ステークホルダーとは?意味・言い換え・語源と具体例を簡単に解説

監修者:弁護士 西村裕一
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

ステークホルダーとは

「ステークホルダー」とは、企業や組織の意思決定や事業活動によって、直接的または間接的に影響を受けるすべての「利害関係者」を意味する言葉です。

「ステークホルダー(stakeholder)」という言葉は、英語の「stake(賭け金、利害関係)」「holder(保有者)」という2つの単語に由来します。

かつての経営理論では「企業は株主のもの」という考え方が主流でしたが、現在では、持続可能な成長(サステナビリティ)のために、多様なステークホルダーとの協力関係・調和が重要であると考えられています。

ステークホルダーには、顧客、従業員、取引先、金融機関、地域社会、行政機関などが含まれます。

企業がステークホルダーとの間で信頼・協力を築くことは、資金調達や人材確保のみならず、リスク管理やブランド価値向上、社会貢献(SDGs)などを実現し、長期的な成長と価値創造のために不可欠なものです。

この記事では、ステークホルダーの意味や語源、ステークホルダーの具体例や種類、ステークホルダーの重要性などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

ステークホルダーとは?

ステークホルダーの意味

ステークホルダーとは

「ステークホルダー(stakeholder)」とは、企業や組織の意思決定や事業活動によって、直接的または間接的に影響を受けるすべての「利害関係者」を意味する言葉です。

現代の企業法務やコーポレートガバナンスの文脈において、この概念は非常に重要な役割を果たします。

以前は「企業は株主のもの」という考え方が一般的でしたが、現在は、企業には多様なステークホルダーとの信頼関係や協力関係が重要であると考えられています。

ステークホルダーの具体例として、顧客、従業員、取引先、金融機関、地域社会、行政機関などが挙げられます。

たとえば、企業の不祥事が発生した際、法的な責任を負う相手は契約当事者(顧客や取引先)に留まりません。

環境汚染であれば地域住民、労働問題であれば従業員やその家族など、広範なステークホルダーに対して、社会的責任(CSR)や説明責任を果たすことが求められています。

 

ステークホルダーの英語と語源

「ステークホルダー(stakeholder)」という言葉は、英語の「stake(賭け金、利害関係)」と「holder(保有者)」という2つの単語に由来します。

その語源には諸説ありますが、1984年にアメリカの哲学者R.エドワード・フリーマンが著した『Strategic Management: A Stakeholder Approach』の中で使用されたことで、それ以前は「競馬の賭け金を一時的に預かる第三者」や「投資者」を指していた用語が、ビジネス用語として確立されたと言われています。

また、かつてアメリカの開拓時代に自らの土地の所有権を主張するため、四隅に「杭(stake)」を打ち込んでその土地の権利を保持(hold)したことに由来するという俗説もあります。

いずれの説においても、「将来や権利関係について、何らかの重大な関心、あるいはリスクを共有している主体」という本質的な意味が含まれています。

したがって、法的な権利義務の主体(契約当事者)よりも、より広範な社会的つながりのある主体を指す言葉としてステークホルダーという言葉が使用されます。

 

ステークホルダーの言い換え

日本語においてステークホルダーは、一般的に「利害関係者」と言い換えられます。

企業の意思決定によって直接的・間接的に影響を受ける個人や団体を総称する際に使われます。

特に対象を限定しない広義の文脈では、経営者、従業員、顧客、サプライヤーといった直接的な関係から、地域社会や行政機関、さらには地球環境といった間接的な要素までを含みます。

例えば、「新商品の開発においては、顧客や従業員だけでなく、地域社会も重要なステークホルダー(利害関係者)として配慮すべきだ」といった使い方がなされます。

一方で、特定の文脈、特に資本市場やコーポレートガバナンスに関連する場面では、「株主」や「投資家」を指す言葉として言い換えられることがあります。

株主総会において「ステークホルダーの皆様」と呼ぶ場合、実質的には出資者を指しているケースが多いでしょう。

また、プロジェクト管理の現場では、単に「関係者」や、協力関係を強調する「パートナー」、さらには意見を反映させるべき対象として「エンゲージメント対象」と言い換えることもあります。

以下で詳しく解説する「ステークホルダー分析」や「ステークホルダー・マネジメント」といった用語を用いる際は、その対象が「誰を指しているのか」を明確に定義し、文脈に合わせた適切な言い換えを行うことが大切です。

 

ステークホルダーとシェアホルダーとの違い

ステークホルダーと混同されやすい言葉に「シェアホルダー(shareholder)」があります。

「シェアホルダー(shareholder)」は、 「株主」のことを指します。

特に、議決権を行使して企業の経営方針に直接的な影響を与える、コーポレートガバナンス上の主権者を意味するニュアンスが強い言葉です。

シェアホルダーは「所有と経営の分離」の原則に基づき、剰余金配当請求権や残余財産分配請求権といった法的な「権利」を直接有する特別なステークホルダーです。

そして、ステークホルダーは、シェアホルダー(株主)を含む、より広い概念です。

ステークホルダーには、直接的な契約関係がない地域住民なども含んでいます。

以上のように、ステークホルダーはシェアホルダーを包含する概念、すなわち、「シェアホルダーは、ステークホルダーの一部」ということになります。

現代の経営においては、シェアホルダーの利益(株主利益)と、それ以外のステークホルダーの利益をいかに高度にバランスさせるかが、健全な企業運営の指標となっています。

 

 

ステークホルダーの具体例

株主や投資家

株主は、会社に対して出資を行い、その対価として社債や株式を保有する「会社の実質的な所有者」です。

ステークホルダーの中でも、特に密接な利害関係を持つ「直接的ステークホルダー」の代表例と言えます。

株主は、株主総会での議決権行使を通じて経営陣の選任や解任、定款変更などの重要事項を決定する権限を持ちます。

また、剰余金の配当を受ける権利(自益権)を有しており、企業の収益力や財務の健全性に最も敏感な存在です。

近年では、単に利益還元を求めるだけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から、企業の社会的責任や中長期的な持続可能性を厳格に監視する投資家が増えています。

企業としては、IR(インベスター・リレーションズ)活動を通じて透明性の高い情報開示を行い、これら投資家と建設的な対話を築くことが、安定した資本調達と企業価値向上に直結します。

 

経営者

取締役や執行役などの経営者は、株主から経営を委託された立場であり、組織内部に位置する「内部的ステークホルダー」です。

経営者の意思決定は、他のすべてのステークホルダーに多大な影響を及ぼすことになります。

そして、経営者は会社に対して「善管注意義務」や「忠実義務」を負っています。

これは、特定のステークホルダー(例えば大株主のみ)の利益に奉仕するのではなく、会社全体の利益、ひいてはステークホルダー全体のバランスを考慮して適正な判断を下す義務でもあります。

もし経営判断を誤り、会社に損害を与えた場合には、株主代表訴訟などの法的リスクにさらされる可能性もあります。

したがって、経営者は各ステークホルダーのニーズを正確に把握し、それらを調整しながら企業の目標を実現していく、いわば「ステークホルダー・マネジメント」の司令塔としての役割を担っています。

 

従業員(労働者)

従業員は、労働力を提供し企業の付加価値を直接生み出す、「内部的ステークホルダー」に該当します。

企業の持続的な成長には、従業員の高いモチベーションとスキルの発揮が欠かせません。

法律上、企業と従業員は「労働契約」によって結ばれており、企業には安全配慮義務や適切な賃金支払い、労働時間管理の徹底が求められます。

昨今の「働き方改革」や人的資本経営の流れの中で、従業員に対する待遇改善やキャリア形成の支援、多様性の確保(ダイバーシティ&インクルージョン)は、単なる福利厚生ではなく、法務・コンプライアンス上の重要課題となっています。

従業員満足度の低下は、離職率の上昇や労働紛争のリスクを招くだけでなく、サービスや品質の低下を通じて顧客や株主の利益を損なうことになります。

そのため、従業員を「コスト」ではなく「共に価値を創造するパートナー」として捉える視点が企業には不可欠です。

 

グループ会社

親会社、子会社、関連会社などで構成される「企業グループ」において、グループ各社は互いに密接な影響を及ぼし合うステークホルダーとなります。

現代のビジネスでは、単体企業ではなく連結ベースでの成長が重視されるため、その関係性は非常に強固です。

資本関係がある以上、子会社の不祥事や業績不振は親会社の株価や社会的信用に直結します。

また、親会社には、グループ全体のガバナンス(統治)を効かせつつ、各子会社の自律性をどう保つかというバランスが求められます。

グループ全体を一貫した経営理念で繋ぎ、シナジー(相乗効果)を最大化させることは、投資家からの評価を左右する重要な要素となります。

 

金融機関などの債権者

銀行や保険会社、証券会社などの金融機関は、融資や社債の引き受けを通じて企業に資金を供給する「債権者」としてのステークホルダーです。

株主が「利益の分配」を求めるのに対し、債権者は「元本の確実な返済と利息の支払い」を重視します。

金融機関は、企業の財務状況やキャッシュフローを厳しくモニタリングします。

業績が悪化し、貸倒れのリスクが高まれば、追加融資の停止や債権回収の強化といった厳しい措置を講じることもあります。

一方で、事業再生や新規事業の立ち上げ時には、経営コンサルティング的な役割や資金面でのバックアップを担うパートナーにもなり得ます。

 

顧客や取引先

顧客(消費者)は製品やサービスの提供先であり、取引先(サプライヤー)は原材料やサービスの供給元です。

これらは企業の収益の基盤であり、実務的な接点が多い「直接的ステークホルダー」に該当します。

顧客に対しては、製造物責任法(PL法)や消費者契約法などの遵守、および品質管理の徹底が法的責任として課せられます。

顧客満足度の向上は、ブランド価値の構築に直結します。

また、取引先との関係では、下請法などの法令遵守はもちろん、近年では「サプライチェーン・マネジメント」の重要性が増しています。

仕入先の労働環境や環境問題が、発注元である自社のレピュテーション(評判)を毀損するリスクがあるためです。

単なる売買関係を超え、互いに持続可能な社会の実現に向けた協力関係を築くことが、現代の取引慣行において強く求められています。

 

一般市民

直接的な取引関係がなくても、企業が活動する地域に住む住民や、社会全体を構成する一般市民も「間接的ステークホルダー」に含まれます。

企業が排出する騒音や廃棄物、あるいは交通渋滞といった物理的影響から、地域の雇用創出といった経済的影響まで、その範囲は多岐にわたります。

近年では「企業の社会的責任(CSR)」の枠組みを超え、地域社会への貢献や環境保全活動が、企業の「公器」としての存在価値を証明するものとなっています。

もし地域社会との間に深刻な対立が生じれば、操業差し止め訴訟などの法的紛争に発展したり、不買運動によってブランドが失墜したりする恐れもあります。

企業としては、地域住民との対話を大切にし、社会から「存在を許容され、歓迎される」状態を維持することが、長期的なリスクマネジメントとなります。

 

官公庁などの行政機関

国や地方自治体といった行政機関は、法律や条例に基づき企業活動を規制・監督するステークホルダーです。

すべての企業にとって、厚生労働省(労働基準監督署)などは共通のステークホルダーですが、業種によっては金融庁、国土交通省、総務省などが個別の監督官庁となります。

行政機関の役割は、許認可の付与、立入検査、法令違反に対する行政処分など多岐にわたります。

企業にとっては、規制遵守(コンプライアンス)を徹底し、健全な関係を維持することが事業継続の前提条件となります。

また、単に規制を受けるだけでなく、官民連携(PPP)や補助金事業、政策提言などを通じて、より良い社会基盤を構築するためのパートナーとして関わる場面も増えています。

行政との円滑なコミュニケーションは、経営の基盤を確保する上で非常に重要となります。

 

マスメディア

新聞、テレビ、インターネットニュースなどのマスメディアは、企業の情報を社会に拡散し、世論を形成する「間接的ステークホルダー」です。

メディアを通じた情報の伝わり方は、企業のブランドイメージやレピュテーションに決定的な影響を与えます。

良好な関係を築くことができれば、新製品のPRや企業の取り組みを広く認知させる強力な味方となりますが、ひとたび不祥事や不適切な発言があれば、批判的な報道により甚大なダメージを受けることになります。

表現の自由との兼ね合いもありますが、企業側としては情報の正確な開示と、誠実な広報(PR)活動が求められます。

SNSの普及により誰もが発信者となり得る現代において、マスメディアとの接点を適切に管理することは、危機管理(クライシス・マネジメント)の観点からも無視できない経営課題といえます。

 

 

ステークホルダーの種類

ステークホルダーは、企業活動との関わりの深さや影響の伝わり方によって、大きく「直接的ステークホルダー」「間接的ステークホルダー」の2種類に分類されます。

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。

 

直接的ステークホルダー

直接的ステークホルダーとは、企業の事業活動の内容や規模に直接的な影響を与え、またその活動の結果によって生じる利益や不利益をダイレクトに享受・負担する個人や組織を指します。

実務的には「日常的に密接なやり取りが発生する相手」と捉えると分かりやすいでしょう。

代表例としては、資本を提供する「株主・投資家」、労働力を提供する「従業員」、資金を融通する「金融機関」、そして製品・サービスを享受する「顧客・消費者」や「取引先」が挙げられます。

例えば、企業の業績が悪化すれば、株主は配当減少や株価下落という直接的損失を被り、従業員は給与や賞与のカットという影響を受けます。

このような直接的ステークホルダーは、企業の存続に直結する基盤であり、法的な契約関係(雇用契約、売買契約、金銭消費貸借契約など)に基づいた権利義務を有している場合がほとんどです。

そのため、プロジェクトの意思決定に際しては、まずこれら直接的ステークホルダーとの合意形成や利害調整が最優先事項となります。

 

間接的ステークホルダー

間接的ステークホルダーとは、企業活動に対して直接的な契約関係や取引はないものの、その企業が社会に存在する結果として、間接的あるいは相互作用的に影響を及ぼし合う関係者を指します。

日常的な接点は少ないものの、中長期的なレピュテーション(評判)や事業の許認可に深く関わる重要な存在です。

具体的な例としては、「行政機関」、「地域社会」、「一般市民」、「マスメディア」、さらには「従業員の家族」などが含まれます。

例えば、工場が稼働することで生じる環境への影響は地域住民に及び、企業の納税や法令遵守状況は行政に影響を与えます。

近年では、企業の持続可能性(サステナビリティ)が重視される中で、直接の顧客ではない「次世代」や「地球環境」までもがこの枠組みで語られるようになっています。

間接的ステークホルダーは、平時には目に見えにくい存在ですが、不祥事や環境問題などの有事には強力な監視者・批判者へと転じる潜在的なリスクを有しています。

そのため、広い視野を持ってこれらの期待を把握し、良好な関係を維持することが、現代のコーポレートガバナンスにおいて強く求められています。

 

 

ステークホルダーの重要性

ステークホルダー・マネジメントについて

「ステークホルダー・マネジメント」とは、企業やプロジェクトに関与するさまざまな利害関係者を特定し、それぞれの期待やニーズを適切に管理・調整するプロセスのことを指します。

組織が掲げる目標を円滑に達成するためには、適切なステークホルダー・マネジメントが欠かせません。

具体的な手順としては、まず関係者を漏れなく洗い出し、各者が事業に与える影響力やメリットを分析します。

その上で、優先順位に基づいた戦略を立て、合意形成を図ります。

単に要望を聞き入れるだけでなく、たとえば、株主の配当の増額と従業員の賃金の増額など対立する利益の間で最適なバランスを見出し、それぞれのステークホルダーが納得できる説明を尽くすことが求められます。

もし特定のステークホルダーの反対意見を無視あるいは放置する場合には、プロジェクトの遅延や法的な紛争、レピュテーションの低下を招くおそれがあります。

そのため、進捗状況を定期的に監視し、変化するニーズに合わせて管理手法を適宜アップデートしていく柔軟な姿勢が、法務・経営の両面で非常に重要となります。

 

ステークホルダー・エンゲージメントについて

「ステークホルダー・エンゲージメント」とは、企業が利害関係者を深く理解し、その意見や関心事を意思決定プロセスに積極的に取り入れることで、ステークホルダーとの信頼関係を強固にしていく取り組みのことです。

ステークホルダー・エンゲージメントには、企業が単独で実施する場合や、ステークホルダーと協働して実施する場合など、さまざまな方法があります。

単なる「管理(マネジメント)」を超え、双方向の対話を通じて価値を作り出す活動を含んでいる点に特徴があります。

ステークホルダー・エンゲージメントを実施することで、企業は事業活動に影響を与えるような情報収集やトレンドを把握したり、組織の透明性の向上や長期的成長に不可欠な組織変革を促進したりできるようになります。

具体的な方法としては、株主向けのIR説明会、顧客への満足度調査、地域住民との対話(ダイアログ)、従業員向けの相談窓口設置などが挙げられます。

重要なのは、形式的な情報提供に留まらず、得られたフィードバックを実際の経営計画や製品改良に反映させる仕組み作りです。

ステークホルダーから「自分の声が届いている」という実感を伴う信頼を得ることは、予測不可能な経営環境下において、企業の持続可能性を支える強力な無形資産となります。

 

ステークホルダーの分析

効果的なステークホルダー・マネジメントを行うための前提となるのが、「ステークホルダー分析」です。

ステークホルダー分析とは、プロジェクトやビジネスを開始する前に、すべての利害関係者(ステークホルダー)を特定し、その影響力・関心度・期待などを分析・評価して、関係性を管理することです。

具体的には以下の3つのステップで進めます。

  1. ステークホルダーの分析

以下それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

①ステークホルダーの特定(決定)

まずはブレインストーミングを行い、事業やプロジェクトに関与する可能性のある人物や組織を網羅的にリストアップします。

この段階では範囲を絞りすぎず、直接的な取引先から間接的な影響を受ける地域住民まで、幅広く洗い出すことが重要です。

 

②ステークホルダーの分類と優先順位付け

リストアップした各主体を、その「影響力(パワー)」と「関心度(インタレスト)」に基づいてマッピングします。

ステークホルダーマッピング

  • 高い影響力かつ高い関心のある層(右上):意思決定に直結する最重要層であるため、密接な対話と合意形成が必須となります。
  • 高い影響力であるものの関心は低い層(左上):潜在的なリスク層となり、不満を持たれないよう満足度を維持する必要があります。
  • 低い影響力であるものの高い関心がある層(右下):これは現場に近い層で、定期的な情報提供を行い、味方になってもらうための工夫が必要となります。
  • 影響力も関心も低い層(左下): プロジェクトに対する影響力も関心も低いため、最小限のチェックに留め、必要に応じて情報共有を行います。

 

③コミュニケーション方法の策定

分析結果に基づき、「誰に、いつ、どのような手段で」働きかけるかの計画を立てます。

高優先度の相手には対面での個別面談や協議会を行い、低優先度の相手にはメールマガジンやWebサイトでの公開に留めるといったリソースの最適化を図ります。

各ステークホルダーのモチベーションや懸念点を先読みして動くことで、不必要な対立を回避し、プロジェクトの成功確率を飛躍的に高めることができます。

 

コーポレートガバナンス・コードにおけるステークホルダーとの関わり方

「コーポレートガバナンス・コード(CGコード)」とは、上場企業が中長期的な企業価値向上と持続的成長を目指すために、東京証券取引所と金融庁が策定した「企業統治(ガバナンス)の原則・指針」のことを指します。

コーポレートガバナンス・コードでは、実効的なコーポレートガバナンスの実現に役立つ主要な原則が取りまとめられています。

基本原則として、以下の5つが定められています。

コーポレートガバナンスの基本原則

特に第2原則では、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」が掲げられており、企業の持続的な成長には、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会などとの円滑な関係が不可欠であると明記されています。

現代において、企業には単に法令を遵守するだけでなく、高い倫理観を持って社会的責任を果たすことが求められています。

取締役会は、これらのステークホルダーの利益を尊重する企業文化を醸成する責務を負っており、不適切な対応はガバナンス不全とみなされるリスクがあります。

具体的には、多様性の確保やサステナビリティに関する基本方針の策定、内部通報制度の整備などが指針として示されています。

 

 

ステークホルダーについてのQ&A

ステークホルダーと資本主義は関係がある?

従来の「資本主義(株主資本主義)」への批判から、新たに「ステークホルダー資本主義」が提唱されるようになりました。

かつて米国を中心として主流であった資本主義(株主資本主義)は、「企業は株主のもの」という考えに基づき、短期的な利益の最大化や株価の引き上げを最優先する経営スタイルでした。

しかし、この仕組みは効率的な資本投下を可能にする一方で、短期利益を追い求めるあまりに従業員の低賃金労働や、過度なコストカットによる環境破壊、さらには社会格差の拡大といった深刻な歪みを生み出しました。

こうした反省から提唱されたのが「ステークホルダー資本主義」です。

これは、株主だけでなく、従業員、顧客、取引先、地域社会、さらには地球環境といった、企業を取り巻くすべてのステークホルダーに対する長期的かつ継続的な価値提供を目指す考え方です。

この概念は、2019年に米国の主要企業経営者団体(ビジネス・ラウンドテーブル)が「株主至上主義からの脱却」を宣言したことや、2020年のダボス会議で「ダボス・マニフェスト2020」が発表されたことで世界的な潮流となりました。

岸田政権が掲げた「新しい資本主義」も、成長と分配の好循環を通じて人や環境を重視するステークホルダー資本主義を掲げています。

 

 

まとめ

「ステークホルダー(stakeholder)」とは、企業や組織の意思決定や事業活動によって、直接的または間接的に影響を受けるすべての「利害関係者」を意味する言葉です。

かつて、企業は「株主のもの」という考え方が主流でしたが、現代のビジネス環境においては、従業員、顧客、取引先、地域社会といった多様な利害関係者との協働が不可欠です。

特定の利益に偏らず、ステークホルダー全体のニーズを適切に管理・分析し、信頼関係を深める「ステークホルダー・エンゲージメント」の取り組みは、企業の持続可能な成長と長期的な価値向上をもたらします。

法務やガバナンスの観点からも、ステークホルダー・マネジメントを疎かにすることは、紛争リスクやブランド失墜に直結しかねません。

当事務所の企業法務チームは、企業法務に注力する弁護士、税理士、その他専門職で構成されており、企業の成長を強力にサポートしています。

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