弁護士コラム

戦略策定のためのフレームワーク(内部分析)

経営戦略
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

経営戦略を策定するためには、外部分析による市場機会と脅威の発見と、内部分析による自社の強みと弱みの発見が重要です。

ここでは、内部分析のためのフレームワークについて解説します。

なお、外部分析についてはこちらからごらんください。

 

内部経済性分析

内部分析の方法として、内部経済性を理解する代表的なコンセプトとして、ポーターの「バリューチェーン」と「コストドライバー(コスト推進要因)」を紹介します。

 

バリューチェーン

これは、事業活動を機能ごとに分解し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、どの部分に強み・弱みがあるかを分析することで、事業戦略の構築や改善に役立てようとするものです。
一つの製品やサービスが顧客のもとに届くまでには、様々な業務活動が関係します。ポーターは、「モノの流れ」に着目して企業活動を主活動と支援活動に分け、それにマージンを加えて全体の付加価値を表しています。

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主活動は、部品や原材料などの購買、製造、出荷物流、販売・マーケティング、アフターサービスなどです。
支援活動は、主活動を支える人事や経理、技術開発などの間接部門です。

この分析では、諸活動を厳密に分析するのではなく、それぞれの活動の役割、コスト、全体としての事業戦略への貢献度を明確にするのがポイントとなります。
バリューチェーンを検討することで、例えば、優位性構築にそれほど影響を与えない機能は、外部資源を利用するなどして、戦略上より有利な機能に自社の経営資源を投入することが可能となります。

また、バリューチェーンのどの部分でコスト削減が可能かを把握することで、低コストを武器にしたり、高い付加価値を生み出している機能に集中して差別化を計るなど、自社の強みを活かした戦略を検討できます。

さらに、バリューチェーンは、業界構造の分析にも活用できます。例えば、文具業界では物流が、医薬品業界では研究開発と販売力が重要などです。

 

コスト・ドライバー

戦略の策定に、経済性の裏付けは欠かせません。
ポーターは、事業分析の際に、コストに注目し、構造的要因を整理しました。
最適な戦略策定のために、下記のコスト・ドライバーがどのように自社のバリューチェーンに影響を与えているかを定量的に把握しましょう。

●規模の経済
●習熟度(ラーニング、経験の共有など)
●設備などの利用状況(稼働率による固定費のカバー)
●範囲の経済(他の事業単位との活動の共有化、シナジーなど)
●連結関係(価値連鎖の最適化、サプライヤーや流通チャネルとの関係)
●統合(垂直統合による「5つの力」の変更)
●タイミング(先行者の有利、不利)
●自由裁量できる政策(製品政策、技術・マーケティング手段の選択)
●要素コスト(原材料や労働力などの変化)
●制度的要因(法律、規制、労使慣行などの影響)

 

 


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