弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

「著作権侵害」とは、一言でいえば、著作権を持っている人の許可なく、その著作物(ちょさくぶつ)を利用したり、勝手に変えたりする行為のことです。
お仕事や日常生活で知らないうちに著作権を侵害してしまわないために、著作権侵害について理解しておくことが重要です。
このページでは、具体的にどのような行為が著作権侵害にあたるのか、侵害してしまったらどうなるのか、についてわかりやすく解説します。
ぜひご参考にされてください。
目次
著作権侵害とは?

著作権侵害の定義
著作権侵害とは、著作権を持っている人の許可を得ずに、無断で、その著作物を利用したり、勝手に改変する行為です。
言い換えると、著作権法という法律で守られている著作権や著作者人格権(ちょさくしゃじんかくけん)などを侵害する行為を指します。
著作権は、著作物を「コピーする」「公開する」「放送する」「翻訳する」など、著作物を自由に利用できる権利です。
著作者人格権は、著作物を作った人の「名誉や気持ち」を守るための権利で、著作物の内容を勝手に変えられない権利や、自分の名前を公表してもらう権利などが含まれます。
これらの行為を著作権者の許可なく行ったり、あるいは許可を得ていても、著作者人格権を侵害するような形で利用したりする行為が、著作権侵害にあたります。
著作権侵害の種類
著作権侵害の種類を見ていきましょう。
基本的に、「著作権」を侵害する行為と、「著作者人格権」を侵害する行為の2種類があります。
著作権の侵害
著作権の侵害とは、著作物を利用する権利を侵害する行為です。
具体的な行為としては、以下のようなものがあります。
著作物を勝手にコピーしたり、スキャンしてデータ化したり、ダウンロードしたりする行為です。
例えば、市販されているCDの楽曲を無断でコピーして配布したり、インターネット上の画像をダウンロードして個人的な利用範囲を超えて再利用したりするケースがこれにあたります。
著作物をインターネットを通じて不特定多数の人に公開したり、放送したりする行為です。
動画共有サイトに無断で映画やアニメをアップロードしたり、自分のブログに他人の文章を丸ごと転載したりするケースが代表的です。
著作物のコピーを、著作権者に無断で売ったり、配布したりする行為です。
例えば、海賊版のDVDやCDを販売したり、著作権者の許可なくキャラクターグッズを作成して販売したりするケースが考えられます。
著作者人格権の侵害
著作者人格権の侵害とは、著作物を作った人の名誉や気持ちを守るための権利を侵害する行為です。
これには、以下のようなものがあります。
著作物を、著作権者に無断で改変したり、内容を変えたりする行為です。
例えば、他人の描いた絵を、著作権者に無断で一部を切り取って加工したり、小説の内容を大きく変えて発表したりするケースがこれにあたります。
著作物を利用する際に、著作物を作った人の名前を表示しなかったり、勝手に別の人の名前で発表したりする行為です。
著作物を作った人がまだ公開していない著作物を、勝手に公開する行為です。
著作権侵害が成立する要件とは?
著作権侵害が法的に成立するには、複数の条件(成立要件)が必要です。
一般に、以下の要件がすべて満たされる必要があるとされています。
これらを順番に確認していけば、著作権侵害になるかどうか、判断できます。

①「著作物」であること
まず、問題となる対象が著作権法上の「著作物」に該当しなければなりません。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を指します。
単なる事実やデータ、ありふれた表現、アイデアそのものは著作物とは言えません。
作者の個性が何らかの形で表現されていることが必要です。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
② 著作権が有効に存在していること
その著作物について、著作権が有効に存続している必要があります。
著作権の保護期間は原則として著作者の死後70年(映画の著作物などは公表後70年など例外あり)であり、この期間が満了した著作物(パブリックドメイン)は自由に利用できるため、著作権侵害の問題は生じません。
③他人の著作物を利用する行為であること
著作権侵害は、原則として他人の著作物(他人が著作権を持つ著作物)を利用した場合に問題となります。
④「依拠性(いきょせい)」があること
他人の著作物(既存著作物)に接し、それに基づいて創作したこと、つまり、既存著作物を利用して自己の作品が作成されたという関係が必要です。
既存著作物を全く知らずに偶然創作したものが結果的に似てしまったとしても、依拠性がなければ著作権侵害にはなりません。
⑤「類似性(るいじせい)」があること
利用された側の著作物(既存著作物)と、利用した側の著作物との間に「類似性」が認められることが必要です。
これは、両著作物の表現形式において、その本質的な特徴が類似していることを意味します。
単にアイデアやコンセプトが共通しているだけでは類似性があるとは言えません。
どの程度の類似性があれば侵害となるかは事案ごとに判断されますが、質的・量的に既存著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できるかどうかがポイントとなります。
⑥ 著作権者の許諾がないこと
著作物を利用するにあたり、著作権者から利用の許諾(ライセンス)を得ていれば、その許諾の範囲内での利用は適法であり、著作権侵害にはなりません。
許諾がない、あるいは許諾の範囲を超えた利用である場合に問題となります。
⑦利用行為が著作権(または著作者人格権)の効力が及ぶ範囲であること
著作権法は、著作権の内容として複製権、公衆送信権、譲渡権、翻訳権・翻案権など様々な権利を定めています。
利用行為がこれらの権利のいずれかを侵害する態様で行われている必要があります。
また、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)を侵害する行為も著作権侵害の一環として扱われます。
⑧「権利制限規定」に該当しないこと
著作権法には、一定の公益的な目的や私的利用など、特定の場合には著作権者の許諾なく著作物を利用できるとする「権利制限規定」(例:私的利用のための複製、引用など)が設けられています。
利用行為がこれらの権利制限規定に該当する場合は、適法な利用となり、著作権侵害は成立しません。
以上の要件がすべて満たされた場合に、著作権侵害が成立します。
ただし、これらの判断は専門的な知識を要するため、具体的な判断に悩むことも少なくありません。
悩ましいケースについては弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
著作権侵害となり得る事例
著作権侵害は、私たちの身の回りの様々な場面で起こり得ます。
ここでは、皆さんが日頃から注意すべき、著作権侵害となり得る具体的な事例をいくつかご紹介します。
YouTubeの著作権侵害
YouTubeは、誰もが動画を投稿し、視聴できるプラットフォームですが、その分、著作権侵害のリスクも潜んでいます。
YouTubeに動画をアップロードする際は、特に以下の点に注意が必要です。
音楽の利用
市販のCD音源や、テレビ番組のBGMなどを無断で動画に使用すると、著作権侵害にあたります。
たとえ短い時間であっても、許可なく使用することはできません。
自分で演奏したものであっても、原曲の著作権は残っています。
YouTubeには、著作権フリーの音楽や、著作権者が利用を許可している音楽素材が提供されている場合もありますので、そうしたものを活用するか、音楽の著作権を持っている団体(日本ではJASRACなど)や個人から正式に許可を得る必要があります。
映像の利用
テレビ番組、映画、アニメ、他の人が制作したYouTube動画などを無断でアップロードすると、著作権侵害にあたります。
これらの映像には、制作者が持つ著作権が存在します。個人的に楽しむ目的で録画したものを、そのままYouTubeに公開することもできません。
画像・イラストの利用
インターネット上にある写真やイラスト、漫画のコマなどを無断で動画に使用することも、著作権侵害にあたります。
利用する際は、フリー素材サイトを利用するか、著作権者から許可を得るようにしましょう。
生成AIによる著作権侵害
近年、急速に発展している生成AI(人工知能)は、文章や画像、音楽などを自動で生成できる便利なツールですが、著作権との関係で新たな問題も生じています。
まず、生成AIが著作物を学習データとして利用すること自体が著作権侵害にあたるのか、という問題があります。
この点、日本の著作権法では情報解析のために著作物を利用することは原則として著作権侵害にならないとされています。
AIによる学習は基本的にこれに該当すると考えられていますが、あくまでも「著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない限り」(非享受目的の限り)という条件があるので留意しましょう。
また、生成AIによって作られたコンテンツが、特定の既存の著作物と酷似している場合、著作権侵害と判断される可能性もあります。
特に、AIが既存の著作物をそのままコピーして出力してしまった場合や、既存の著作物の特徴的な部分を強く反映して生成された場合は、侵害とされるリスクが高いです。
生成AIについては、まだ新しい技術であるため、制度や判例が十分ではありません。今後の動向にも注意しましょう。
生成AIと著作権の関係についてより詳しくお調べになりたい方はこちらのページも合わせてご覧ください。
その他の著作権侵害となり得る事例
写真・画像の無断利用
インターネット上で見つけた写真やイラストを、許可なく自分のSNS投稿、プレゼンテーション資料、会社のパンフレットなどに使用することは、著作権侵害にあたります。
論文・レポートの盗用
他の人が書いた論文やレポート、書籍の内容を、自分のものとして発表する行為は、著作権侵害(複製権、公衆送信権など)にあたるだけでなく、学術的な不正行為としても厳しく批判されます。
参考文献を明記しない引用や、内容をほとんど変えずに自分の文章として発表することは、盗用とみなされます。
著作権侵害は、知らなかったでは済まされない問題です。日頃から著作物の利用には十分に注意し、不安な場合は専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
著作権侵害とならない事例
著作権侵害となる事例がある一方で、一定の条件下では、著作権者の許可なく著作物を利用することが認められます。
著作権侵害とならない主な事例についても見ていきましょう。

私的使用のための複製
著作権法では、個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で利用するために著作物を複製する行為は、著作権侵害にならないと定められています(著作権法第30条)。
例えば、自分で購入したCDの音楽を、自分のスマートフォンや携帯音楽プレーヤーにコピーして聴くことや、テレビ番組を録画して後で楽しむことなどがこれにあたります。
ただし、これらを友人や知人に配ったり、インターネットにアップロードしたりすることは、私的使用の範囲を超えるため、著作権侵害となります。
引用(いんよう)
著作権法では、公正な慣行に合致し、かつ、報道、批評、研究その他の目的上正当な範囲内において、他人の著作物を引用して利用することは、著作権侵害にならないと定められています(著作権法第32条)。
「引用」として認められるためには、いくつかの厳しい条件を満たす必要があります。
引用の条件
引用と認められるためには、
- 公表されている著作物の引用であること
- 公正な慣行に合致する方法であること
- 引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものであること
が必要です。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。
この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
その上で、一般的な慣行に従って、以下の各ルールを守って引用する事が必要とされています。
- 引用の必然性: 引用する必然性があること。
自分の著作物の中で、他人の著作物を引用する必要があること。 - 引用部分の明確化: 引用部分がどこからどこまでかを明確にすること。
カギカッコ(「」)で囲む、文字サイズを変える、インデントをつけるなど、引用であることがわかるように区別する必要があります。 - 出典の明記:引用元の著作物のタイトル、作者名、出版社名、ウェブサイトのURLなどを明記すること。
- 改変の禁止:引用する部分の内容を勝手に変えないこと。
これらの条件をすべて満たさないと、引用とは認められず、著作権侵害となる可能性があります。
教育目的での利用
教育機関において、授業の過程で著作物を利用する場合など、一定の条件下では著作権者の許可なく著作物を利用することが認められています(著作権法第35条)。
これは、教育の円滑な実施と、文化の発展に寄与することを目的としています。
パロディ・風刺(ふうし)
パロディや風刺は、既存の著作物を改変して、元の著作物とは異なるユーモラスな表現や批判的な意味合いを込めて作成する行為です。
これらは、表現の自由の範囲内として、著作権侵害とならない場合があります。
事実の報道
新聞やテレビ、インターネットなどで、発生した事実を報道する際に、他人の著作物の一部を引用したり、利用したりすることは、著作権侵害とはなりません(著作権法第41条)。これは、事実を報道する公共の利益を考慮して認められています。
以上でご紹介したケースは、著作権侵害とならない典型例ですが、これに当たるかの判断は非常に繊細ですので慎重に対応するようにしましょう。
著作権侵害の罰則と責任
著作権を侵害してしまった場合、単に著作物の利用を停止するだけでは済まされません。
著作権法には、著作権を侵害した者に対する刑事罰や、民事上の責任が定められています。
さらには社会的な制裁を受けることがあります。
刑事上の責任
著作権侵害は、著作権法によって懲役や罰金などの刑事罰が科される犯罪行為です。
著作権法では、著作権侵害に対して、「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」という非常に重い罰則が定められています(著作権法第119条)。
また、会社などの法人が著作権侵害を行った場合、その法人に対しても「3億円以下の罰金」が科される可能性があります(著作権法第124条)。
親告罪について
著作権侵害は、原則として「親告罪(しんこくざい)」です。
親告罪とは、被害を受けた人(著作権者)が、加害者に対して刑事罰を与えてほしいと「告訴(こくそ)」しなければ、警察や検察が捜査を開始したり、起訴したりすることができない犯罪のことです。
つまり、著作権侵害があったとしても、著作権者が警察に被害届を提出したり、告訴状を出したりしなければ、刑事事件として扱われることはありません。
しかし、2018年の著作権法改正により、一部の著作権侵害行為については、「非親告罪化」されました。
これによって、悪質な著作権侵害行為に対しては、著作権者が告訴しなくても警察が捜査を進め、刑事罰が科される可能性が高まりました。
民事上の責任
著作権を侵害した場合、刑事上の責任とは別に、民事上の責任も発生します。
具体的には、侵害行為の差止請求、侵害者に対する損害賠償請求や名誉回復措置請求、などがあります。
これらの民事上の責任は、著作権を侵害した事実があれば発生します。
著作権に関するトラブルは複雑な場合が多く、専門的な知識が必要となりますので、もし著作権侵害の疑いがある場合は、速やかに弁護士に相談するなどし、適切な対応をとることが重要です。
第百十二条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
社会的な責任
著作権侵害は、刑事上や民事上の責任だけでなく、社会的な責任も伴います。
特に、会社や組織が著作権侵害を行った場合、その事実が公表されると非常に大きなダメージとなるおそれがあります。
具体的には、社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、パートナー企業との取引解除、採用活動への悪影響、など、様々な不利益に繋がる可能性があります。
著作権侵害の時効
続いて、著作権侵害の時効について説明します。
刑事の時効
刑事の時効は、「公訴時効(こうそじこう)」と呼ばれ、犯罪行為が終わってから一定期間が経過すると、検察官がその犯罪を起訴(きそ)することができなくなる制度です。
公訴時効が成立すると、刑事罰が科されることはありません。
著作権侵害における公訴時効は、著作権侵害の罪は最長でも懲役10年ですので、公訴時効は3年又は5年です(刑事訴訟法第250条)。
この期間は、著作権侵害の行為が終わった時点からカウントされます。
ただし、先ほど説明したように、著作権侵害は原則として親告罪です。
親告罪については、犯人を知って6か月以内に告訴しなければなりません。
民事の時効
民事の時効は、著作権者が、損害賠償請求や差止請求といった権利を行使できる期間のことです。
損害賠償請求権の消滅時効
損害賠償請求権の消滅時効は、著作権者が、著作権侵害の事実と、その侵害を行った人物(加害者)を知った時から「3年」、または、著作権侵害行為があった時から「20年」で消滅します(民法第724条)。
差止請求権の消滅時効
差止請求権には、原則として時効はありません。
つまり、著作権侵害が続いている限り、いつでもその行為の停止を求めることができます。
なお、著作権そのものが消滅している場合は、差止請求権も行使できなくなります。
著作権の保護期間は、原則として著作者の死後70年までとされています(著作権法第51条、例外あり)。
この保護期間が満了すると、著作権が消滅します。
著作権侵害を避けるための対策
著作権侵害は、意図しないうちに発生してしまうことも少なくありません。
しかし、いくつかの基本的な対策を講じることで、著作権侵害のリスクを大きく減らすことができます。
ここでは、皆さんが日頃から実践できる著作権侵害を避けるための対策について解説します。

著作権フリー素材の利用
インターネット上には、著作権者の許可なく自由に利用できる「著作権フリー素材」が多数存在します。
これらを活用することで、著作権侵害のリスクを避けながら、必要な画像やイラスト、音楽などを手に入れることができます。
ただし、「フリー」という言葉に惑わされず、利用規約をよく確認することが非常に重要です。
著作権フリーとされていても、利用条件が定められている場合があります。
例えば、商用利用ができないといったルールが設定されていることもあるため注意が必要です。
著作権者の許諾を得る
著作権フリー素材が見つからない場合や、特定の著作物を利用したい場合は、著作権者から直接利用の許諾を得るのが最も確実な方法です。
許諾を得る際には、書面での合意が原則として望ましいです。
また、許諾の範囲(利用範囲)についてはできるだけ明確化したうえで許諾を得ておくことで、後のトラブルをさけることができます。
引用等のルールを守る
先述したように、著作権法には「引用」が認められています。
しかし、引用のルールを守らなければ、著作権侵害となってしまいます。
前述の引用ルールを守るように日頃から意識しましょう。
社内規定の整備と従業員への研修
会社として著作権侵害を防ぐためには、社内での著作物利用に関する明確なルールを定め、従業員への教育を徹底することが不可欠です。
どのような行為が著作権侵害にあたるのか、どのように素材を利用すべきかなどを周知徹底しましょう。
専門家への相談
「これは大丈夫だろうか?」と少しでも不安に感じた場合は、自己判断せずに、著作権に詳しい弁護士などの専門家に相談しましょう。
早期に相談することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
デイライト法律事務所でも、著作権に関するご相談を承っております。
著作権侵害に関する相談窓口
もし、著作権侵害に関する疑問や不安、あるいは実際に著作権侵害の被害に遭ってしまった場合や、自分が著作権侵害をしてしまった可能性がある場合は、一人で悩まずに専門機関や弁護士に相談することが大切です。
ここでは、著作権侵害に関する主な相談窓口について解説します。
文化庁
文化庁は、日本の著作権行政を所管する国の機関です。
文化庁では、著作権の相談を受け付けており、特に、著作権侵害については専用相談窓口を設けています。
著作権等管理事業者
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に代表される著作権等管理団体は、著作権者から著作権の管理の委託を受けて、利用者からの使用料の徴収や、著作権侵害への対応などを行っている団体です。
これらの団体でも、著作権に関わる各種問合せに対応しています。問合せ先については以下の通り文化庁が一覧にして公開しています。
著作権侵害に強い弁護士
個人の利用における著作権の疑問であれば、上記の相談窓口である程度解決できるかもしれません。
しかし、会社の事業に関わる著作権の問題や、複雑で専門的な判断が必要となるケースであれば、著作権侵害に強い弁護士へ相談するのがもっとも有効です。
弁護士は、基本的に有償ですが、その分、個別の状況に応じた具体的なアドバイスや、法的な手続きのサポートを行うことができますので、最後まで頼りになる存在です。
著作権侵害に強い顧問弁護士をお持ちいただくことには様々なメリットがあります。顧問弁護士のメリットについては、こちらのウェブサイトをご覧ください。
著作権侵害のよくあるQ&A
続いて、著作権侵害について、よくあるQ&Aをご紹介します。
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故意ではないと著作権侵害となりませんか?
著作権侵害は、原則として、侵害する行為自体が故意によるものでなくても成立します。
つまり、「知らなかった」「うっかりしてしまった」という言い訳は通用しません。
例えば、インターネットで見つけた画像を、著作権フリーだと勘違いして使ってしまった場合や、フリー素材だと思ってダウンロードした素材に利用規約違反があった場合でも、著作権侵害にあたる可能性があります。
著作権侵害の判断は、行為者の意図や悪意の有無ではなく、客観的に見て著作権を侵害する行為があったかどうかで判断されます。
ただし、損害賠償額の算定や、刑事罰の適用においては、故意や過失の有無が考慮されることがあります。
故意に著作権を侵害し、多額の利益を得ていたような悪質なケースでは、より重い責任が問われる可能性があります。
著作権は「知らなかった」では済まされない重要な権利です。
日頃から著作権に関する正しい知識を身につけ、著作物を利用する際には、必ず著作権者の許可を得るか、利用規約を厳守するようにしましょう。
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著作権侵害の罰金はいくらですか?
会社などの法人が著作権侵害を行った場合、その法人に対しても「3億円以下の罰金」が科される可能性があります(著作権法第124条)。
これは、法人の役員や従業員が業務として著作権侵害を行った場合に、その法人にも責任を負わせるための規定です。
これらの罰金は、刑事上の責任として国に納めるものです。
これとは別に、民事上の責任として、著作権者から損害賠償請求をされ、多額の賠償金を支払わなければならない可能性もあります。(法人の場合)
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会社のウェブサイトに、著作権フリー素材だと思って利用した画像が、実は著作権侵害でした。
どうすれば良いですか?
そのうえで、著作権問題に詳しい弁護士に相談して適切な対応をとるべきです。
なにより重要なのは、事態を放置せず、迅速かつ適切に対応することです。
まとめ
この記事では、「著作権侵害とは何か」という基本的な定義から、著作権侵害が成立するための要件、具体的な事例、そして、万が一、著作権を侵害してしまった場合の罰則や責任、さらには著作権侵害を避けるための対策まで、幅広く解説してきました。
現代社会において、インターネットやSNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信できるようになりました。
その一方で、著作物の利用に関するルールを理解していなければ、意図せず著作権を侵害してしまうリスクも高まっています。
特に会社で気をつけるべきなのは、気づかぬうちに著作権侵害となってしまうケースです。
著作権侵害は、意図的でなくても成立してしまうことがあり、差止め請求や損害賠償請求といった法的な責任を問われるリスクや、会社の信用を失うリスクも伴います。
もし、著作権についてわからないことや、著作権侵害に関する疑問、トラブルに直面した場合は、一人で抱え込まずに企業法務に強い弁護士に相談することをお勧めします。
デイライト法律事務所では、企業法務に関する豊富な経験と専門知識を持つ弁護士が、皆様のビジネスをサポートいたします。
LINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、お気軽にご相談ください。



