度重なる追加作業の費用を請求したい場合、どうすればよいですか?

  
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士・ITパスポート

残業受注したプログラム作成の過程で、取引先から何度も追加作業や修正を求められています。

弊社としては、クライアントに満足していただきたいため、できる限りの対応をしようと考えてはいますが、人件費をかけているわけなので、きちんと費用を請求できるようにしておきたいです。

どうすればよいでしょうか。

 

弁護士この問題について、弁護士がお答えします。

ビルや家の建築と異なり、IT分野の完成品はできてみなければどのようなものかわかりません。Webデザインなどは、発注者の主観と受注者の主観がぶつかることもありますので、イメージのすり合わせがどうしても後手になりやすいものです。

後で紛争が生じないようにするために、やはり重要なのは契約書の作成ですが、以下では契約書の中で何を定めるのか、具体的に説明していきます。

まずは契約の基本をしっかり押さえる

社印契約の基本は、①どのようなサービスを提供するのか、②そのサービスに対して、いくらの対価を得るのか、という点を押さえるのが最低限です。

この2点を押さえておかないと、どこまでやらないといけないのかが互いにわかりません。

①の、どのようなサービスを提供するのかについては、なるべく具体的に列挙しておくことが重要です。

 

契約書を作成する段階で決められなかったこと

契約書を作成する当初の段階では、どのような内容のサービスをどの程度提供するのか、話が煮詰まらないこともしばしばと思います。

このような状態でプロジェクトを開始した場合、発注者としては「契約書には書いていないが、普通に考えたらやってもらうのが当然」と考える人もいるでしょう。

一方で、受注者としては、「これは契約書に書いていないのだから、契約の範囲外だ。その作業を要求するのであれば、追加費用を払ってもらわなければ困る」と考える人もいるでしょう。

こうなってしまうと、プロジェクトの途中でもめてしまうことは目に見えています。

このような紛争が起きないようにするためには、決まらなかったことを何となくで放っておくのではなく、契約書作成の段階で決まらなかったことも契約書に書くことをお勧めします。

決まらなかったことを明記しておけば、受注者としてどこまでのことをすればよいかも明確ですし、発注者側としても、これ以上のことをしてもらうにはきちんと契約をしなければならない、と認識することができます。

具体的には、
「●●条で定めた業務内容以外の作業及びその対価については、今後の協議にて定める。また、その協議次第では、●●条で定めた業務について代金や納期が変更になる場合があることを相互に確認する。」ですとか、
「●●条で定めた業務内容以外の作業である▲▲については、今後の協議にて定める。」など決まっていないこと自体を具体的に記載しておくことも効果的です。

 

変更が生じる場合は、必ず形が残るようにしておく

仕様の変更や修正は常に起こり得るものと考えるべきです。これに迅速に対応することは大切ですが、急ぎのときはどうしても口頭だけでのやりとりになってしまったり、変更や修正が担当者レベルの独断で伝えられてしまうこともあります。

そのため、メールや議事録など、客観的に形が残るようにしておくことが重要です。

仮に口頭でのやりとりをするのであれば、契約書作成の段階で、
「仕様の変更につき急を要する場合は、口頭での対応も行うこととし、事後的に変更内容につき相手方に対し書面を送付する」
としておけば、事後的に書面送付を相手に義務付けることも可能です。

また、口頭でのやりとりも可能にすることで、「書面を送っていないのだから仕様変更を求めてはいない以上追加費用も払わない」という反論をできるだけ防ぐこともできます。

 

 

   
執筆者
弁護士 本村安広

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士

所属/福岡県弁護士会

保有資格/弁護士・ITパスポート

専門領域/法人分野:IT関連分野・労務問題 個人分野:離婚問題

実績紹介/福岡県屈指の弁護士数を誇るデイライト法律事務所の弁護士。IT関連分野に注力し、システム開発の受発注における契約内容の整備などをサポートしている。著書「働き方改革実現の労務管理」。その他、メディアからの取材実績もあり。

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