「不正競争防止法」とは、会社が公正にビジネスをするためのルールを定めた日本の法律です。
あまり馴染みがない方も多いと思いますが、会社活動を行う上で非常に重要な法律になります。
特に近年、インターネットを通じたビジネスが拡大する中で、この法律の重要性はますます高まっています。
この記事では、不正競争防止法とは一体どのような法律なのか、どのような行為が違反となるのか、違反した場合の罰則、そして、企業が日々の活動で注意すべきポイントについて、具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、不正競争防止法の基本的な知識を身につけ、日々の業務でどのように関わってくるのかを理解いただけると思います。
ぜひ、最後までお読みください。
不正競争防止法とは?
不正競争防止法とは、会社同士での公正な競争を確保して、健全な会社や消費者の利益を保護することを目的とした法律です。
より正確にいえば、「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的」とする法律です(法1条)。
具体的には、他社の営業秘密を不正に取得・使用したり、他社の有名な商品名やブランド名を無断で使用したり、消費者を誤認させるような表示を行ったりする行為などが禁止されています。
ビジネスにおける「公平な競争のルール」を定めたものと考えると理解しやすいでしょう。
スポーツにルールがあるように、ビジネスの世界にも守るべきルールがあり、不正競争防止法はそのルールブックのような役割を果たしています。
なぜ不正競争防止法が重要なのか?
不正競争防止法は、会社にとっても、消費者にとっても、非常に重要な法律です。
何がそんなに重要なのでしょうか?
会社にとっての重要性
会社側にとっては、以下の観点で重要です。
会社が長年かけて開発した技術やブランドは、大切な財産です。
不正競争防止法によって、これらの財産が他社によって不当に利用されるのを防ぐことができます。
不正競争防止法がないと、真面目に努力する会社が損する社会になってしまうわけです。
全ての会社がルールを守って競争することで、消費者はより良い商品やサービスを選ぶことができます。
不正な手段で利益を得ようとする会社を排除することで、公正な競争環境が維持されます。
不正競争防止法がないと、真面目な会社が保護されなくなってしまいます。
自社のブランドや商品が守られることで、消費者からの信頼を維持することができます。
不正競争防止法があることで、会社は自社のブランドへの信頼を守ることができます。
消費者にとっての重要性
一方、消費者にとっては以下の点で不正競争防止法が重要な意味を持っています。
紛らわしい商品名や表示がなくなることで、消費者は自分の欲しい商品を正しく選ぶことができます。
不正な競争が減ることで、会社は品質向上に力を入れるようになり、消費者はより良い商品やサービスを享受できます。
嘘の情報や悪質な手口から消費者を守り、安心して取引できる環境が整います。
以上の通り、会社と消費者双方にとって、不正競争防止法は健全な経済活動を行う上で欠かせない法律といえるわけです。
不正競争防止法の違反事例
不正競争防止法では幅広い行為を規制しています。
不正競争防止法の違反となる行為は細かく規制されていますが、以下のように10個の類型に分類できます。
不正行為の類型 | 内容 |
---|---|
営業秘密の侵害 | 他の事業者の秘密として管理されている技術情報や販売情報などを不正に取得・使用・開示する行為。 |
混同惹起行為 | 他の事業者の商品やサービスと誤認させるような表示を使用する行為(例:類似した商品名、ロゴ、包装など)。 |
著名表示冒用行為 | 他の事業者の著名な商品名やブランド名を不正に使用する行為。 |
誤認惹起行為 | 商品の原産地、品質、内容、製造方法などについて、消費者を誤認させるような表示をする行為。 |
信用毀損行為 | 競争関係にある他の事業者の信用を低下させるような虚偽の情報を流布する行為。 |
不当な顧客誘引行為 | 不正な利益を得る目的で、競合他社の顧客を自社に誘引する行為。 |
技術的制限手段無効化等行為 | 特定の機器の利用を制限する技術的な手段を不正に無効化する行為。(コピーガードやアクセス制御の解除など) |
ドメイン名等の不正取得等行為 | 不正な目的で、他者の著名な商標などを含むドメイン名を取得・使用する行為。 |
限定提供データの不正取得 | いわゆるビッグデータなどの、限定的に提供されているデータを不正に取得する行為。 |
商品形態模倣行為 | 他の事業者の商品の形態を模倣して、自己の商品として販売等する行為。 |
以下でより詳しく見ていきましょう。
営業秘密の侵害
営業秘密の侵害は、不正競争防止法の中でも特に重要な違反行為の一つです。
不正競争防止法で保護される営業秘密は、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義されています。
つまり、
- 秘密管理性:秘密として管理されている情報
- 有用性:有用な営業上・技術上の情報
- 非公知性:広く知られていない情報
という3つの要件をすべて満たしてはじめて、法律で保護される営業秘密になります。
3要件の一つでも満たさない場合には不正競争防止法で保護される「営業秘密」ではありませんので、日常用語として使われる「営業秘密」(=営業上の秘密全般を意味して使われることが多い)より範囲が狭いことに注意しましょう。
※なお、契約書で、これより広い範囲の情報について取引先に守秘義務を負わせることは可能ですが、その場合、契約上保護されるだけで、不正競争防止法上保護されるわけではありません。この点、誤解されがちなポイントなので注意しましょう。
そして、この3要件を満たして営業秘密に該当する情報については、
- 不正に取得する行為
- 不正に開示(漏えい)する行為
- 不正に譲渡する行為
のいずれについても「営業秘密の侵害」として違法になる可能性があります。
不正取得行為(不正競争防止法第2条第1項第4号)のみならず、不正に取得された営業秘密を再取得する行為や、それを使用する行為・開示する行為(同第5号)も禁止されますし、不正な目的をもって営業秘密を使用したり、開示する行為(同第7号)も禁止されており、禁止される行為は大変幅広いです。
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
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~~
四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第七号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
五 その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
~~
~~
七 営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
~~
~~
十 第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)
~~
~~
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
退職した従業員が、以前の会社の顧客リストを無断で持ち出し、自分の新しい会社で利用した事例
長年勤めていた会社を退職して同業の会社を設立する際などに、会社の顧客情報が記録されたUSBメモリが保管されている施錠された金庫を無断で開錠し、そのUSBメモリを持ち出して、新しい会社の営業活動に利用する行為などが該当します。
特に、顧客リストは、長年の営業活動によって蓄積された貴重な情報ですので、会社にとって重要な営業秘密と認められることが多いです。
取引先の担当者が、契約終了後に知り得た会社の製造ノウハウを、別の会社に漏洩した場合
このように、取引関係によって知り得た情報であっても、秘密保持義務がある場合や、重要な営業秘密に該当する場合は不正競争防止法で保護の対象となるので注意しましょう。
従業員が、個人的なSNSで会社の営業秘密を不用意に公開してしまった場合
従業員は、在職中だけでなく、退職後も一定の秘密保持義務を負う場合があります。
それに反して、不正競争防止法上の営業秘密を公開してしまうと、違法となる可能性が高いです。
営業秘密に関する不正行為や、その対策について詳しくお知りになりたい方は、ぜひこちらの記事もご確認ください。
混同惹起行為
混同惹起行為は、消費者に、商品またはサービスの提供元の会社を誤認させるような行為です。
長年にわたり築き上げてきた他社のブランドイメージや信用を勝手に不当利用して自社の利益を図る行為なので、公正な競争を阻害する行為として禁止されています。
例えば、以下のような違反行為に該当する可能性が高いです。
有名な商品と非常に似た名前の商品を、紛らわしいパッケージで販売したり、他社の成功したロゴデザインに類似したロゴを自社の商品に使用したり、人気のあるお菓子の包装デザインを模倣し、消費者が正規品と誤認しやすいように販売する行為など。
大手ECサイトのデザインやレイアウトを模倣して、消費者を自社の偽サイトに誘導する行為など。
なお、混同惹起行為と判断されるかどうかは、様々な個別事情を踏まえて総合判断されます。
言い換えると、明確な基準はありません。
会社としては、消費者が誤認してしまわないよう、常に意識を向ける必要がありますので注意しましょう。
また、ロゴなどは不正競争防止法とは別に商標法でも保護されており、商標登録されているロゴの無断使用は商標法違反にもなります。
著名表示冒用行為
著名表示冒用行為は、広く認識されている他社の商品またはサービスを表示する著名な名称、商標、標章などを不正に使用する行為です。
著名なブランドが持つ信用力を無断で利用して、自己の商品またはサービスがその著名なブランドと関連があるかのように消費者に誤認させることを目的とする行為ですので、混同惹起行為と同じく、公正な競争を阻害する行為として禁止されています。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
世界的に有名なメーカーのブランド名を、許可を得ずに自社の製品に使用して販売する行為など。
人気アニメのキャラクター名を、関連性のない飲食店の店名に使用する行為なども、著名表示冒用行為に該当する可能性があります。
「著名」であるかどうかの判断は総合的に判断されます。
全国的に広く知られているだけでなく、特定の地域や業界で広く知られている場合も該当することがあります。
また、単に類似しているだけでなく、一般消費者の目線に立って、著名な表示と誤認する可能性が高いかどうかが重要となりますので注意しましょう。
誤認惹起行為
誤認惹起行為は、商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途または数量について、消費者を誤認させるような表示をする行為です。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
海外で製造された商品を、あたかも国内で製造されたかのように表示して販売する行為など。
実際には認められていない効果や効能を、商品の広告やパッケージに記載する行為など。
実際の内容量よりも多く表示して商品を販売する行為も該当します。
こちらについては、景品表示法の不当表示(優良誤認表示)にも該当する可能性があります。
信用毀損行為
信用毀損行為は、競争関係にある他の事業者の信用を低下させるような虚偽の情報を流すことです。
事実に基づかない情報や不確かな情報を意図的に広めることで、競合他社の社会的評価や信頼性を損ない、自社の競争上の優位性を不当に得ようとする行為ですので、不正競争防止法で規制されています。
特に近年、インターネットやSNSの普及により、虚偽の情報が瞬時に拡散しやすく、企業にとって深刻な損害につながる可能性があります。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
競合他社の販売する食品に有害な物質が含まれているという根拠のない情報を、インターネット掲示板やSNSで拡散する行為が該当します。
サービスの品質に関する悪質なデマの流布
競合他社の提供するサービスが粗悪であるという事実無根の噂を、顧客や取引先に広める行為も該当します。
競合他社が倒産寸前であるといった、事実に基づかない情報を意図的に流し、取引先や金融機関からの信用を失墜させる行為も該当します。
不当な顧客誘引行為
不当な顧客誘引行為は不正な利益を得る目的で、競争関係にある他の事業者の顧客を自己と取引するように誘引する行為です。
具体的には、以下のような行為が該当します。
競争関係にある他社の顧客に対して、社会通念上不相当な利益を提供することで、自社と取引するように誘引する行為。
なお、ここでいう「不当な利益」というのは曖昧ですが、通常の商取引における合理的な範囲を超えた過大な経済的利益などを指します。
(競合他社の顧客に対し、原価を大幅に下回る価格で商品やサービスを提供する、過度な景品を提供するなど。)
競争関係にある他の事業者との取引を妨害するような言動を用いて、自社と取引するように顧客を誘引する行為。
上記以外にも、詐欺的な手段や、顧客の判断を誤らせるような方法を用いて、自社と取引するように誘引する行為。
技術的制限手段無効化等行為
技術的制限手段無効化等行為は、著作権保護技術(コピーガードなど)やアクセス制御技術などを不正に解除し、コンテンツやサービスを無断で利用できるようにする行為です。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
市販されているDVDやブルーレイディスクに施されたコピーガードを解除するプログラムや機器を販売・提供する行為が該当します。
家庭用ゲーム機で動作するゲームソフトに組み込まれた不正コピー防止機能を無効化する改造を行う行為、またはそのためのツールを配布する行為も該当します。
ソフトウェアの不正利用を防ぐためのライセンス認証システムを回避するクラックプログラムを作成・配布する行為も該当します。
ードメイン名等の不正取得等行為
ドメイン名等の不正取得等行為は、不正の目的で、他社の著名な商標などを含むドメイン名を取得・使用する行為です。
ドメインとは、インターネット上のウェブサイトのアドレスを示すものです。(「〇〇.com」「〇〇.jp」などのこと。)
ドメイン名の取得は原則として早い者勝ちですが、不正な目的で行われた場合は違法となる可能性があります。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
著名な企業名と同一のドメイン名を取得し、その企業に高額で買い取らせようとする行為。
人気のあるウェブサイトのスペルミスを利用したドメイン名を取得し、広告を表示させる行為。
限定提供データの不正取得
限定提供データの不正取得は、会社が保有するデータを一部の会社などに限定して提供している場合に、そのデータを不正に取得する行為です。
ここでいう「限定提供データ」というのは、具体的には、顧客データ、マーケティングデータ、研究開発データなどです。
ただし、不正競争防止法で保護されるデータは、
- (1) 相当量の投資によって収集・作成された情報であること
- (2) 秘密として管理されていること
- (3) 特定の者に限定して提供されていること
という3つの要件を満たす必要があります。
単に公開されていない情報や、容易に入手できる情報は該当しませんので注意しましょう。
このような要件を満たすデータを不正に取得する行為は不正行為とされており、例えば以下のような違反事例が典型的です。
アクセス権限のない者が、企業の顧客情報データベースに侵入し、個人情報や購買履歴などのデータを盗み出す行為が該当します。
秘密保持契約を結んで取引先から提供されたマーケティングデータを、契約で定められた目的以外に、自社の別の事業のために利用する行為も該当します。
企業のサーバーやクラウドストレージに保管されている機密性の高いデータを、退職後に個人的な目的で使用するために無断で持ち出す行為も該当します。
商品形態模倣行為
商品形態模倣行為は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為を指します(ただし、最初に日本国内で販売された日から3年以内の商品に限ります)。
例えば以下のような違反事例が典型的です。
人気デザイナーが手がけた特徴的なデザインの家具を、許可なく模倣して安価で販売する行為が該当します。
他社が開発した独自の形状を持つ化粧品の容器を、そっくりそのまま模倣して自社製品に使用する行為も該当します。
なお、ありふれた形態や機能上不可欠な形態は保護の対象外です。(つまり、模倣しても不正行為になりません。)
不正競争防止法に違反したときの罰則は?
不正競争防止法に違反した場合、行為の内容や程度によって、「刑事罰」(刑罰)と「民事上の措置」(被害者からの損害賠償請求など)を受ける可能性があります。
具体的には以下の通りです。
刑事罰
不正競争行為の中でも違法性が高い行為については刑事罰が用意されています。(不正競争防止法第21条)
概要は、以下の通りです。
原則として、10年以下の拘禁刑または2000万円以下の罰金が科せられる可能性があります。ただし、海外使用・提供目的の場合など、より重い罪になる場合もあります。
その他の不正競争行為(混同惹起行為、著名表示冒用行為、誤認惹起行為、信用毀損行為など)を行った場合には、原則として、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
なお、法人の代表者や従業員が業務に関して違反行為を行った場合、行為者本人が罰せられるのとは別に、法人にも最大数億円規模の罰金が科せられる可能性があります。(不正競争防止法第22条)
民事上の措置
刑罰とは別に、不正競争行為によって損害を受けた被害者から、民事上の措置を請求を受ける可能性があります。
具体的には、
- ① 差止請求
- ② 損害賠償請求
- ③ 信用回復措置請求
が考えられます。
第二章 差止請求、損害賠償等
(差止請求権)
第三条 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
(損害賠償)
第四条 故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
違反しないようにするためのポイント
不正競争防止法に違反しないためには、会社として具体的なルール作り・体制づくりが重要です。
以下で、特にポイントとなる点を見ていきましょう。
営業秘密の厳重な管理体制の構築
営業秘密を守るためには、組織的な管理体制を作ることが重要です。
例えば以下のような点がポイントですので、これらを踏まえた社内ルールの制定や要員配置を検討しましょう。
取引先から受領した情報など、重要な情報にアクセスできる従業員を必要最小限に限定し、ID・パスワード管理のルールを定めるのがよいでしょう。
営業秘密が記録された媒体の持ち出しルールを定め、許可のない持ち出しを禁止する必要があります。
取引先との間で秘密保持契約を締結し、秘密情報の取り扱いについて明確に定めます。
重要な情報が保管されている場所への入室制限や監視カメラの設置などを行います。
適切な表示・広告のための二次チェック
消費者を誤解させるような不当な表示や広告を避けるために、管理者等によるチェック体制を設けるようにしましょう。
なお、私見ですが、法務部門がこれをチェックされている会社も見られますが、製品・サービスの正確な情報を持っている営業部署内で自らチェックできる体制が望ましいです。
従業員の教育・研修
営業秘密の重要性や管理方法、その他、不正競争防止法に関する教育などを定期的に実施することも重要です。
特に、営業部署において必要な法律知識を持つことが大変重要になります。
企業法務に強い弁護士への相談
もし悩ましい点があれば個別事案の対応や、体制整備の方法について企業法務に詳しい弁護士へ相談されることをお勧めします。
特に、不正競争防止法に関する問題は、明確な基準がなく、個別事情による総合判断が必要となるため、専門家に相談しないで話を進めると判断ミスが生じてしまいがちです。
判断に迷う場合は、企業法務に強い弁護士に相談するようにしましょう。
企業法務に強い弁護士へ相談するメリットや、顧問弁護士については、こちらのウェブサイトをご覧ください。
まとめ
この記事では、不正競争防止法の概要、具体的な違反事例、罰則、そして違反しないためのポイントについても解説しました。
不正競争防止法は、会社が公正な競争を行い、消費者の信頼を得るために不可欠な法律です。ビジネスの多様化、デジタル化が進む近年では、不正競争防止法も改正され、より複雑なものになっています。
不正競争防止法で禁止される不正行為は、多岐にわたっていますので、従業員一人一人がしっかり知識を身に着け、会社の体制を作っていかないと、気づかぬうちに法令違反が生じかねません。
もし、不正競争防止法に関して疑問や不安を感じた場合は、専門家である弁護士に相談することを強くお勧めします。
デイライト法律事務所では、企業法務に関する豊富な経験と専門知識を持つ弁護士が、皆様のビジネスをサポートいたします。
不正競争防止法に関するご相談はもちろん、その他企業法務全般について、お気軽にお問い合わせください。
LINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、お気軽にご相談ください。