾なく、テレビ、ラジオ、インターネット等を通じて閲覧できるようにすることを、「公衆送信権の侵害」と考えています。

前述のご相談では、商品の画像は「著作物」ですので、これを許諾なく自社のサイトに掲載することは、公衆送信権の侵害となり、著作権の侵害となります。

 

インターネット上での画像の利用にはよくよく注意が必要です

商品の画像を掲載するにあたっては、何かしら工夫をして、商品が魅力的にみえるよう撮影するのが普通だと思います。

ポイントたとえ相手がなじみの取引相手であったとしても、サイト上の商品画像には著作権がありますので、これを利用するにあたっては、事前に著作権者が誰なのか、許諾をもらえるか、きちんと確認をしておく必要があります。

なお、適切な方法をとることにより、「引用」(著作権法32条1項)に該当する場合は、許諾がなくとも著作権侵害が生じないようにすることはできます。

その判断には法的評価が必要となりますので、迷ったときは専門家に相談されることをお勧めします。

 

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