弁護士コラム

ベンチャー企業はいかに競争優位性を構築すべきか

ベンチャー法務
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

ベンチャー企業は、優れた技術やアイデアを保有し、社会に対して新しい価値を提供しようとしている企業です。

しかし、いくら優れた技術やアイデアを保有していたとしても、むやみに突き進めば、失敗は免れません。事実、日本においてスタートアップが成功する確率は、6パーセント程度しかありません。

勝つためには、優れた技術やアイデアを前提とし、かつ、経営の定石を押さえる必要があります。

そこで、ここでは、ベンチャー企業がいかに競争優位性を構築すべきかについて紹介します。

 

市場分析

市場分析は、競争戦略を構築する第一歩です。

特に、競合他社の強み、弱みの分析は、競争戦略を構築する上で必須といえます。

その上で、競合他社にはない顧客に「刺さる」強みを構築します。

 

集中戦略の構築

マイケル・ポーターは、企業戦略について、3つのパターンに集約されると紹介しています。

上記の3つの戦略のうち、ベンチャーが取るべき基本戦略は、集中戦略であり、ベンチャーは、特定の市場(地域、サービス内容など)にターゲットを絞り、経営資源を集中的に投下するのが定石です。

コスト・リーダーシップ戦略は、通常は大手が取ります。

差別化戦略は、ベンチャーでも取り得る場合があります。差別化においては、以下の3つの視点がポイントとなります。

①プロダクト・イノベーション:絶えず最新の製品・サービスを提供
②カスタマー・インティマシー:顧客との関係性を重視し、高いロイヤリティーを保持する
③オペレーショナル・エクセレンス:製造方法や販売方法の改善を追求し、コスパが優れ、信頼性が高い製品やサービスを提供

ただし、スタートアップにおいては、差別化戦略は難しい場合が多いでしょう。

基本は、スタートアップにおいては小さいマーケットで王道を走る、集中戦略を取り、長期戦略において差別化戦略を取る方法が有効と考えられます。つまり、ベンチャー企業は、経営資源を集中投下しながら差別化の軸を明確にしていくことが定石となります。

 

スピードの重要性

順位ベンチャー企業が集中戦略を取るとき、事業開始後は一時的に無競争状態(ブルーオーシャン)が出現します。その期間に、全速力で自社の強みを強化し、大手の追随を防ぐ優位性を作り上げることができれば、勝つことができます。

スピード感を持って展開することで、以下のアドバンテージを得ることが可能となるでしょう。

先行によるアドバンテージ

・先制攻撃:上流先取、チャネル先取、立地先取、ブランド先取
・顧客のスイッチングコスト
・制度上の障壁:特許や規制など。

先着によるアドバンテージ

・規模の経済:特にビッグデータ蓄積
・範囲の経済
・ネットワーク構築:プラットフォーム構築
・学習効果

反対に、スピードが遅いベンチャーは100%失敗といっても過言ではないでしょう。

 

継続的な競争優位の開発

一旦競争優位を構築しても、現代の激しい競争環境下においては、その賞味期限は限られています。常に競争優位性を補強し続けていくことが必要です。

起業家は、「持続的競争優位性はない」というスタンスでビジネスを考えるべきです。

 

顧問弁護士へのご相談

一口にベンチャー企業にといっても、業種、市場、規模など状況は様々です。

具体的な経営戦略について、経営にくわしい専門家に相談することをお勧めします。また、企業経営においては、法的リスクを踏まえた助言が必要です。

当事務所の弁護士は、企業法務だけでなく、経営に精通しており、顧問先企業をきめ細やかにサポートしております。

経営、法的問題について、お気軽に当事務所までご相談ください。

 また、当事務所では、ベンチャー企業のサポートを行っております。詳しい内容は、こちら(成長段階に応じたサポート「ベンチャー企業」)をご覧ください。

 

 


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