合併について定められた必要的手続上の瑕疵のうち、軽微なものや治癒されて合併の効力に影響がないと認められないものが無効となると解されています。
以下、例を上げて紹介します。
会社の適格上の瑕疵
会社法は、持分会社(※)が解散した場合、当該持分会社は、合併をすることができないと定めています(ただし、合併により当該持分会社が存続する場合に限る)。
※持分会社とは、会社法に規定された会社のうち、合名会社・合資会社・合同会社の総称です(会社法575条)。この制限に違反する場合、合併無効となります。
合併の意思表示にかかる瑕疵
合併契約が当事者である会社の錯誤、詐欺、強迫といった意思の欠缺、又は意思表示の瑕疵によって無効となり、又は取り消された場合、合併契約は無効となります。
ただし、これを無効原因とする主張は、合併登記までの間に限って許されると解されています(会社法51条2項類推)。
合併契約の瑕疵
会社法は、旧商法と異なり、合併契約の成立に書面(契約書)を要求していません。
しかし、同法は、合併契約において必要な事項を定めており(例えば、吸収合併については会社法749条1項参照)、仮にこの必要事項を定めていない場合、当該合併契約は無効となります。
合併決議の不存在・無効・取消し
株式会社が合併する場合、株主総会における特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数の決議)が必要です(持分会社の場合は総社員の同意が必要)。
この承認決議が不存在の場合、又は無効事由、取消事由となる瑕疵がある場合、合併無効となります。
債権者保護手続の履践を欠く
合併手続では、債権者に対する異議申述の公告及び催告、異議を申し出た債権者への弁済その他の措置が必要ですが、これらがなされたなかった場合、合併無効の原因となります。
解散会社の株主に対する株式割当ての違法
解散会社の株主に対して、株式の割当てが違法に行われた場合、合併無効の原因となります。
その他
上記の他にも、独占禁止法の定める合併制限に抵触する(同法15条、18条)、主務大臣の認可・許可を要する場合にこれを欠くなどの場合も、合併無効の原因となります。
合併の有効性判断には、専門的な知識、経験が必要です。
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