覚書とは?契約書との違い・書き方・印紙の必要性を解説

監修者:弁護士 西村裕一
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士


覚書とは?契約書との違い・書き方・印紙の必要性を解説

覚書(おぼえがき)とは、当事者間で合意した約束を文書にまとめた契約書の一種です。

見た目は簡易でも契約書と同等の法的効力があり、裁判でも有効な証拠となります。

しかし実務の現場では、「契約書や念書との違いは?」「正しい書き方やハンコのマナーは?」「収入印紙は貼るべき?」など、判断に迷うポイントが多くあります。

使い方を誤ると、後々のトラブルや罰金(過怠税)などのペナルティにつながる恐れもあるため注意が必要です。

そこで本ページでは、覚書とは何か、契約書との違いや法的効力、正しい書き方や収入印紙の要否までを弁護士が分かりやすく解説します。

今すぐ使える無料テンプレートも無料で公開していますので、作成前にぜひ最後までご覧ください。

覚書(おぼえがき)とは?定義と法的効力

覚書とは?

覚書は「おぼえがき」と読み、「忘れないように覚えておくための書き留め」という意味を持っています。

当事者間で合意した約束を忘れないよう簡潔に記録する目的で使われるため 、一般的な契約書(「〇〇基本契約書」など)に比べて、詳細な条項や堅苦しい形式が求められないことが特徴です。

ビジネスの現場では、取引内容やプロジェクトの進行状況、社内の合意事項を記録する際にも幅広く活用されています。

 

覚書を作成する目的と役割

覚書を作成する最大の目的は、当事者同士の合意内容を明確にし、後日のトラブルや紛争を未然に防ぐことにあります。

口頭の約束だけでは、時間が経つと「言った・言わない」の論争になりかねません。

しかし、覚書を結ぶことによって、双方の約束や合意が明確になるため、将来の紛争を予防する役割を果たします。

 

 

覚書と契約書・念書・合意書との違い

ビジネスや日常生活において、「契約書」のほかに「覚書」「念書」「合意書」といった様々な名称の書面を目にすることがあります。

これらは一見するとどれも同じように思えるかもしれませんが、法的な性質や実務上の役割、そして「誰が署名(あるいは記名押印)するか」によって違いがあります。

それぞれの書類の特徴と違いを正しく理解し、適切な書面を選択・作成できるようにしましょう。

 

覚書と契約書の違い

法的効力には「差がない」

結論からお伝えすると、「覚書」と「契約書」の間に法的拘束力の強弱はありません。

法律上、書面のタイトルが「契約書」であっても「覚書」であっても、双方の合意が記載されていれば、その法的効果はまったく同じです。

万が一、トラブルになり、裁判に発展した場合でも、双方の署名・押印があればどちらも同様に証拠能力を持ちます。

 

実務上の使い分け

では、なぜ実務では使い分けられているのでしょうか。

一般的には、以下の基準で使い分けられます。

  • 契約書

新規の取引を開始する際や、取引の全体像、基本ルール、重要事項(金額、納期、責任範囲など)を網羅的に定める場合に使用します。

  • 覚書

すでに締結している既存の契約書の一部を変更・追加する場合や、主要な契約に付随するちょっとした合意事項(例:個人情報の取り扱いに関する限定的な取り決めなど)を定める場合に使用されます。

また、「契約書」という言葉が持つ重々しい印象を和らげるために、事前の取り決めや内定段階の合意としてあえて「覚書」というタイトルを選ぶケースもあります。

 

覚書と念書との違い

最大の違いは「署名・押印する人数」

覚書と念書の最も大きな違いは、「当事者の双方が合意しているか(双方が署名するか)」、それとも「一方が他方に約束しているか(一方のみが署名するか)」という点です。

  • 覚書

当事者「双方」が内容に合意し、双方が署名・押印して、それぞれが1通ずつ保管します。

  • 念書

差出人(約束する側)が「一方的」に義務や約束を記載し、自らの署名・押印をして相手方(受け取る側)に提出するものです。
受け取る側は署名・押印せず、原本も受け取る側だけが保管します。

 

法的拘束力の違い

覚書は「双方が合意した契約」そのものですが、念書は「一方が特定の事実を認めた、または約束した証拠」となります。

念書であっても、「借金を認めます」「今後一切の迷惑行為をしません」といった内容が記載されていれば、裁判において非常に強力な証拠になります。

ただし、一方的な差し入れであるため、双方が対等な立場で義務を負うような複雑な取引には適していません。

 

覚書と合意書との違い

本質的な意味は「ほぼ同じ」

「覚書」と「合意書」は、どちらも当事者双方が合意内容を確認し、双方が署名・押印する書面であるため、法的な性質や効力はほぼ同じです。

どちらを使っても間違いではありません。

 

ニュアンスや使用される場面の違い

実務上のニュアンスとして、以下のような使い分けがなされる傾向にあります。

  • 合意書

ある特定のテーマや紛争について、話し合いがまとまった結果を記録する際によく使われます。(例:トラブルの解決時の示談書・和解合意書)

  • 覚書

メインとなる基本契約書がすでに存在し、その補足や一部変更を行う場合、あるいは正式な契約を結ぶ前段階のメモ・確認書として使われることが多いです。

 

 

覚書を作成・締結するべきケース

具体的には、主に以下のような4つの場面において、覚書の作成・締結が必要となります。

 

ケース① 契約書の締結前に合意事項を文書化する場合

ビジネスの場面では、約束は基本的に契約書で取り決めます。

しかし、一般的な契約書は詳細な条件や形式を整える必要があるため、契約書を締結するにはそれなりの時間を要します。

そこで、事前の商談で重要な合意事項が決まった段階で、先に覚書を取り交わすことがあります。

重要なポイントについてお互いに文書で約束をしておくことで、安心して詳細な契約書の準備を進めることができるようになります。(なお、最近ではこのような簡易な合意書を「覚書」とせず、「基本合意書」と呼ぶことも多いです。)

  • メリット: 契約書が完成する前に主要条件を固められるため、条件の食い違いや一方的な変更のリスクを減らせます。

 

ケース② 締結済みの契約書に関連して追加で合意事項がある場合

既に締結済みの契約書に関して、これを補完するために覚書を締結することも多いです。

例えば、契約書を締結する時点では決まり切っていない事項について、契約書では「詳細な〇〇の条件については別途協議のうえで定める」といった記載をすることがあります。このような場合に、別途協議で決まった事項を覚書の形で合意することがあります。

このような覚書は、本体となる契約書に紐づいて、契約書と一体となって合意事項を示すことになります。

  • メリット: 元契約を作り直す必要がなく、追加条件だけを短期間で文書化できます。

 

ケース③ 契約書締結後に、その内容を変更する場合(変更覚書)

契約書を締結した当時から事情が変わって、条件を変更したい場合に覚書を締結することがあります。

一般に、「変更覚書」と呼ばれるのがこの覚書です。契約書の内容の一部について、その内容を上書きすることがこの変更覚書の目的です。

例えば、会社同士の契約書では、数年以上昔に結ばれたものも少なくありません。この場合、契約に記載された経済条件やその他の条件が時代遅れになって、実態に合わないことがあります。このような場合に、当事者同士で上書きした条件が変更覚書で合意されます。

  • メリット: 条件変更を口頭で済ませず、正式に記録することで後日の争いを防げます。

 

ケース④ 契約書を解除する場合(解除覚書)

締結済みの契約書を解除(合意解約)したい場合にも、契約解除の覚書が使われることがあります。

契約を解除(合意解約)するだけであれば、簡易な覚書の形式でも十分なことが多いので、覚書が活用されます。

  • メリット: 解約条件や精算内容を明確に残すことで、解約後のトラブルを避けられます。

このように、覚書は契約書の締結の前段階や契約締結後に詳細が決まった場合、変更する場合などに有効な合意書面となります。

 

 

覚書のテンプレートを無料でダウンロード

覚書は契約書に比べると簡易に作成が可能ですが、あまりに雑に作成してしまうと、文書として明確なものにならず、覚書の目的(将来の紛争予防、法的拘束力の発生)を十分に達成することができなくなってしまいます。

そのため、覚書を作成する場合でも、テンプレートを活用して作成することをお勧めします。

当事務所では弁護士が作成した信頼できるテンプレートを無料で公表していますので、ぜひご参考にされてください。

覚書のテンプレート(Word形式、PDF形式)を無料でダウンロードいただけます。

 

 

覚書の基本構成と正しい書き方を雛形で解説

続いて、覚書の書き方について、当事務所が提供する無料テンプレートをもとにしてポイントを解説していきます。

 

①冒頭部分(前文)

覚書の書き方①

覚書では契約書の場合と同じように、前文と呼ばれる冒頭部分で両当事者を記載します。

このテンプレートでは、既に契約書を締結済みの場合を想定して、覚書に紐づいている契約書を特定しています。

具体的には以下の部分です。
「〇年〇月〇日付で締結した「〇〇契約書」(以下「原契約」という)に関して、」

 

②合意事項

覚書の書き方②

続いて、覚書の本体部分(本文)に入ります。

この「・」部分に特に合意したい合意事項を端的に記載しましょう。

端的と言っても、曖昧な日本語を記載することは避けるべきですので、主語や述語(誰が、何をどうする)を省略せずに書くようにしましょう。

このテンプレートでは、契約書(原契約)で合意している一部の条項について、詳細条件などを追加で合意する場合を想定して、「原契約第〇条第〇項に定める〇〇について、」と記載しています。

契約書が存在しない場合にも、この覚書が何についての合意なのか、がわかりやすいように「〇〇について、」を記載することをお勧めします。

 

③有効期間

覚書の書き方③

続いて、有効期間を記載します。

覚書では省略されることも多いですが、テンプレートでは丁寧に明記しています。

なお、原契約がある場合で、有効期間を原契約に連動させる場合には「本覚書の有効期間は、原契約と同様とする。」のように記載するとよいでしょう。

 

④反社会的勢力の排除

  1. 覚書の書き方⑤

少し長いですが、反社会的勢力との関係遮断のための条項を記載しています。

覚書であってもいったんこれを結んでしまうと、相手との取引関係がスタートすることになります。

そのため、その取引関係の入り口である覚書の時点で反社会的勢力ではないことをお互いに表明することは重要です。

 

⑤準拠法、裁判管轄

覚書の書き方④

続いて、準拠法や裁判管轄について明記しています。

覚書では省略されることも多い、いわゆる一般条項ですが、テンプレートではあえて明記して正確な合意になるようにしています。

 

⑥その他の条件

覚書の書き方⑤

締結済みの契約書(原契約)がある場合には、細かい条件はすべて原契約に準拠することを明示しておきましょう。

これによって、覚書では省略している細かい条件については原契約が適用・準用されることになります。

なお、締結済みの契約書がない場合には、この条項は削除してください。(その代わりに適宜条項を増やしましょう。)

 

⑦記名押印欄

以上、本覚書の締結を証するため、正本2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ、各1通を保有する。

覚書の書き方⑦

覚書の最後には、記名押印欄があります。押印は丸印(契約の内容や重要度に応じて、実印または認印)がおすすめです。

締結日となる日付を記載したうえで、両当事者それぞれで記名と押印を行いましょう。

個人の場合には、住所と個人の氏名を記載します。

会社の場合には、本社住所と会社名称(法人の正式名称)、さらに代表者(代表取締役など)の役職と氏名を記載します。

覚書が複数ページになる場合で、製本化しない場合には、各ページの合間に契印を押すことを忘れないようにしましょう。

また、2通の同一性の信用度をさらに高めるために、割印を押すケースもあります。割印は必ずしも必要ありませんが、あった方が同一のタイミングで作成された文書がどれであるかを明らかにすることができるでしょう。

 

 

覚書の変更・修正方法

一度作成・締結した覚書であっても、後から内容の一部を変更・修正しなければならないケースは多々あります。

修正を行う場合、修正したい箇所のボリューム(多いか・少ないか)によって、実務上の適切なアプローチが異なります。それぞれのケースにおける正しい手続きを確認しておきましょう。

 

変更・修正等を行う箇所が少ないケース

修正したい箇所が1〜2箇所の単語や金額、日付程度など、ごくわずかである場合は、わざわざ新しい書面を作り直す必要はありません。

既存の覚書の原本に直接手書きで修正を行い、訂正印を押す方法が一般的です。

 

具体的な手順

  1. ① 二重線で消去: 修正したい文言の上に二重線を引きます(元の文字が読めるように消します)。
  2. ② 正しい文言の追記: 二重線のすぐ上、または近くの余白に正しい文言をきれいに書き込みます。
  3. ③ 訂正印の捺印: 変更箇所の上部余白(または変更箇所の近く)に、当事者双方(覚書に署名・押印した全員)の印鑑を押します。
  4. ④ 文字数の記載(推奨): 訂正印の近くに「◯字削除、◯字挿入」と手書きで記載します。これにより、後からの改ざんを防ぐことができます。
 注意点

訂正印は、必ず「双方が契約時に使用した印鑑と同じもの(実印や社印)」を押す必要があります。

片方だけの印影では、勝手に修正されたとみなされ、トラブルの原因になります。

 

変更・修正等を行う箇所が多いケース

修正・変更したい箇所が複数ページに及ぶ場合や、条文全体の意味合いを大きく書き換えるような場合は、直接修正する方法だと書面が汚れて読みづらくなり、誤読やトラブルの元になります。

この場合は、直接修正するのではなく、「新たな覚書(または変更合意書)」をもう1通作成するのが正しい実務です。

 

具体的な手順

新しい書面を作成し、そこに変更後の内容を明記します。

その際、必ず「どの覚書の、どこを、どのように変更するか」を特定できるように記載します。

記載例

第〇条(内容の変更)
甲および乙は、令和〇年〇月〇日付で甲乙間で締結した「〇〇に関する覚書」(以下「原覚書」という)の第3条の規定を、以下の通り変更することに合意する。

(変更後)
第3条 〇〇〇〇〇〇〇〇(新しい条文を記載)

 

変更方法の比較まとめ

修正の規模 おすすめの手法 メリット デメリット・注意点
少ないケース
(単語や日付の変更など)
原本への直接修正
(二重線+全員の訂正印)
手間がかからず、その場でスピーディーに対応できる。
  • 書面が汚れやすい。
  • 全員の同じ印鑑が必要。
多いケース
(条文全体の書き換えなど)
新たな覚書の締結
(変更覚書・変更合意書)
後から見返したときに、変更内容が非常にクリアで確実。 改めて書類を作成・印刷し、再度署名捺印する手間がかかる。
弁護士からのアドバイス:電子契約の場合の注意点

近年普及しているクラウドサインなどの電子契約で締結した覚書の場合、後からPDFデータを直接修正して訂正印を押す、ということはシステム上不可能です。

そのため、電子契約においては、修正箇所が少なくても多くても、すべて新たに覚書を電子システム上で再締結するのが基本となります。

実務がデジタル化している場合は、この点も社内ルールとして徹底しておきましょう。

 

 

覚書に収入印紙は必要?

前述の通り、覚書も契約書の一種です。

そのため、無事に覚書を締結する場合、収入印紙の要否を判断する必要があります。

収入印紙とは税金の一種で、国税庁が決めている「課税文書」に該当する文書であれば、決められた金額分をその文書に貼付する必要があります。

覚書と一言で言っても、様々な内容を合意できます。

そのため、その内容によっては、課税文書に該当することが少なくありません。
例えば、以下の場合には収入印紙が必要になります。

覚書でも収入印紙が必要となる具体例 課税文書の種類 金額
不動産等の譲渡に関する覚書 第1号文書 契約金額に応じて変動  ※参照
金銭の貸借に関する覚書 第1号文書 契約金額に応じて変動 ※参照
請負契約に関する覚書 第2号文書 契約金額に応じて変動 ※参照
継続的取引の基本となる覚書 第7号文書 一律で4000円
債権譲渡や債務引受けに関する覚書 第13号文書 一律で200円

※これらはあくまで具体例です。実際に課税文書に該当するかは個別に以下の印紙税の手引きを参照して判断いただく必要があります。また、上記に該当する場合でも、非課税の条件を満たせば収入印紙が不要になることもありますのでご注意ください。

引用:印紙税の手引き|国税庁

なお、仮に印紙税法に違反した場合、罰金(過怠税)が課されることがあります。

 

覚書の印紙代はどちらが貼る(負担する)?

法律上のルール:「連帯して負担する」

1つの契約書(または覚書)を共同して作成した場合、その当事者は「連帯して印紙税を納める義務がある」と定められています(印紙税法第3条第2項)。

つまり、法律上はどちらか一方が払えばいいというわけではなく、双方が共同して責任を負うことになっています。

 

実務上の一般的な負担パターン

法律上は連帯債務ですが、実務においては、以下のいずれかの方法で負担するのが一般的です。

 

パターン1:各自が保管する書面の分をそれぞれ負担(最も一般的)

覚書を2通作成し、甲と乙がそれぞれ1通ずつ保管する場合、自分が保管する分の印紙代は、自分が負担するという方法です。

お互いに同額を負担することになるため、最も公平でトラブルの少ない方法です。

 

パターン2:原本を1通だけ作成し、一方が費用を負担

印紙代を節約するために、原本を1通だけ作成して印紙を貼り、一方が原本を保管、もう一方はコピーを保管するという実務を行うことがあります。

この場合は、原本を保管する側(または契約を強く希望した側)が印紙代を全額負担するケースが多いです。

 

パターン3:発注元や元請け企業が負担

取引上の立場や慣習から、発注元(親事業者)が親切心やスムーズな取引のために印紙をあらかじめ貼って相手方に送付し、全額負担することもあります。

 ワンポイントアドバイス

印紙代をどちらがどのように負担するかは、最終的には当事者間の話し合いで自由に決めて構いません。

後から揉めないよう、事前に確認しておきましょう。

 

印紙を貼り忘れ・金額を間違えた場合のリスク

「印紙を貼り忘れた」「本来より安い金額の印紙を貼ってしまった」という場合、以下のような重大なリスクが発生します。

 

① 3倍(または1.1倍)の「過怠税」が課される

印紙の貼り忘れ(不調達)が税務調査などで発覚した場合、本来納めるべき印紙税の額に加え、ペナルティとして「過怠税(かたいぜい)」が徴収されます。

  • 自主的に申し出なかった場合

本来の印紙代の3倍(元の印紙代 + その2倍の罰則金)を支払わなければなりません。

  • 自主的に貼り忘れを申し出た場合

税務調査を受ける前に「貼り忘れていました」と自主的に申告した場合は、軽減されて1.1倍の支払いで済みます。

金額を間違えて「本来の額より少なく貼っていた」という場合も、その不足額に対して同様に3倍(または1.1倍)の過怠税がかかります。

 

② 消印(割印)を忘れると、印紙と同額の過怠税がかかる

印紙を正しく貼っていても、印紙と書面にまたがって押印や署名をする「消印(一般的に割印と呼ばれるもの)」を忘れていると、印紙を再利用できる状態とみなされ、「貼った印紙と同額の過怠税」が別途課されます。

ワンポイント:印紙を貼っていなくても「覚書の効力」は有効

「印紙を貼り忘れた覚書は、法的に無効になってしまうのではないか?」と心配される方がいますが、それは誤解です。

印紙税はあくまで「税法上の義務」であり、「民法上の契約の成立」とは切り離して考えられます。

そのため、印紙が貼られていなくても、当事者間で署名・押印された覚書の法的効力(約束事としての有効性)は何ら失われません。

 

 

覚書は電子契約でも有効?作成のメリット

覚書を電子契約で行った場合でも双方の電子署名による合意があれば、有効です。

電子契約で作成するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

覚書を電子契約で作成するメリット

 

書面に比べてスピーディに作成できる

覚書を電子契約で行うと、書面で作成する場合に比べて早く作成することができます。

書面の場合には、双方が署名押印するために、郵送でやり取りを行うこともしばしばです。

しかしながら、電子契約の場合には、メールでのやり取りとなるため、郵送にかかる時間が不要となります。

そのため、スピーディに作成することができます。

 

印紙が不要

また、電子契約で覚書を締結することで、書面で作成する場合に印紙が必要な場合でも、電子契約では不要というメリットがあります。

これにより、印紙代がかからず、コストを削減することができます。

 

管理がしやすい

覚書を電子契約で行うことで、データ化されたファイルを管理することになります。

契約書関係書類をクラウドやハードディスクなどに一元管理することができるため、書類が紛失したり、バラバラになったりするリスクを回避し、ビジネスを円滑に進めることができます。

 

 

覚書を締結する前に押さえておきたい4つのポイント

覚書を締結する前に押さえておきたい4つのポイント

覚書を作成して締結する際に、重要となる4つのポイントをご紹介します。

これらのポイントを理解し、正確に反映することで、覚書の信頼性や法的効力が高まります。

 

①覚書でも軽く考えない

覚書は、何となく「〇〇契約書」のような文書と比べて効力も弱く、あまり重要ではないと考えられがちです。

しかし、前述の通り、覚書も契約書の一種です。

覚書に書かれたことは、契約書と同等の法的な拘束力が発生し、あなたはこれを守る必要があります。

そのため、覚書だとしても軽く考えず、約束を守れると思う内容だけを記載するようにしましょう。

実際に、ビジネスの現場では覚書であろうと、契約書であろうと、区別せずに会社の法務部門などが丁寧に内容をチェックしてから締結されることも多いです。

 

②大事なことは明確に・漏れなく覚書に書ききる

覚書は、契約書よりも簡易に作成される傾向があります。

しかし、そのせいで、曖昧な日本語表現で覚書が作成されたり、大事なことが書き漏らされてしまう、ということが起きがちです。

せっかく覚書を結んだのに、日本語の表現が曖昧であったり、あるいは書き漏らしがあると、結局トラブルを未然に防ぐ、という覚書の目的が達成されません。

覚書とはいえ、しっかりとした日本語で、合意事項を漏れなく記載するようにしましょう。

もしご自身だけで不安がある場合には、弁護士などの専門家に確認を依頼することをお勧めします。

 

③署名または記名押印を行う

覚書に当事者同士の署名・記名押印を行わないケースがあります。

しかし、署名や記名押印を行わなければ、その覚書は単なるメモ書きと一緒で、法的な拘束力が非常に弱まってしまい、約束を破られるリスクが高まります。

せっかく覚書として作成する以上は、その合意内容に効力を持たせたいのが通常ですから、名又は記名押印まで忘れずに対応するようにしましょう。

 

④企業法務に強い弁護士に相談する

特に、企業では、覚書と言ってもその金額や重要性が高いものも少なくありません。

前述の通り、覚書も契約書の一種として企業を拘束しますから、その取引に応じて丁寧に作成することが必要です。

いったん締結してしまえば、締結をし直すことは相手との関係によっては容易ではありませんので、できるだけ弁護士へ事前に相談して覚書の作成やレビューを依頼することを強くお勧めします。

特に、企業案件については、独自の注意点やポイントがありますので、企業法務に強い弁護士へ相談されることをお勧めします。企業法務の経験が豊富な弁護士かどうか、弁護士事務所のWEBページから確認して依頼するようにしましょう。

企業法務に強い弁護士についてより詳しくお調べになりたい方は、以下のページも合わせてご覧ください。

 

 

覚書についてのQ&A

最後に、覚書に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

覚書を作成する際や利用する際の参考にされてください。

 

覚書は変更できますか?

覚書は一度作成・署名された後でも、双方の合意があれば変更することが可能です。

変更の際には新たな覚書を作成するか、既存の覚書に変更内容を明記し、双方が署名・捺印することが重要です。

これにより、変更内容が正式に合意されたことが確認され、トラブルを防ぐことができます。

ただし、相手との関係によっては変更を合意することは容易ではありませんので、できるだけ変更を必要としない覚書を結ぶようにしましょう。

 

覚書に有効期限はありますか?

覚書に有効期限を設けることは可能です。

特に、特定のプロジェクトや業務に関する覚書の場合、期間を明確にすることで、双方の期待を明確にし、後々のトラブルを防ぐことができます。なお、覚書に有効期限を設けなかった場合でも、紐づく親契約(原契約)がある場合にはその有効期限が準用されることも多いです。

 

どのような手順で覚書を作成すればいいですか?

まずは、覚書のテンプレートを決めましょう。
当事務所で提供している覚書のテンプレートをお勧めしていますが、他にもインターネット上では多数のテンプレートがあります。

続いて、覚書で合意したい事項をそのテンプレートに埋めていきます。

この際に、できるだけ具体的な言葉で、主語や述語を省略せずに、記載することが重要です。

最後に、当事者同士で記名押印を行うことで覚書が完成します。

以上が簡単な作成手順ですが、前述の通り、覚書だからと言って軽く見てはいけません。特に大事な覚書であれば、事前に弁護士などの専門家に確認してもらうようにしましょう。

 

覚書は契約書の代わりになる?

覚書は双方が署名(記名)、押印すれば、合意文書となるため、契約書の代わりになり得ます。

覚書なのか、契約書なのか、書面のタイトルにあまり拘らず、記載された内容とその内容に双方が署名することで合意するということが非常に重要です。

 

覚書は英語で作っても有効?

覚書を英語で作成しても、両当事者が英語で作成することに合意していれば、有効です。

ただし、覚書を英語で作成する場合、英語版のみの覚書なのか、日本語の覚書が別にあって、それを英語に翻訳したバージョンを作成するのかという点の確認が必要です。

日本語の覚書が別にあって、それを英語で翻訳したという場合には、あくまでオリジナルは日本語版であり、解釈に疑義が生じた場合には、日本語版の方が優先するという内容を覚書に定めておく必要があります。

また、準拠法(どの法律が適用されるのか)という点の記載も忘れずに行っておく必要があります。

 

覚書は製本する必要がありますか?

覚書を必ずしも製本化する必要はありません。

しかし、覚書の内容が複数ページにわたる場合には、製本化することで、改変されるリスクを下げることができるため、有効ではあります。

また、覚書が複数ページにまたがる場合には、データで管理することができる電子契約も有効な手段になります。

 

不動産取引でも覚書は使えますか?

不動産取引でも双方の合意を証明する手段である覚書は使用することができます。

現在、不動産取引においても、電子契約を利用することができるようになっていますので、電子契約を用いた覚書が有効といえるでしょう。

 

 

まとめ

このページでは覚書の基本的な意味や、契約書や念書との違い、実際の作成方法や注意点について解説しました。

覚書は、契約書に比べて簡易な形式で合意内容を記録するための文書です。

ですが、覚書は契約書の一種でもありますから、契約書と同様に法的な拘束力を生じます。

そのため、簡易に作成できるといっても軽んじることなく、しっかりと内容を吟味して、いくつかのポイントを押さえて正確に作成することが求められます。

その際に役立つのが、覚書のテンプレートです。

当事務所では弁護士が作成した信頼できるテンプレートを無料で公表していますので、ぜひご参考にされてください。
この記事が、覚書についての理解を深め、覚書を作成する際の参考となることを願っています。

疑問や不安がある場合は、専門の弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
デイライト法律事務所では、業務委託契約書の作成や確認など、企業法務に関する各種対応について、多くの実績を有しています。
企業法務に関するお悩みをお持ちの会社の方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。

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