クライアントが検査をしてくれない場合の対応を教えて下さい。

  
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・ITパスポート

先日、クライアントから受注していたWebサイトの制作を終え納品したのですが、クライアントからは確認作業を終えたかどうかなかなか連絡がきませんでした。

男性今回の案件については外部の制作会社の協力もあったため、外部委託費も支払わなければならない状況でした。

しかし、クライアントは「まだ確認ができていないため、請求は待ってほしい」と言い続け、さらに後には「サイトの公開ができていないのだから、費用は支払えない」と言われてしましました。

 

この問題について、弁護士がお答えします。

システムの納品にしろ、Webサイトの納品にしろ、目的物に問題がないかクライアントに確認してもらう必要があります。

たいていの場合、この確認作業を終え、問題がないことがわかってから製作費の請求をするというのが一般的な流れです。

この確認作業がいわゆる「検査」です。つまり、検査に合格して初めて受注者は費用請求ができ、逆にいえば、検査に合格しなければ、費用を請求することができないのです。

契約書を作成する際、「検査に合格した場合、代金を支払う。」としか記載されていないと、想定していなかった仕様の変更や機能の追加を理由に不合格にされ、費用の請求も拒まれるといったトラブルを招きます。

弁護士このようなトラブルを防ぐために、必ず検査期間を設けるべきです。

検査がなされないことによる問題

正当な理由なく検査の合格を受けられない場合の問題は、相談者も言われているような、外部制作会社に一部の作業を任せている場合です。

お金発注者との契約関係と、外部制作会社との契約関係はまったく別ですので、発注者からの支払いが遅れれば、自社に支払能力がないまま外部制作会社に対する支払いをしなければならなくなります。

他社に迷惑をかけてしまえば信用問題にも関わりますので、結果的に事業が回らなくなってしまう危険性もあります。

 

検査に関する契約書の規定の仕方

仕様の変更や機能の追加は、本来は契約内容が履行されてからの話であって、まずは発注者がその代金を支払わねばならないのが基本です。

しかし、発注者がこれを理解していなければ、やはりもめる原因となってしまいます。

そこで、契約内容で発注者側にも一定の義務を負ってもらいましょう。ポイントは以下の3点です。

①検査の合格基準を明確にしておく

合格基準は「最初に決めた仕様と一致しているか否か」」に限定すべきです。そうでなければ、様々な理由を付けられて不合格にされてしまいます。

②不合格の理由書を求める

合格基準を決めたら、なぜその基準に達しなかったのか、具体的に示してもらわなければ対応のしようがありません。

そこで、書面で不合格理由をきちんと示すことを義務付けるべきです。

③検査に期限を設けておく

①と②を契約書に記載していても、そもそも検査に入ってもらわなければやはり費用の請求は遅れてしまいます。

そのため、一定の検査期間を設け、これを徒過した場合は合格したものとみなすという規定を設けることが重要です。

期間としては契約内容によって7日から14日程度を目安にするとよいでしょう。

ただし、発注者側にもやむを得ない理由で検査が行えない場合もあるかもしれません。そのような場合は、遅延分の管理費等追加の費用をあらかじめ定めておくことも有用です。

以上のような対策を取っておけば、相談者もトラブルを回避することができたかもしれません。

 

 

   
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属/福岡県弁護士会

保有資格/弁護士・ITパスポート

専門領域/法人分野:IT関連分野・労務問題 個人分野:離婚問題

実績紹介/福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所の弁護士。IT関連分野に注力し、システム開発の受発注における契約内容の整備などをサポートしている。著書「働き方改革実現の労務管理」。その他、メディアからの取材実績もあり。

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