弁護士コラム

ファイナンスの基本

ファイナンス
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

保有資格 / 弁護士・MBA・税理士・エンジェル投資家

ファイナンスとは

ビジネスファイナンスとは、企業がどのように資金を調達し、どのように 資金を運用していったらよいのかを考える経営学の一分野です。

ファイナンスで学ぶことは、「もの」の価値を評価して価格をつける技法です。

金銭に換算する技法には、大きく分けて、次の3つがあります。

原価法

取得したときの価格から計算する。

取引事例比較法

最近の売買事例を参考にして評価する。

収益還元法

将来の収入から計算する。

 

上記のうち、ファイナンスでは、収益還元法を基本の考えにしています。

ビジネスパーソンは、このファイナンスの考え方を身につけることで、
・特定のプロジェクトを実施するべきか否か
・ある企業の買収を検討した際に、いくらで買収すべきか
・資金の調達、資金の使い方、リスク管理の仕方によって、どうすれば企業価値を高めることができるか
などの事象に対して、適切な意思決定ができるようになります。

 

キャッシュフローの現在価値

ファイナンスでは、「今日の 100万円は、1年後の 100万円よりも価値がある」と考えます。

なぜなら、100万円が今、手元にあれば、運用し、利益が生まれるからです。

例えば、年率1%の利子率で銀行預けると、1年後には 101万円です。

また、5年後には、福利で計算されるので、105万1000円となります。

100万円 × 1.01 × 1.01 × 1.01 × 1.01 × 1.01 ≒ 100万円 × 1.051 = 105万1000円

つまり、今日の 100万円は、5年後の 105万1000円と同価値と考えます。

このとき、105万1000円を5年後の 100万円の「将来価値」(FV:Future Value)と言います。

そして、100万円のことを、105万1000円の「現在価値」(PV:Present Value)と言います。

また、現在価値に割引計算する際の利子率のことを、「割引率」(ディスカウント・レート)といいます。

割引率 (discount rate) が年利 r である場合、t 年後に受け取る Ct 円の現在価値 (PV) は、次の式で算出できます。

計算式

ディスカウント・ファクター をディスカウント・ファクター (discount factor) と言います。

キャッシュフローを計算する書式について、こちらからダウンロードできます。

 

 


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