弁護士コラム

サービス業のCS向上と顧問弁護士のあり方

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サービスとは

サービス業先進国ではサービス産業の比重が高くなっており、日本の経済成長もサービス産業が支えていると言っても過言ではありません。

サービス業を営む企業が成長するためには、まず、自社のサービスの特徴を把握する必要があります。

下表は、サービスの一般的な特徴をまとめたものです。ビジネスによって違いはありますが、参考になるでしょう。

サービスの特徴 提供者にとっての意味合い
無形性(不可触性) 買う前に見たり触ったりできない。 ・顧客に自社サービスの便益を伝える工夫が必要
・チャネルは流通ではなく紹介者機能が中心
・所有権や特許は発生しない
同時性(不可分性) 精算と消費が同じ場所で行われる。 ・顧客に近いロケーションでの展開が求められがち
・提供現場で、顧客ニーズ把握やサービス改善が可能
・分業や専門特化が難しい
異質性(変動性) 誰が、いつ、どこで、誰に提供するかによってサービスの内容が変わる可能性がある。 ・カスタマイゼーションが発生しやすい顧客を知ることが良いサービス提供につながる
・顧客の質がサービスの質に影響
消滅性 提供されると即座に消えてしまう。 ・需要に見合った供給水準維持がカギ
・作り直しができないため失敗時の挽回策がカギ

 

顧客満足度を高める

サービス業にとって、その対象者である顧客の満足度をあげることは死活問題といえます。

なぜならば、満足し、ロイヤルティの高い顧客は以下の傾向があり、収益性に大きく貢献するからです。

・リピート購入しやすい
・同一企業の別商品やサービスも購入しやすい
・知人に紹介してくれる(口コミ)
・高値を受け入れてくれる
・企業に有意義なアドバイスをくれる

では、顧客満足度とは何でしょうか。

製造業であれば製品自体の性能を各種機械を用いて、客観的に測定できます。例えばA社とB社のパソコン性能(処理速度など)は具体的な数値を測定できます。

しかし、サービス業において、顧客満足度を決定するのは、もちろん顧客自身です。したがって、顧客満足度とは主観的なものといえます。

顧客が満足するのは、「期待」に対して、「経験」が上回ったときです。

解説図

当初の期待に影響するのは、以下の要素です。

・価格
・過去の利用経験
・口コミ、宣伝などの情報

しがたって、顧客満足度をあげるために過度な期待はむしろ問題があるといえます。

 

顧客満足のピラミッド

サービスには、本質機能と表層機能があると言われています。

本質機能とは、顧客が支払う代価に対して当然受け取ると期待しているサービス属性をいいます。

表層機能とは、代価に対して必ずしも当然と思わないが、あれば嬉しい属性のことです。

例えば、法律事務所であれば、裁判や法律問題の助言は本質機能であり、カウンセリングや生活設計サービスは表層機能と言えるでしょう。

解説図この2つの機能を区別するのは、顧客満足度に与える影響が異なるからです。

表層機能を強化すれば満足度が上がります。一つが卓越していれば、他の属性が悪かったとしても全体の満足度を担保できます(代償作用)。

本質機能の属性が欠けると不満を引き起こします。また強化しても満足度は上がりません。

 

顧客満足度が低い場合

顧客満足度が低い場合は、企業は打ち手を考えなければなりません。

この満足度が低い状態は、以下の2つの類型があり、それぞれ打ち手が異なってきます。

Dissatisfaction Un-satisfaction
意味 不満、怒り⇒マイナスの満足 満足しない⇒ゼロの満足
顧客がやりがちなこと 告発運動
ネガティブな口コミ
他にないので仕方なく買う
よくないので買い控え
企業が取るべき対応 怒りの鎮火(マイナスをゼロに) 喜びの創出(ゼロをプラスに)
企業が目指す方向 顧客の維持
ブランド毀損の防止
顧客の創造
ブランドイメージ向上

 

顧客満足度を無理なく実現するコツ

4つのポイント

①「誰」を満足させたいかを決めます

すべての顧客の満足度を高めるのは不可能です。自社のターゲットする顧客を決めましょう。

②「どこで」満足してもらうかを決める

③サービスを可視化する

④認知作用を上手く使う

・8割の満足を目指す
・嫌な経験は前で、楽しい経験ほど後ろで
・嫌な経験は1回で、楽しい経験は複数に分けて
・終わりよければすべてよし
・顧客に自ら選ぶ余地を与える

 

顧問弁護士のサポート

当法律事務所の顧問先企業もサービス業が最も多い業種です。

サービス業からのご相談で比較的多いのは、クレーマー等の顧客対応や従業員の労務問題についてです。

ここではクレーマー対応のポイントをご紹介します。

労働問題について、詳しくはこちらをご覧ください。

クレーマーに対しては、法律事務所を窓口とする方法があります。

すなわち、あまりに悪質なクレーマーに対しては、弁護士に交渉を依頼し、その弁護士が直接クレーマーに対応するというものです。

弁護士が窓口となるので、企業の担当者の方のご負担が減ります。また、お客様も冷静になってくれる可能性もあります。

ただし、当事務所では、顧問先企業からお客様との交渉の依頼を受けるのは最終手段としています。

なぜならば、いきなり弁護士が代理人となると、お客様にとって決して気持ちが良いものではないからです。

まずは企業の方で誠心誠意対応してもらいます。その際、具体的な対応方法については当事務所の企業法務チームが助言しています。

通常は、助言することで、平和的に解決できる場合が多いです。

稀にお客様が納得されない場合や、悪質なクレーマーの方の場合、当事務所の弁護士が依頼を受けて交渉を行います。この場合、お客様から企業への直接の連絡は禁止し、当事務所に窓口を一本化します。

弁護士としては、交渉のご依頼を受けた方が弁護士報酬が入ってくるので「売上げ」という観点では望ましいといえます。

しかし、当事務所が交渉のご依頼を最終手段としているのは、当事務所の売上げではなく、顧問先企業の顧客満足度を高めたいと思っているからです。

これからの弁護士は、このような「真の顧客目線」の取り組みが必要と考えています。

その他の顧問弁護士のメリットについてはこちらをご覧ください。

 


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