不適合責任とは、どういったものですか?瑕疵担保責任とは違いがあるのですか?

  
執筆者
弁護士 本村安宏

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

保有資格 / 弁護士・ITパスポート

民法改正により、「不適合責任」というものがあると聞いたのですが、どういったものですか?

瑕疵担保責任とは何か違いがあるのですか?

 

弁護士この質問について、弁護士がお答えします。

「瑕疵」の考え方に変更はない

六法全書改正民法において、「不適合」とは「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約内容に適合しないもの」と規定しており、「瑕疵」という表現はなくなりました。

もっとも、従来から考えられていた「瑕疵」の概念を変えるものではないため、大きな違いはありません。

 

明文で認められた「履行追完請求」(562条1項)

改正前民法では、売買契約によって引き渡した物に不具合があったとしても、「その物を引き渡すこと」自体が契約内容であったため、修補や代替物の引渡し、不足分の引渡しなどを請求することができませんでした(問題があった場合には、その対応をするのが通常と思いますが、あくまで任意のものであって、義務ではありませんでした。)。

しかし、不具合があれば修補等を求めたりすることは当然のことです。

解説図したがって、改正民法では、明文で修補等を求めることができる規定を置きました。これを履行追完請求といいます。

なお、契約不適合責任が認められた場合、上記の履行追完請求権の他、代金減額請求権(563条)、債務不履行責任一般規定による損害賠償請求権(415条)、解除権(541条、542条)を行使することができます。

 

システム開発への影響

システム開発においては請負契約、または準委任契約の形態が多いと思われるので、売買に関する改正が直接影響を与える部分は多くないかもしれません。

ただし、2点、気を付けなければなりません。

まず、システム開発において、ハードウェア等の動産の売買が行われる場合は、売買の規定が直接適用されることになります。

そうなると、売った物が特定物であったとしても、現行法とは異なり、目的物の修補や代替物の引渡し、不足分の引渡しなどを請求される可能性があります。

次に、若干の修正がなされるものの、売買の規定は請負契約にも準用されるため、契約形態が売買でないからといって、上記規定を無視することは危険です。

 

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