公益通報者保護法(内部通報制度)とは?弁護士が解説|改正対応

監修者:弁護士 宮崎晃
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

公益通報者保護法とは

公益通報制度とは、会社の不正行為を発見した従業員等が会社が設けた窓口に通報できる制度のことをいいます。

法改正(2026年12月施行)が行われ、多くの企業で対応が必要な状況かと思います。

しかし、法律が難しいため、具体的に何をすべきかがわかりにくいのが現状です。

そこで、このサイトでは、企業法務に注力する弁護士が公益通報制度について、法改正を踏まえ、わかりやすく解説しています。

最後まで読んでいただくことで、公益通報の仕組みや重要なポイントなどが理解できるかと思います。

公益通報制度(内部通報制度)とは?

公益通報制度(内部通報制度)とは、会社の不正行為を発見した従業員等※が、会社内の特別な窓口や会社が社外に設けた窓口に対して通報することのできる制度のことです。

※従業員等とは、退職者、役員、派遣労働者等を含みます。

 

制度の目的

公益通報制度の目的は、不正行為を発見した従業員等が、その不正行為を誰かに報告しやすい制度を整えることにより、会社の不正行為を発見しやすくしたり、事前に防止したりすることです。

例えば、ある会社の経理部の社員が、自分の仕事をしている時にたまたま、会社が不正な会計処理をして税金逃れをしようとしていることを発見したとします。

この社員の立場を考えると、会社の不正な税金逃れを発見したとしても、これを告発したり、防止するために誰かに相談したりすることは難しいでしょう。

なぜなら、会社の上司や社長に「この会社は不正をしています」と指摘することはとても勇気のいることですし、そのような指摘をしたことによって、かえって会社から報復を受け、左遷されたりクビになったりする心配もあるからです。

会社の中には、社内の不正行為を是正しようとする従業員等に対して、「組織の和を乱す悪いヤツだ」というレッテルを貼ろうとする傾向がみられることもあります。

このような状況のままでは、会社が行う不正行為はなくなりません。

そこで、公益通報制度が登場したのです。

公益通報制度は、

  • 不正行為を発見した従業員等が気軽に通報できるように、不正行為の通報を受け付ける窓口を作る
  • 会社は、不正行為を通報した従業員等に対して不利益を与えてはならない

というルールです。

これによって、不正行為を発見した従業員等がその不正を通報しやすい環境をつくるとともに、不正行為を通報した従業員等の身を守るという狙いがあります。

公益通報制度は、このような仕組みを通じて、会社の不正行為を明らかにし、防止していくことを目的としています。

 

公益通報制度の社内ルールは誰が作る?

公益通報制度のルールは、各会社がそれぞれ、自社の社内規程として作ります

公益通報制度についての法的ルールを定めた法律として、「公益通報者保護法」という法律があります。

ただし、公益通報者保護法は、細かいことまでは定めていません

つまり、

  • 各会社ごとにどのような通報窓口を設けたらよいか
  • 従業員等から公益通報があった場合に会社としてどう対応すべきか
  • 会社の中のどの部門が公益通報制度の担当となるべきか

などの具体的なことについては、公益通報者保護法には書かれていません。

そのため、公益通報制度のルールは、各会社が自社の社内規程として作る必要があるのです。

自社の業種、組織、規模に合わせて、従業員等が不正を通報しやすい実効性のある社内ルールを定めるのがよいでしょう。(なお、一部の会社については公益通報制度を整備することが法律上の義務となりました。)

消費者庁のウェブサイトには、公益通報制度の社内規程の一例が公開されています。(ただし、消費者庁の公式資料ではなく非公式な資料とされていますのでご注意ください。)

参考:消費者庁ウェブサイト:説明会・研修会

社内規程の作成は難しい作業です。

自社での作成が難しいようなら、詳しい知識を持つ弁護士に作成を依頼することもおすすめです。

公益通報制度の社内ルールを作らない場合、その会社は、「公益通報制度を持たない会社」ということになります。

 

対象事項

公益通報制度の対象となる会社の不正行為は、公益通報者保護法の中に次のように定められています。

【 条文 】公益通報者保護法2条3項
この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実

参考:e-gov法令検索 公益通報者保護法

法律の条文なので少し難しい表現になっていますが、わかりやすくブレイクダウンすると次のようになります。

次のような行為が公益通報制度の対象ということです。

  • 社内の誰かがある行為をして、
  • その行為が政府によってリストアップされた約500個の法律のうちどれかに違反するものであり、
  • その行為が犯罪となるもの(つまり行為した人が拘禁刑や罰金などの刑事罰を受けるもの)、または犯罪ではないけれど「過料」という行政上のペナルティを受けることになるもの

もしあなたが社内で誰かがこのような行為をしていることを発見した場合は、あなたは、公益通報制度を利用して、通報窓口に対して「違反行為を発見した」と通報することができます。

そして、あなたの通報は公益通報制度の保護の対象になりますから、あなたは通報をしたことを理由として減給されたりクビになったりという不利益を受けることはない、ということになります。

公益通報制度の対象事項の具体例には、次のようなものがあります。

  • 不正な会計処理
  • 脱税
  • 暴力行為や脅迫行為
  • 横領
  • 違法なサービス残業
  • 給与の不払い
  • 法律で定められた検査の検査逃れ
  • 許認可が必要なのに許認可をとらずに営業

そのほかにもたくさんの不正行為が公益通報制度の対象となります。

ワンポイントー政府がリストアップした500個の法律って?

公益通報制度の対象となる不正行為は、上記で説明しましたように、「政府がリストアップした約500個の法律に違反する行為であって、刑罰や過料の対象になるもの」です。

では、「政府がリストアップした約500個の法律」にはどんなものがあるでしょうか。

公益通報制度の対象となる法律のリストは、消費者庁のウェブサイトに掲載されています。

参考:消費者庁ウェブサイト:通報対象となる法律一覧(506本)令和8年1月1日現在

とはいえ、公益通報制度を利用する際にいちいち500個もの法律の内容を確認することは困難です。

基本的には、この約500個の法律リストには、日本における会社の企業活動に関係のある法律はおおむね網羅されていると考えてよいと思われます。

ワンポイントーセクハラ・パワハラは公益通報制度の対象になる?

セクハラやパワハラは、公益通報制度の対象ではありません

公益通報制度は、上記で説明しましたとおり、会社の中で行われる不正行為であって「犯罪になる行為(拘禁刑とか罰金などの刑罰の対象になる行為)か、過料という行政上のペナルティを受けるもの」を対象としています。

セクハラやパワハラは、もちろんよくない行為ではありますが、よほど悪質なもの以外は、犯罪行為や過料を受ける行為にはならないのが一般的です。

そのため、一般的にセクハラやパワハラは公益通報制度の対象にはならないことが多いといえます。

ただし、セクハラやパワハラでも、強制わいせつ罪や傷害罪・暴行罪など犯罪になるレベルのものは、「刑法」という法律に違反し、犯罪行為となりますので、公益通報制度の対象になります

なお、会社としては、パワハラやセクハラについては、公益通報制度とは別に「ハラスメント相談窓口」を設置して対応することになります。

2022年4月からは、大企業から中小企業まですべての企業にパワーハラスメント防止措置をとることが義務化されました。

 

 

公益通報の対象となる企業とは?

公益通報制度は、全ての民間事業者(個人事業主やNPO法人を含みます。)、国や地方公共団体も対象となります。

ただし、従業員等の数によって、義務の程度が異なります。

 

従業員等の数が301人以上の場合

従業員等の数が301人以上の比較的大きな企業は、企業内に公益通報制度を整備することが義務となっています。

すなわち、このような会社が公益通報制度の整備をしないまま放置すると、法律違反となり、場合によってはペナルティを受けます。

したがって、従業員等の数が301人以上の企業は、速やかに対応しましょう。

 

300人以下の企業の場合

従業員等の数が300人以下の場合、公益通報制度の整備は「努力義務」であり、法的な義務ではありません。

ただ、後述するように、社内に公益通報制度を持つことには大きなメリットがあります。

300人以下の会社でも、公益通報制度の整備を前向きに検討することをおすすめします。

 

ワンポイント:従業員等の数え方は事業者単位

従業員等は、「事業場」単位ではなく「事業者」単位となっています(公益保護法11条3項)。

したがって、事業場が複数ある企業(支社、工場や店舗が複数ある企業)の場合、1つの事業場では300人以下でも、企業全体としては301人以上従業員がいれば公益通報制度の整備が義務となります。

また、この人数は、継続して働いているパートやアルバイトを含め、常勤換算ではなく、人数換算(頭数)で計算します。

 

 

2026年施行の公益通報者保護法の改正内容

ここでは、2025年6月に改正された公益通報者保護法(施行は2026年12月1日)の変更について、ご紹介します。

主な改正点は、①公益通報の体制整備の徹底、②公益通報を阻害する要因(通報妨害・探索)への対処、③解雇など不利益な取扱いの抑止・救済の強化、④公益通報者の範囲拡大するための措置(フリーランスの追加)の4点です。

下表は改正内容をまとめたものです。

改正の項目 具体的な内容・変更点 罰則・備考
①体制整備の徹底 企業の「公益通報対応業務従事者」の指定義務違反のペナルティの強化 従来:指導・勧告
改正後:勧告に従わない場合の命令・命令違反時は30万円以下の罰金公益通報対応業務従事者は、内部通報の受付・調査・是正を主体的に行う
②通報妨害・探索の禁止 通報妨害:「通報しない」といった誓約等を書かせる行為を禁止(合意内容は無効)。

通報者探索:正当な理由なく通報者を特定しようとする行為を禁止。
※公益通報をした可能性がある人に対して公益通報をしたかどうかを聞くなどの行為

③解雇などの抑止・救済 通報者の立証負担の軽減と罰則の強化

従来:解雇や懲戒処分について、通報に起因するものであることを従業員等が立証しなければならなかった。

改正後:通報後1年以内の解雇・懲戒処分は「公益通報が理由」と推定される。

【不当な解雇等を行った場合】
行為者及び企業:6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金企業:3,000万円以下の罰金
④通報者の範囲拡大 保護対象にフリーランス(契約中、および契約終了後1年以内)が追加。
通報を理由とする業務委託契約の解除などが禁止される。

 

 

公益通報制度のメリット

会社が公益通報制度を整備することのメリットには、次のようなものがあります。

 

社内の不正に対して迅速に対応できる

近年、企業のコンプライアンス(法令をしっかり守ること)がますます重視されており、企業の不正行為に対する社会の目は厳しくなりました

メディアやインターネットで、企業の不正行為が大々的に報道され、その企業に大きなダメージを与える事例もよく目にします。

このような社会情勢を踏まえると、企業が今後もビジネスを継続し、発展していくためには、社内での不正行為を防止し、あるいは、不正行為が行われてしまった場合でも、速やかにこれを発見して是正するような自浄作用の仕組みを持つことが大切です。

社内での不正行為は、大きくなればなるほど対処が難しくなり、また会社に与える悪影響も深刻になります。

社内に不正行為の早期発見の仕組みをつくることで、まだ不正行為の影響が小さいうちに社内で早期対応をとることができるのです。

このような社内の自浄作用は、社内に公益通報制度を整備することによって実現することができます。

不正行為がもたらす悪影響から会社を守り、会社が持続的に末永くビジネスを続けていけるようにするために、社内に公益通報制度を整備することのメリットは大きいといえます。

 

外部(行政機関等)への通報を防げる

会社の従業員等が社内の不正行為を発見した場合、それを誰かに報告したくても、上司や社長には報告しにくいことが多いです。

会社の上役に対して「この会社には不正行為があります」と指摘するのはとても勇気が必要なことだからです。

その結果、会社の不正行為が、社内ではなく外部の行政機関やマスコミなどに報告されることがあります。

会社の不正行為が外部の行政機関に通報された場合、事態の深刻さによっては、行政機関が不正行為に対する調査を開始することがあり得ます。

また、不正行為がマスコミに通報された場合には、報道されてしまうこともあるでしょう。

いずれのケースも、会社が不正行為を自覚して対応をとる前に、行政機関やマスコミの行動がはじまってしまいます。

これに対して、社内にしっかりとした公益通報制度を整備している企業の場合、不正行為を発見した従業員等は、まず社内の通報窓口に対してその不正行為を通報することになります。

なぜなら、公益通報制度は、不正行為を通報した従業員等をしっかりと守る、というところまでカバーしたルールだからです。

会社の不正行為が社内の通報窓口に通報されれば、その不正行為に対して会社が自ら対応し、是正することができます

このように、不正行為に対して、外部機関が動く前に、まず社内での自浄作用を働かせることができるのが、社内に公益通報制度を整備することの大きなメリットだといえます。

 

評価や信頼を得ることができる

近年のコンプライアンス(法令を遵守すること)重視の状況の中、自社に公益通報制度を設けることは、社会や取引先からの評価・信頼を獲得することにもつながります

社内に公益通報制度を設けることで、会社として、不正行為の防止や早期発見・早期対処を重視しているという会社の姿勢を示すことができるからです。

 

 

公益通報制度のデメリット

導入が少したいへんである

これまで公益通報制度を持たなかった会社が、新たに導入したい場合、少し複雑なステップが必要になります。

まずは会社の組織の状況を把握し、会社の状況に合わせた公益通報制度を設計し、適切な社内規程をつくり、適切な社内決済を経たうえで、社内に周知する必要があります。

当然、毎日の業務の合間にこのような作業をする必要がありますから、公益通報制度の導入には少し手間がかかるといえます。

このデメリットについては、公益通報制度に詳しい弁護士に依頼して支援を求めることでも対応できます。

 

社内の負担が増える

公益通報制度を社内で整備すると、公益通報制度の担当者を設置しなければなりません

また、従業員等から実際に公益通報があった場合には、この記事の後半で説明するように、会社としてこれに慎重に対応する必要があります。

しかも、従業員等から、公益通報制度の対象にならないささいな出来事まで通報されることがあります。

会社としてそのようなささいな出来事に対する通報にも対処していくと、たいへんな負担となります。

このデメリットを防ぐためには、公益通報制度を導入するときに、それぞれの会社の実情を踏まえて、それぞれの会社にあった公益通報制度を設計することがポイントです。

 

以上のメリットとデメリットをまとめると、下表のとおりとなります。

メリット デメリット
  • 不正に対して迅速に対応できる
  • 外部への通報を防げる
  • 評価や信頼を得ることができる
  • 導入が少したいへんである
  • 社内の負担が増える

 

 

会社が導入する際のポイント

では、会社が公益通報制度を導入する場合のポイントをご説明します。

会社が公益通報制度を導入する場合のポイント

 

内部規程をつくる

公益通報制度を導入するには、まず、公益通報制度に関する社内規程を作成します。

例えば、「公益通報に関する規程」のようなタイトルで、条文の形式で社内ルールを定めた文書を作ることになります。

自社の実情にあった内容とするためには、社内規程を作る前に、自社の状況を踏まえた制度設計をします。

制度設計とは、例えば、公益通報の窓口をどこにするか(例えば、人事部にするか外部の弁護士にするか)、公益通報の担当部門と責任者を誰にするか、公益通報があったときの対応フローをどうするか、などを決めていくことです。

公益通報制度の制度設計ができたら、それを社内規程の形に落とし込みます。

社内規程の作成は、複雑ですし、法的な知識が必要とされる作業です。

 

公益通報に対応するための担当者をおく

公益通報制度を導入する際には、公益通報に対応するための担当者を置く必要があります。(法律用語では、これを「公益通報対応業務従事者」といいます。)

公益通報に対応するための担当者は、公益通報を受けつけ、社内調査を行って、必要な場合には社内で是正措置をとるという仕事を担当します。

専任者である必要はなく、ほかの業務と兼任する形でもかまいません

 

秘密保持を徹底する

公益通報制度をつくる場合、秘密保持が重要です。

なぜなら、ある従業員等が勇気を出して会社の不正行為を通報した場合に、その人が通報したことがすぐに社内に広まってしまうと、従業員等は安心して公益通報制度を利用できなくなるからです。

公益通報の秘密を守るということは、会社の従業員等を守り、公益通報をしやすい環境をつくるということであり、ひいては、それが会社の健全な発展につながるのです。

具体的には、次のような視点が必要です。

  • 従業員等からの通報を受けた時でも、通報があったこと自体を秘密にする
  • 通報があった場合に、通報した従業員等を特定できるような情報については、社内で必要最小限な人以外が知ることのできないようにする
  • 社内で通報した従業員等を特定しようとする動きが起こらないよう、予防の措置をとる

これらのことは、公益通報制度に関する社内規程の中でルール化するとよいでしょう

 

公益通報者へ不利益な扱いをしない

公益通報制度では、会社の不正行為を通報した従業員等に対して不利益な取り扱いをしないことも大切なポイントです。

ある従業員等が社内の不正行為を発見し、通報した場合に、会社がそれを不愉快に思い、あるいは不正を暴いた従業員等に報復するために、通報した従業員等に対して解雇(いわゆる「クビ」)、左遷、減給などの不利益を与えることは許されません

そのようなことを許したままだと、公益通報制度を利用する従業員等はいなくなってしまいますし、会社としても健全な発展の機会を自らつぶしてしまうことになります。

このようなことが起こらないよう、公益通報制度に関する社内規程の中には、通報した従業員等に対して会社や上司が不利益な取り扱いをすることを厳しく禁止する規定を設けておく必要があります。

 

法律事務所など社外に通報窓口を設置する

従業員等からの公益通報を受け付ける窓口は、社内だけでなく社外にも設置しましょう

社内の通報窓口としては、人事部、総務部、監査役などを通報窓口とすることが考えられます。

しかし、従業員等の立場に立ってみると、自分の会社の不正行為を人事部や総務部に対して通報するのに抵抗を感じてしまうことがあります。

そうすると、せっかく公益通報制度をつくっても、従業員等にとって利用しにくいものになってしまいます。

公益通報制度をより利用しやすいものにするためには、社内の通報窓口だけでなく、社外にも通報窓口を設けることがポイントです。

会社の外にも通報窓口を設けることで、不正行為を発見した従業員等が通報しやすい窓口を選べるようになります。

社外の通報窓口は、会社の顧問弁護士や、通報窓口の受託業者などに依頼することができます。

特に会社の顧問弁護士は、法律のプロフェッショナルであるうえ、日ごろから会社の状況をよく理解してくれています。

会社の顧問弁護士に社外の通報窓口になってもらうことで、従業員等から実際に通報があった場合にも、的確な対応が期待できるでしょう。

ただし、会社の顧問弁護士は、従業員等の立場から見ると、「顧問弁護士は会社の味方だから、会社の不正行為を通報しても無駄なのではないか」と思われるリスクもあります。

会社の顧問弁護士に通報窓口を依頼する場合には、従業員等の不安をやわらげ、従業員等が公益通報をしやすいような制度づくりや情報提供をするようにしましょう。

通報窓口の設置について迷ったときは、弁護士に相談することもおすすめです。

顧問弁護士に依頼するメリットなどはこちらの記事に詳しい解説があります。

ぜひ合わせてご覧ください。

また、当事務所が提供する顧問サービスについてはこちらをご覧ください。

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従業員等から公益通報を受けたら

ここでは、従業員等から公益通報を受けたときの会社の一般的な対応をご説明します。

公益通報があった場合の対応の流れ

※わかりやすくするために、一般的な対応をご紹介しています。具体的な対応は状況によって異なります。

 

通報の秘密を守る

従業員等から会社の通報窓口に公益通報があったら、会社はさまざまな対応をすることになります。

その対応においては、公益通報の秘密を守ることが必要です。

会社の中で公益通報を担当する者(これを「公益通報対応従事者」といいます。)は、通報した従業員等の特定につながるような情報を漏えいすることが禁止されています

また、公益通報の内容についても、公益通報への対応のために必要な人以外には情報共有しないようにしましょう。

 

通報した従業員等に不利益な取扱いをしない

公益通報制度では、通報を受けた会社が、通報をした従業員等に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されます

不利益な取り扱いとは、解雇(クビ)、左遷、減給などのことです。

従業員等から公益通報があったときは、会社は、感情的にならず冷静に公益通報に対応すべきです。

 

通報した従業員等に速やかに返事をする

従業員等から公益通報があったときは、すぐにその従業員等に対する応答をしましょう

たとえば、「あなたの公益通報を受け取りました。会社はこれから調査を行います。秘密は守られます」のような内容を応答することになるでしょう。

このような応答は、公益通報を受けたらすぐに行いましょう。

従業員等から公益通報があったのに、会社がこれを放置してしまったときは、その従業員等が公益通報を無視されたと考えて、外部の行政機関やマスコミに通報してしまう可能性もあります。

 

通報内容について調査をする

従業員等から通報があったときは、会社は、その内容について調査をします。

公益通報された不正行為が本当に社内で行われているのか、本当に行われている場合にはどの程度・範囲まで不正行為が進んでいるのか、どんな人々がかかわっているのか、不正行為が行われた原因はどこにあったかなどを調査することになります。

この調査は、公益通報の対象行為(つまり、犯罪行為や過料の対象になる行為)についての調査になりますから、法律の専門的な知見が必要になることも多いでしょう。

社内の公益通報制度をつくる段階で、公益通報の調査に顧問弁護士など法律の専門家の知見を利用できるような制度設計をしておくことが望ましいといえます。

 

不正行為の速やかな是正措置

調査の結果、不正行為が本当にあったことが確認できた場合は、速やかに不正行為を是正する措置をとりましょう

このように不正行為を是正できることが、公益通報制度の最大のメリットであり、会社の健全な発展につながります。

不正行為があったと確認できたときは、ためらわず是正措置をとることがポイントです。

また、是正措置を行った後も、その是正措置がきちんと働いているか、不正行為が引き続き行われていないかを確認するようにします。

 

通報した従業員等へ結果のフィードバック

調査が終わったら、公益通報をした従業員等に対し、調査の結果をフィードバックします。

不正行為が発見された場合だけでなく、調査の結果不正行為が見つからなかった場合でも、通報した従業員等への連絡をするのがよいでしょう。

 

 

顧問弁護士に外部相談窓口を依頼したときの流れ

従業員等から公益通報を受けたときの会社の対応は、上記のとおりですが、中小企業が自社の力のみで適切に対応するのはややハードルが高いと感じるでしょう。

そこで、顧問弁護士等へ相談窓口等を含めたサポートを依頼することをお勧めします。

公益通報の相談窓口を外部の法律事務所(顧問弁護士等)へ依頼したときは、その法律事務所が通報を受け付けることが可能となります。

また、公益通報に精通した法律事務所の場合、窓口となるだけでなく、調査の必要性の有無の判断、不正行為の有無の判断、是正措置や再発防止策の検討などについても、助言を得ることが可能となるでしょう。

以下は、会社が自社の相談窓口(内部通報窓口)と当事務所へ窓口(外部相談窓口)を委託したときの処理の流れとなります。

公益通報の処理の流れ

 

 

まとめ

公益通報制度のまとめです。

  • 「公益通報制度」とは、会社の不正行為を従業員等が通報できる窓口を作り、公益通報した従業員等を守る制度
  • 近年、コンプライアンス(法令をしっかり守ること)の意識が高まっている。会社が健全に成長していくためには、不正行為の早期発見・早期是正が必要
  • 公益通報制度のメリットは、不正行為の発見・対応の仕組みが会社内にできること。不正行為が外部機関に持ち込まれる前に、社内で不正行為の早期発見・早期対応を
  • 公益通報制度を社内につくるには、会社にあわせた制度を設計して社内規程をつくること。公益通報制度に強い弁護士への依頼も可能
  • 従業員等301人以上の会社は、社内に公益通報制度をつくることが法律上の義務。違反にはペナルティもある
  • 従業員等300人以下の会社でも、自主的に社内に公益通報制度をつくることのメリットは大きい
  • 公益通報の窓口は、社内だけでなく社外にもつくる。会社の顧問弁護士を外部の公益通報窓口とすることもおすすめ
  • 従業員等から不正行為の通報があったら、秘密を守り、通報者への不利益な扱いをしないことがポイント。この2つを守りながら社内調査をし、不正行為を発見したら是正措置をとる

当法律事務所の企業法務部は、企業法務に精通した弁護士のみで構成されており、企業を強力にサポートしています。

Zoomなどの各種WEB会議を活用した全国対応も行っていますので、公益通報でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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