企業が新規事業や海外進出などの多角化を計る上で、「市場の魅力度」と「優位性構築の可能性」は、押さえてくべき重要な判断要素です。
ここでは、「市場の魅力度」の具体的な分析方法について、ご紹介します。
市場の魅力度とは、簡単にいえば、その事業が儲かるかどうかということです。
事業の魅力度を計る尺度としては、事業の市場規模、市場の成長性、産業の収益性、収益変動のリスク、国際化の可能性などがあります。
市場の成長性を考えるとき、事業ライフサイクルの理解は非常に有益です。
これは、「ある製品や市場は、必ず誕生から衰退までの流れを持ち、その段階に応じてとるべき戦略は異なる」とする考えて、①導入期、②成長期、③成熟期、④衰退期の4段階があります。
①導入期
新しい製品が市場に投入され、その価値や効用が顧客に認知されてくる段階です。
まだ競合企業・商品が少なく、競争以上に市場拡大効果があるとされます。
価格は高いが、顧客が少なく売上高が少ないという特徴があります。
この時期には、シェア拡大と将来の競合対策を準備しておく必要があります。
絶対的な優位性を確保するための流通チャネルの構築や、消費者にとっての利点・特徴が強調できるように販促の整備や製品改良を行なうなどです。
②成長期
製品が市場に浸透し、顧客層が増加するの同時に新規参入が増えます。
売上高の増加で利益が出てきます。
キャッシュフローもプラスに転じますが、他社との競争が激しくなるため、差別化を図る必要があります。
また、この時期に、次の製品開発にとりかかったり、新製品の導入を進めていくことにより、継続的な経営戦略の進行が図れる。
③成熟期
売上高は低成長に転じ、利益も低下しますが、投資額が少ないためキャッシュフローはプラスになります。
競争が激化するため、競争上の優位性が築けなければ敗者となります。
業界構造は固定化し、少数の企業が大部分の市場シェアを獲得して、低価格を武器に販売量を拡大する戦略がしばしばとられます。
小規模な企業は生き残るために、特定セグメントに集中する戦略をとることが多いです。
④衰退期
市場が完全な飽和状態となりだんだん衰退していく段階です。
通常、衰退したあとまた上昇するということはあり得ないため、他の商品のライフサイクルなど経営の視点から考慮し、事業全体の収益を考えながら撤退の方向を考えます。
イノベーションによる新たな価値が創造されることもあります。