外国人雇用の助成金・補助金はいくら?【2026年最新】

監修者:弁護士 西村裕一
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

外国人雇用の助成金・補助金はいくら?

会社が従業員を新しく雇い入れたり、社内環境を整えたりする際に使える一般的な助成金や補助金は、外国人を雇用する場合であっても同じように活用することができます。

受給できる金額は、利用する制度やコースによって異なりますが、数十万円から、大きな規模の取り組みであれば数百万円にのぼるケースもあります。

外国人を雇用する場合、代表的な「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を活用すれば1企業あたり80万円を上限に助成金を受け取れます。

また、各地方自治体が独自に実施している補助金制度を組み合わせることで、さらに数十万円から100万円以上の支援を受けられるケースもあります。

ただし、これらの制度は要件が細かく設定されており、申請の手順を一つ間違えるだけで不支給になってしまうケースも少なくありません。

この記事では、外国人雇用で実際に活用できる主な助成金・補助金の種類や具体的な受給額、さらに申請するにあたって会社が知っておくべき注意点について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

外国人雇用で助成金・補助金はいくらもらえる?

外国人雇用で助成金・補助金はいくらもらえる?

もっとも代表的な国の制度である、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」を利用した場合には、外国人が働きやすい環境を整備するための取り組み(整備措置)を1つ導入するごとに、定額20万円が助成されます(上限合計80万円)。

また、アルバイトなどの非正規雇用の従業員を正社員に登用した際に利用できる「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」では、2025年4月以降の改正により、雇用期間3年以上の従業員を正社員化した場合は1人あたり中小企業で最大80万円、雇用期間3年未満の従業員については原則40万円が支給されます。

このように、返済不要の資金を数十万円単位で確保できるのが、助成金や補助金を活用する最大のメリットです。

対象となる従業員の人数が増えたり、会社の生産性が向上して加算要件を満たしたりすれば、数百万円規模の資金援助を受けられるケースも珍しくありません。

助成金や補助金は、要件を満たして正しく申請すれば原則として受給できるものですから、ぜひ積極的に活用しましょう。

 

 

外国人雇用で活用できる主な助成金・補助金と受給額【一覧】

会社が外国人雇用を進めるにあたり、どのような制度が利用できるのか、まずは分かりやすく一覧表で整理してご紹介します。

それぞれの制度によって、支給される金額や目的が異なります。

自社の計画に合いそうなものをぜひチェックしてみてください。

助成金・補助金の名称 主な支給額の目安 目的・対象となる取り組み
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) 1措置につき定額20万円(上限合計80万円) 外国人の職場定着に向けた社内制度の整備や多言語化の費用
キャリアアップ助成金(正社員化コース) 1人あたり40万円~最大80万円(雇用期間・要件により異なる) 有期雇用の従業員(外国人含む)を正社員に登用した場合の支援
トライアル雇用助成金 月額 最大4万円
(最長3か月)
職業経験の不足などのある求職者を3か月間試行雇用することで得られる
人材開発支援助成金(人材育成支援コース) 最大1人あたり50万円
※中小企業の場合
※その他上限あり
従業員に対して、専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合の助成金
東京都:中小企業外国人従業員日本語教育研修支援助成金 経費の1/2、上限25万円 都内中小企業が実施する外国人従業員への日本語教育研修費用の補助
大阪府:外国人介護人材受入施設等環境整備事業 補助率2/3、1施設上限20万円 府内介護施設における外国人職員の就労・定着支援(介護分野限定)
福岡県:外国人材受入企業支援補助金 対象経費の一部(上限あり・年度により変動) 技能実習生受入企業の魅力発信・居住環境整備等の費用補助



それぞれの詳細な内容について順番に解説していきます。

 

人材確保等支援助成金|外国人労働者就労環境整備助成コース

人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」は、外国人を雇用する会社がまず検討すべき代表的な制度です。

この制度は、会社が雇い入れている外国人の離職を防ぎ、日本の職場で長く安定して働いてもらうための環境整備を行った場合に支給されます。

この助成金で認められている取り組みは、必須メニュー(2つ)と選択メニュー(3つ)に分かれており、導入した措置1つにつき定額20万円が支給されます(上限合計80万円)。

 

【必須メニュー】2つとも導入が必要(各20万円)
必須の取り組み 内容 助成額
① 雇用労務責任者の選任 外国人雇用の管理を担当する責任者を社内で任命する 定額20万円
② 就業規則の母国語訳・周知 会社のルールブックを外国人が理解できる言語に翻訳し、全員に周知する 定額20万円

 

【選択メニュー】3つのうち1つ以上を導入(各20万円)
選択の取り組み 内容 助成額
③ 苦情・相談体制の整備 仕事や生活の悩みをいつでも相談できる窓口を外部機関などと連携して設ける 定額20万円
④ 一時帰国休暇制度の整備 母国の家族に会いに行くための有給休暇制度を新たに設ける 定額20万円
⑤ 社内マニュアル等の多言語化 安全標識・業務マニュアル・社内規定などを外国人が理解できる言語で作成する 定額20万円

つまり必須2つ + 選択1〜3つで、合計60万円〜最大80万円の助成を受けることができます。

なお、計画期間は3か月以上1年以内で設定し、離職率に関する目標の達成も受給条件となっています。

外国人を初めて受け入れ、社内のルール作りや体制整備をゼロから進めたいと考えている会社にとって、リスクを抑えながら環境を整えられる非常に心強いサポートとなるでしょう。

参考:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

 

キャリアアップ助成金|正社員化コース

キャリアアップ助成金は、アルバイトなどの非正規雇用の従業員を正社員へとステップアップさせた場合に、会社に支給される助成金です。

この制度は国籍を問わず利用することができるため、外国人雇用においても強力な武器になります。

例えば、アルバイトとして雇っていた外国人留学生が学校を卒業するタイミングで、そのまま自社の正社員として採用する場合などは、この助成金の絶好のチャンスとなります。

また、最初は有期契約(期間の決まった契約)のスタッフとして採用し、その働きぶりや日本語能力を見極めてから、数か月後に正社員へと切り替えるようなケースでも活用できます。

支給額は次のとおりです(中小企業の場合)。

  • 重点支援対象者※を正社員化した場合:1人あたり最大80万円
  • その他の有期雇用労働者を正社員化した場合:1人あたり原則40万円

※重点支援対象者とは、以下のいずれかに該当する方
a:雇用期間3年以上の有期雇用労働者
b:雇入れから3年未満で、一定の条件を満たす有期雇用労働者

以上に加えて、2026年度の制度改定によって、正社員への転換実績などを自社サイト等で公表すれば新たに「情報公表加算」として中小企業で20万円を受け取れるようになりました。

これによって、1人目については100万を超える助成を受けることが可能となっています。

ただし、キャリアアップ助成金を受け取るためには、正社員に切り替えた後の給与を、切り替える前と比べて一定の割合以上(原則として3%以上)アップさせなければならないというルールがありますので注意しましょう。

参考:キャリアアップ助成金

 

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

この制度は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用契約への移行を前提に、原則3か月間試行雇用した事業主に対して助成する制度であり、外国人求職者も対象に含まれます。

助成額は対象者1人につき月額最大4万円で、支給期間は最長3か月間、企業が受け取れる上限額は1人あたり最大12万円となります。

外国人を正式に採用する前に、まず3か月間の試用期間を設けて適性を見極めたうえで本採用に移行できるため、採用ミスマッチのリスクを抑えながら人材を確保できるのが最大のメリットです。

ただし、ハローワーク等を通じた紹介を受けることが利用の前提条件となるため、この制度を活用する場合はまずハローワークに相談することから始めるとよいでしょう。

参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

 

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

外国人を採用した後の育成コストについて、国からサポートを受けられるのが、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)です。

この助成金は、業務に必要な知識・技能を身につける訓練を計画的に実施した場合に支給されるもので、外国人労働者・日本人労働者のどちらも対象となります。

助成されるのは、訓練にかかった費用(経費助成)と、訓練期間中の賃金の一部(賃金助成)です。

日本語研修や業務マニュアルの習得訓練なども対象となりえるため、外国人の早期戦力化を図りたい企業にとって活用しやすい制度です。

訓練実施の前に労働局への計画届の提出が必要となるため、スケジュールには余裕をもって準備を進めるようにしましょう。

参考:人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

 

東京都の補助金

地方自治体が独自に実施している外国人雇用の支援策も、見逃せない選択肢の1つです。

東京都では主に以下の制度が運用されています。

 

東京都の主な外国人雇用支援制度(2025年度実績)
制度名 対象 補助内容 補助額の目安
中小企業外国人従業員日本語教育研修支援助成金 都内中小企業(外国人従業員を直接雇用している事業者) 外国人従業員への日本語教育研修費用(日本語学校への通学費・社内研修費・ビジネスマナー講座など) 経費の1/2、上限25万円
外国人介護人材受入環境整備補助金(介護分野限定) 都内介護施設・事業所 多言語翻訳機の導入、異文化理解研修の受講など 補助率1/2以内、上限20万円


2025年度の日本語教育研修支援助成金の受付期間は2025年4月〜2026年1月15日でした。

年度ごとに要件や上限額が変動するため、利用を検討する際は東京都の公式サイト「TOKYOはたらくネット」で最新の公募情報を必ず確認してください。

 

大阪府の補助金

大阪府においても、ものづくり企業や観光業、サービス業を中心に、深刻な人手不足を解消するための外国人雇用支援が積極的に行われています。

大阪府の外国人雇用支援制度は、介護分野に特化したものが中心となっており、一般の中小企業向けに広く活用できる補助金制度については、年度ごとに内容や名称が変動しているため、公式情報の確認が特に重要です。

過去の制度として、外国人介護人材を受け入れる府内の介護保険施設を対象とした環境整備支援(外国人職員とのコミュニケーション促進・資格取得支援など)や、外国人留学生と府内企業のマッチングを促進する無料の合同企業説明会・オンラインプラットフォーム事業(外国人材受入加速化支援事業)があります。

 

福岡県の補助金

福岡県でも、独自の補助金制度が充実しているのでご紹介します。

 

福岡県・福岡市の主な外国人雇用支援制度(2025年度実績)
制度名 対象 補助内容 補助額の目安
福岡県外国人材受入企業支援補助金 福岡県内に本社または主たる事業所を有する中小企業(技能実習生を1人以上受け入れている、またはその計画がある事業者) 企業の魅力発信(PR動画・パンフレット作成など)、居住環境整備(寮へのエアコン・ロッカー・冷蔵庫・洗濯機の設置など) 対象経費の一部(上限あり・年度により変動)
飯塚市外国人材受入環境整備事業費補助金 飯塚市内で外国人を雇用中または雇用予定の事業者 通訳費・日本語研修費・住居確保費など受入環境整備にかかる費用 上限30万円



福岡県の補助金は技能実習生の受け入れ企業を主な対象としており、居住環境の整備や採用PRなど、受け入れの「初期投資」をカバーする内容が特徴です。

各制度の詳細は年度ごとに変わるため、福岡県庁や福岡県中小企業団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

 

 

外国人を雇用する際に利用できる支援制度

助成金・補助金といった直接的な金銭の給付以外にも、国や公的機関が提供している無料の支援制度が多数あります。

どの窓口に相談すればよいか迷いがちなので、目的別に整理してご紹介します。

 

支援制度・相談窓口の一覧
機関・制度名 運営主体 主なサポート内容 費用 対象
ハローワーク(公共職業安定所) 厚生労働省 外国人向け求人の出し方・在留資格の基礎知識の相談、外国人雇用状況届出の受付、通訳を交えた面接サポート(一部地域) 無料 全業種・全規模
外国人雇用サービスセンター 厚生労働省(ハローワーク関連機関) 外国人留学生・求職者の紹介、採用担当者向けアドバイス、セミナー・インターンシップ受入支援。東京・大阪・愛知・福岡などに設置 無料 全業種・全規模
外国人在留支援センター(FRESC) 出入国在留管理庁ほか複数機関 出入国在留管理庁・ハローワーク・法務局などがワンストップで対応。在留資格・雇用・法律に関する複合的な相談に対応。東京・四谷に設置 無料 全業種・全規模
ジェトロ(日本貿易振興機構) 独立行政法人 高度外国人材の採用相談、専門コーディネーターによる訪問支援、採用計画から定着まで一貫サポート 無料 主に高度人材採用を検討する企業
国際交流協会(各都道府県・市区町村) 地方自治体 地域の外国人と企業をつなぐ仲介、日本語教室の案内、異文化理解イベントの情報提供 無料(一部有料) 地域の企業・事業者
登録支援機関 民間(出入国在留管理庁認定) 特定技能外国人の入国後の生活支援(住居確保・銀行口座開設・住民票手続きなど)を会社に代わって代行 有料(委託費用が発生) 特定技能の在留資格で外国人を雇用する事業者
厚生労働省の研修セミナー・ガイドブック 厚生労働省 外国人雇用に関する労務管理・法令遵守のノウハウをまとめた研修・資料を全国各地で提供。ウェブサイトからガイドブックを無料ダウンロード可 無料 全業種・全規模


 

個人事業主でも外国人雇用の助成金・補助金を申請できる?

法人化していない個人事業主の方であっても、外国人を雇用した際に国の助成金や自治体の補助金を申請することは可能です。

助成金の申請資格において国や行政が最も重要視しているのは、会社の経営形態が株式会社や合同会社などの法人であるか、あるいは個人経営の商店や事務所であるかという点ではありません。

重要な判断基準は、その事業所が「雇用保険の適用事業主」になっているかどうかという点です。

たとえ個人経営の飲食店や、小さな建設業の親方、個人の美容室などであっても、従業員を1人以上雇い入れて適切に雇用保険に加入させているのであれば、国から支給される各種助成金の対象となります。

もちろん、今回メインで解説している「人材確保等支援助成金」や「キャリアアップ助成金」についても、個人事業主だからという理由だけで申請を断られることは一切ありません。

雇用保険法のルールでは、労働者を雇う事業主は原則としてすべて雇用保険への加入が義務付けられており、これは個人事業主であっても全く同じです。

 

個人事業主が特に気をつけたいポイント

ただし、個人事業主の方がこれらの助成金や補助金を実際に申請し、無事に国から受領するためには、実務上のハードルがあります。

それは、労働基準法に則った正確な労務管理が日頃から徹底されているかという点です。

助成金の審査の際には、対象となる外国人従業員の「出勤簿」や「タイムカード」のコピー、そして毎月の給与の支払い実績を証明する「賃金台帳」の提出が必ず求められます。

個人事業主の現場では、日々の出退勤の時間を手書きのメモだけで済ませていたり、残業代の計算を毎月アバウトな固定給にしてしまっていたりするケースが散見されます。

このような大まかな管理のまま助成金を申請してしまうと、役所の審査段階で「労働時間が不透明である」「残業代が正しく計算されていない」と厳しく指摘され、支給が却下されてしまいます。

悪気はなくても、結果として法律違反とみなされてしまえば、助成金が出ないばかりか、労働基準監督署からの指導の対象になってしまうリスクすらあるので注意しましょう。

 

 

外国人雇用時に必ず行うべき「状況届出」と必要書類

外国人を雇い入れるにあたって、会社には法律で定められた厳格なルールを守る義務が生じます。

特に、国への報告手続きや書類の確認を怠ると、悪意がなかったとしても重いペナルティを科されるリスクがあるため、事前の確認が不可欠です。

ここでは、外国人を新しくチームに迎える際に、会社の担当者が絶対に知っておかなければならない報告義務と、必ず確認すべき必要書類について解説します。

 

外国人雇用状況届出書の提出は法律上の義務

日本国内で外国人を雇ったとき、またはその外国人が退職したとき、会社は必ずその旨を国に届け出なければなりません。

この手続きを「外国人雇用状況届出」と呼び、すべての会社に義務付けられている法律(労働施策総合推進法)上のルールです。

もしハローワークへの届出を忘れてしまったり、嘘の報告をしたりした場合には、法律違反として30万円以下の罰金が科される可能性があります。

「うっかり忘れていた」という言い訳は一切通用せず、実際に罰金が科されたケースもあるため、会社の事務担当者は絶対に忘れてはいけない手続きです。

なお、この届出は、その外国人が雇用保険に入っているかどうかによって、手続きの方法や提出する用紙の様式が変わるため注意が必要です。

具体的には、雇用保険に加入する従業員(正社員や長時間のアルバイトなど)の場合は、雇用保険の加入手続きを行う書類に外国人の国籍や在留資格を記入して、一緒にハローワークへ提出します。

一方で、週の労働時間が短く雇用保険に入らない従業員(留学生の短時間アルバイトなど)の場合は、別途「外国人雇用状況届出書(第3様式)」という専用の書類単体でハローワークの窓口へ期限までに提出する必要があります。

最近では、インターネット上の「外国人雇用状況届出システム」を利用して、会社のパソコンからオンラインで手軽に提出することも可能になっています。

 

雇用前に確認すべき必要書類と在留資格

外国人を採用する面接や、雇用契約を結ぶ段階で、会社が最も慎重に確認しなければならない書類が「在留カード」です。

在留カードとは、その外国人が日本に合法的に滞在していることを国が証明する身分証明書のことです。

このカードには、その外国人が日本国内でできる仕事の種類や制限が細かく記載されているため、会社はカードの表面だけでなく裏面もしっかりとチェックしなければなりません。

特に重要なチェックポイントは、カード表面にある「就労制限の有無」という欄です。

ここに「就労不可」と書かれている場合は、原則としてその外国人を雇って働かせることはできません。

例えば、留学ビザや家族滞在ビザを持っている外国人の場合、原則としてそのままでは働くことができません。

しかし、カードの裏面を見て「資格外活動許可」という黒い文字のスタンプが押されていれば話は別です。

この許可があれば、原則として週に28時間以内に限り、コンビニエンスストアや飲食店などでアルバイトとして雇うことが法律で認められています。

もしこれらの確認を怠り、働くことが認められていない外国人を働かせてしまった場合、会社や経営者自身が「不法就労助長罪」という非常に重い罪に問われます。

この罪は、3年以下の懲役や300万円以下の罰金といった深刻な処罰を受けることになるため、事前の書類チェックは徹底しましょう。

精巧に偽造された在留カードを見抜くためのアプリとして、出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」なども存在しますので、それらを活用して確実なチェックを行うとよいでしょう。

もし、面接に来た外国人の在留カードの見方が分からない場合や、担当してもらいたい業務内容が現在のビザで許可されているか不安な場合は、勝手な判断で雇い入れるのは非常に危険です。

迷ったときは、雇用契約を結んで働き始めてしまう前に、外国人のビザ手続きや労務管理に詳しい弁護士などの専門家に相談して、法的な確認をしっかりと取ることをお勧めします。

 

 

東京、大阪、福岡など各地の「外国人雇用サービスセンター」の活用法

外国人を採用する際のルートや手続きに困ったときは、国が運営する公的な専門機関である「外国人雇用サービスセンター」を頼るのがおすすめです。

このセンターは、ハローワークの関連機関として、主に外国人が多く暮らす大都市圏に設置されています。

具体的には、東京、大阪、愛知(名古屋)、福岡などの主要な地域に専用の窓口が用意されています。

それぞれのセンターでは、日本での就職を目指す外国人留学生の就職支援や、外国人を新しく雇いたいと考えている会社への専門的なアドバイスを無料で行っています。

特に、外国人雇用についての基本的な知識を得たい場合、まずは全体像を把握したい、といった場合に活用できる窓口です。

公的な機関が運営しているため、初めて外国人を雇う会社であっても、高い安心感を持って利用できるのが大きなメリットです。

 

外国人雇用サービスセンターの具体的なサポート内容

これらの専門窓口では、具体的に以下のような手厚いサポート体制が整っています。

まず1つ目は、外国人材に特化した求人情報の受付と、条件に合う人材の紹介です。

会社が「このような国籍や語学スキルを持つ従業員を募集したい」と相談すると、センターに登録している外国人留学生や、専門知識を持つ外国人求職者の中から、会社の希望に沿った人を丁寧に探して引き合わせてくれます。

2つ目は、外国人雇用のルールや手続きに関する専門的なアドバイスの提供です。

窓口には外国人雇用の実務に詳しい専門のアドバイザーが配置されており、在留資格の基礎知識や、外国人を雇う際に会社が守るべき注意点について分かりやすくレクチャーしてくれます。

3つ目は、会社向けに開催されている各種のセミナーやインターンシップの受け入れ支援です。

異文化の背景を持つ従業員をスムーズに受け入れるための心構えや、社内での適切なコミュニケーション方法を学べる無料の講習会が定期的に開かれています。

これらの支援をうまく活用することで、採用にかかる初期コストを大幅に抑えながら、公的なルートで信頼できる人材を探せます。

各地域のセンターの詳しい所在地や具体的な受付時間などの公式情報については以下のページから確認できます。

参考:外国人雇用サービスセンター一覧

 

外国人雇用サービスセンターの限界

外国人雇用サービスセンターは、あくまで行政の一般的なガイダンスや情報提供、求人募集の仲介を公平に行う場所です。

個別の会社が抱える複雑な法律問題の解決や、個々のビザ申請が確実に通るかどうかの保証まではしてくれません。

例えば、採用した外国人の在留資格の申請を出入国在留管理庁(入管)に行う際、書類の不備や会社の事業内容の変更などが原因で、ビザが不許可になってしまうケースがあります。

このようなトラブルが起きた場合であっても、センターは、書類の最終的な判断や申請の結果について、一切の法的責任は負わないという中立な立場をとるのが基本です。

また、入社した後に外国人従業員との間で「給与の支払いをめぐる行き違い」や「突然の無断欠勤」「業務命令の無視」といった具体的な労働トラブルが発生してしまった場合も同様です。

センターの窓口に相談しても、一般的な法律の条文や原則的な解決方法を教えてくれるだけで、会社に代わって従業員と交渉してくれたり、裁判のリスクを回避するための具体的な契約書を代わりに作ってくれたりすることはありません。

公的機関はすべての会社と従業員に対して公平でなければならないため、特定の会社の味方になって個別の紛争に深く介入することは困難です。

そのため、センターの窓口で得られる一般的な基本情報と、実際の経営現場で発生する個別の法律判断やトラブル対応は、完全に切り離して考える必要があります。

公的機関の無料サポートと、専門家による個別のリーガルチェックの2つを賢く使い分けることこそが、外国人雇用を成功させるための重要な鍵となります。

 

 

弁護士が教える外国人雇用の注意点とデメリット

外国人雇用において最も深刻なトラブルに発展し、会社の経営を揺るがす原因となるのは、日本の「労働基準法」をはじめとする労働法令を正しく守れていないことによる労務リスクです。

日本の法律は、国籍を問わず、日本国内の事業所で働くすべての従業員に平等に適用されます。

そのため、外国人であっても日本人と全く同じように、労働時間、休日、そして割増賃金(残業代や深夜手当など)のルールが厳格に適用されるわけです。

万が一、不適切な労務管理や不正確な給与計算が発覚した場合、外国人従業員が外部の労働組合に加入して会社に団体交渉を申し入れてきたり、未払い残業代を過去に遡って一時に請求してきたりするケースが近年非常に増えています。

そうなれば、労働基準監督署からの厳しい是正勧告を受けることになり、会社の社会的信用は一瞬にして失墜してしまいます。

なお、技能実習制度については、2024年6月に関連法の改正が国会で成立し、「育成就労制度」となります(2027年4月1日〜)。

2026年では技能実習制度はまだ存続していますが、技能実習生を受け入れている企業は新制度への対応準備を早めに進めておくことが重要です。

また、国への法的な義務として、会社が外国人を雇い入れる際には、一定の条件を満たす事業所において「外国人雇用管理主任者」などの労務責任者を選任し、適正な雇用環境の維持に努める努力義務や体制整備が求められます。

 

 

外国人雇用の助成金や労務管理を弁護士に依頼するメリット

ここまで解説してきたように、外国人雇用には多くのチャンスと同時に、特有の法律上のリスクがつきまといます。

これらをすべてクリアするためには、法律のプロフェッショナルである弁護士の力を借りることが非常に有効な手段となります。

弁護士に外国人雇用に関する業務を依頼する最大のメリットは、助成金受給の絶対条件である「適正な雇用環境」を、法的な根拠に基づいて完璧に整備できる点です。

国や自治体が支給する多くの雇用関係の助成金は、社内で違法な労働が行われていないことを大前提として厳格に審査されます。

会社の就業規則が最新の法律通りに作られているかどうかも、非常に厳しくチェックされる項目の1つです。

助成金の審査を担当する労働局などの役所は、提出された外国人従業員のタイムカードや賃金台帳を隅々まで確認します。

もしそこに、残業代の計算間違いや、労働基準法に違反するような不当な契約内容が見つかれば、助成金は一切支給されません。

弁護士が最初から介入することで、事前の労務チェックが極めて高い精度で行われ、役所の審査でつまずくリスクを減らすことができます。

また、プロの視点から事前に対策を講じることで、万が一の出入国在留管理庁とのビザトラブルを未然に防ぐことができます。

従業員との間の労使紛争を発生させないための仕組み作りも、弁護士の得意分野です。

外国人を雇用する際、文化や言葉の違いから、些細な行き違いが大きな法律トラブルに発展し、会社の事業継続性を脅かすケースは決して少なくありません。

また、外国人従業員は日本人従業員以上に契約内容を非常に重要視する傾向があります。

日本の伝統的な「空気を読む」といった曖昧なコミュニケーションは理解されづらく、雇用契約書に書かれていることがすべてであるという認識を持っていることも多いです。

そのため、契約書の中に、具体的な業務内容や残業代の支払いルール、退職時の手続きなどを極めて明確に記載しておかなければなりません。

市販のひな形やインターネット上の無料テンプレートをそのまま流用すると、自社の実態と合わずに後から「契約違反だ」と訴えられるリスクが格段に高まります。

弁護士は、会社の実際の業務内容を丁寧にヒアリングした上で、会社を守るための完全オーダーメイドの契約書を作成します。

専門家である弁護士のリーガルチェックを受けた書面を用意しておくことが、外国人従業員からの無用なクレームを跳ね返し、強固な信頼関係を築くための第一歩となります。

 

 

外国人雇用と助成金・補助金についての相談窓口

これから外国人雇用に本格的に取り組むにあたり、具体的に誰に相談すれば良いのでしょうか。

相談先には「公的機関」と「民間の専門家」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。

相談先を間違えてしまうと、期待していたサポートが得られず、時間も費用も無駄になってしまう可能性があるため、目的に応じた使い分けが重要です。

外国人雇用と助成金・補助金についての相談窓口選びのフローチャート

 

まずは無料で相談:公的機関の窓口

費用をかけずに情報収集や採用支援を受けたい場合は、公的機関の窓口を最初の入り口として活用しましょう。

主な窓口は、先ほど(前章「外国人を雇用する際に利用できる支援制度」)でご紹介した通りですが、使い分けのポイントをご紹介します。

ハローワーク(公共職業安定所)は最も身近な窓口で、外国人を雇いたい旨を相談すると、求人票の書き方や在留資格の基礎知識について丁寧にアドバイスを受けられます。

外国人雇用サービスセンター(東京・大阪・愛知・福岡等に設置)では、外国人求職者の紹介や、採用に関するより専門的なアドバイスを無料で受けられます。

ジェトロでは、高度外国人材の採用を検討している会社に対して、専門コーディネーターによる訪問支援や相談会を実施しています。

ただし、公的機関はあくまで一般的な情報提供・仲介が役割であり、個別の法律問題の解決や助成金申請の労務チェック、雇用契約書の作成といった踏み込んだ対応は行っていません。

そうした場面では、以下の民間専門家への相談が必要になります。

 

外国人雇用全般は労働問題に強い弁護士

外国人雇用のルール確認、契約書の作成、在留資格(ビザ)のチェック、そして社内での労働トラブル防止など、外国人雇用に関する総合的な法律チェックについては、労働問題に強い弁護士に相談することを強くお勧めします。

弁護士は、単に書類の書き方を教えるだけでなく、法律の専門家として会社の経営そのものを守るための幅広いサポートを提供します。

例えば、外国人を雇用する際には、「もし在留資格の更新が不許可になった場合、雇用契約はどうなるのか」といった、外国人特有のリスクを想定した契約条項をあらかじめ定めておく必要があります。

このような複雑な契約書を、会社の状況に合わせて一からオーダーメイドで作成できるのは、弁護士ならではの強みです。

また、万が一、外国人従業員との間で「給与の未払い」や「不当解雇」などを巡る法的なトラブルが発生してしまった場合、会社の代理人として矢面に立って相手方と交渉できるのは、法律上、弁護士だけに限られています。

なお、いざというときに弁護士にスムーズに相談して対応してもらうためには、顧問契約が有用です。

ぜひこの機会に顧問弁護士をお持ちいただくこともご検討ください。

 

助成金だけなら社会保険労務士

一方で、「今回利用したい助成金の申請手続きの手順だけを知りたい」「役所へ提出する書類の作成と提出代行だけをスポットでお願いしたい」という場合は、社会保険労務士(社労士)が専門の窓口となります。

社労士は、雇用保険や社会保険の手続きのプロであり、複雑な助成金の申請書類を迅速に作成してくれます。

ただし、社労士は「法律の争い(裁判)」を扱うことはできませんので、あくまで「行政手続きの代行者」として依頼することになります。

 

 

外国人雇用助成金についてのQ&A

最後に、外国人雇用と助成金に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

 

外国人雇用状況届出を忘れたらどうなりますか?

最大30万円以下の罰金が科される可能性があります。

外国人を雇い入れた場合、または退職させた場合には、翌月末日までにハローワークへ届け出ることが「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」によって義務付けられています。

この届出を怠ったり、虚偽の内容を報告したりした場合には、同法の規定により30万円以下の罰金が科される可能性があります。

「うっかり忘れていた」「知らなかった」という理由は一切通用しないため、採用・退職のたびに期限内の届出を徹底することが重要です。

なお、届出の方法はハローワークの窓口への書類提出のほか、インターネット上の「外国人雇用状況届出システム」を利用したオンライン提出も可能です。

 

ハローワークでの手続きは個人でも可能ですか?

可能です。

ただし、事前に必要書類を揃えて臨むことが大切です。

ハローワークでの外国人雇用に関する手続き(外国人雇用状況届出、雇用保険の加入手続きなど)は、社会保険労務士などの専門家に依頼しなくても、経営者や担当者が自ら窓口で行うことができます。

個人事業主の方も同様に手続き可能です。

 

コンビニで外国人を雇うと補助金はもらえる?

条件を満たせば、助成金や補助金を活用することができます。

コンビニエンスストアであっても、業種に関わらず活用できる助成金制度はあり、実際に多くのコンビニエンスストアが助成金を活用しています。

特に「キャリアアップ助成金」や、店舗のIT化(自動精算機の導入など)に伴う「IT導入補助金」などは、業種を問わず申請が可能です。

ただし、店長やオーナーが適切な労務管理(適切な労働時間の把握や、最低賃金の遵守など)を行っていることが大前提となります。

 

 

まとめ

今回は、外国人雇用の助成金・補助金の受給額、種類、そして申請にあたっての注意点について、最新の情報を交えて解説しました。

外国人雇用は、人手不足を解消するメリットがある一方で、それに伴う各種の法的なルールを守ることが求められます。

しかし、国や自治体の支援を賢く活用すれば、その責任を果たすためのコストは大幅に軽減することができます。

外国人雇用や助成金活用、さらには労務管理全般でお悩みのことがございましたら、どうぞお一人で抱え込まず、私たちデイライト法律事務所にご相談ください。

貴社のビジネスが国境を越えて円滑に進むよう、専門家の立場から全力でサポートいたします。

外国人雇用のリーガルチェックはもちろん、その他企業法務全般について、お気軽にお問い合わせください。

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